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婚約者は幼なじみを優先しますが、私のことが好きなことを知っています

作者: 羽倉了
掲載日:2026/04/29

ロズリーは紅茶を飲む。

本来ならば婚約者とのお茶会だった。

婚約者は幼なじみが風邪を引いたので、そのお見舞いに行ってしまった。

これで何回目か。

婚約者は幼なじみを優先する。

使用人が手を運んできた。受け取るロズリーは婚約者からの手紙を読む。書かれている内容はお茶会不参加によるお詫びと、愛の言葉。

ロズリーは溜息の代わりに紅茶を飲んだ。

婚約者はロズリーよりも幼なじみの方を優先する。

ロズリーはいつも一人だった。

父親が文句の手紙を送ろうとしたが、相手は公爵家、こちらは伯爵家。それでも送ろうとしたのを、ロズリーは止めた。

「この婚約は、あちらからの希望なんだぞ!? それなのに何だこの仕打ちは!?」

「まあまあ。カリカリするとハゲますよ」

「お前は何で落ち着いていられるんだ!? まだ一度もお茶会をしたことがないだろ!」

「手紙を貰っていますから」

「手紙か何だってんだ! そんなの破り捨てろ!」


あるときロズリーが紅茶を飲んでいると、幼なじみが先触れもなくやってきて、門の所で騒ぎ立てていた。

ロズリーは溜息の代わりに紅茶を飲むと、幼なじみを応接室に通した。

運ばれてきた紅茶を幼なじみは音を立てながら飲んだ。

「彼と別れなさい」

「出し抜けに何ですか?」

「彼はあたしのことが好きなのよ。だから別れてちょうだい」

ロズリーは溜息の代わりに紅茶を飲んだ。

「言いたいことはそれだけですか?」

「彼はあなたなんて嫌いなの。あなたが縋ってもね」

ドアが勢いよく開いた。

ロズリーは顔を向けると、ドアを勢いよく開けたのは息を切らす婚約者だった。

幼なじみは嬉しそうに呼ぶ。

「アレン!」

婚約者は幼なじみに歩み寄る。

「ロズリーに迷惑をかけるな!」

「え? あなたも別れ話をしにきたんでしょう?」

「そんな訳ないだろう! ロズリーに迷惑かけないように今まで見張っていたのに!」

婚約者はロズリーに眉を下げる。

「すまないロズリー。君に迷惑かけないようにしてきたのに、結局は君に迷惑をかけてしまった」

婚約者はジロリと幼なじみを見た。

「君の家族にはすでに伝えているけど、ロズリーに迷惑をかけたからには、修道院に行ってもらうよ」

「何を言ってるの? 修道院なんて行かないわよ」

「うるさい! さあ連れていってくれ!」

騎士が騒ぐ幼なじみを連れていく。

婚約者はロズリーに向き直って眉を下げた。

「もっと早くこうしたかったが、遅くなってしまってごめんよ」

「あなた。世間では私よりも幼なじみを優先すると思われているわよ。特に私のお父様とか」

「君をただ守りたかったんだ。今まで一人にさせてごめをよ。許してくれるかい?」

「毎日手紙を書いてくれたから、許してあげるわ。さあ座って。初めてのお茶会をしましょう」

婚約者はロズリーの手を取って、キスをした。

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