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77 頑張る日常

「知ってると思うけど、私はこの世界に来てから2年も経ってないから、この国どころかこの世界の事が分からないの。基本的な事も分かってないし、竜人だと知ったのもつい最近なの」


ーよくそれで守護竜になれたよねー



「今は自分の事だけで精一杯で、他の事には手が回らないから、リシャールに領地の事を手伝ってもらえると助かるの」


勿論、領地運営をサポートしてくれる執事も居るから、リシャールはその執事のお手伝いをしてもらう事になる。


「お役に立てるかどうかは分かりませんが、精一杯やらせていただきます。ありがとうございます」

「引き受けてくれてありがとう」

「リシャールが引き受けてくれて良かったわね。領地運営なんて、全く分からないからね」


本当に、お母さんの言う通りだ。日本では普通の一般的な生活をしていた平民だったのに、自分の領地ができて管理運営するなんて思ってもみなかった。


「そのお手伝いの事は、改めて執事から説明してもらうとして、ティータイムにしよう」


と私が言うと、部屋に待機していたイネスがお茶の準備を始めた。




それから1ヶ月──



相変わらず、私はバタバタと忙しい日々を送っている。

お母さんは聖女由茉として、週5日で神殿に行って病人や怪我人を治療したりしている。


そして、レナルドさんが竜王国に移住して来たのが1週間前。流石に、この離宮に住んでもらう事はできないけど、同じ竜王国の私の領地に住んで居るのは嬉しい。時々、お母さんとお出掛けしたりしているようで、お土産を買って来てくれる。まだそう言う仲ではなく“戦友”と言った感じの仲だけど、やっぱり2人が並んでいる姿を見るのは嬉しい。


リシャールは、領地運営のお手伝いをし始めてから、更に元気になった。事務作業は得意なようで、執事もかなり助かっていると言っている。他の使用人達とも仲良くやっているようで、取り敢えずは一安心だ。


そして、私の目下(もっか)の仕事は竜力の扱いに慣れる事と、竜化しての飛行訓練と、剣術の訓練だ。これは(剣術以外)全部、10歳頃迄に竜人であれば学ぶ事なんだそうだ。23歳だけど。それらの指導をしてくれるのが、近衛の3人。私を護ってくれる上に指導迄してくれるのだから、有り難いやら申し訳無いやら…。少しでも早く立派な守護竜になれるように頑張るしかない。『西の守護竜の近衛なんて、ハズレだ』なんて言われない為に!                                                                                                                            





*カイルス=サリアス視点*



「失礼します」


と言ってから、マシロの執務室に入ると、マシロが執務机に突っ伏して寝ていた。この離宮に来てから2ヶ月。マシロは慣れない生活が始まった上、剣術の訓練も始まったのだから、疲れていない筈がない。成人しているとは言え、竜力がまともに流れ出したのもつい最近だ。体にも負荷が掛かっているんだろう。


ーこのままだと、体が痛くなるだろうー


執務室の奥にある休憩室にあるベッドに運ぶ為に、マシロを起こさないようにそっと抱き上げる。出会った頃に比べたら、かなりましにはなったが、相変わらず軽い。


「ん………」


起こしてしまったか?と思えば、マシロは寝たままヘニョッと笑っただけで、すやすやと眠っている。余程疲れていたんだろう。ベッドに寝かせても眠ったままだ。


ーマシロの近衛になれて良かったー


鳥獣人でありながら竜騎士になれた事は、俺にとっては名誉な事だ。しかも、竜王直轄の竜騎士ともなれば尚更だ。でも、マシロが西の守護竜だと判明した時は、正直、心が揺らいだ。


色んな意味でマシロとは離れてしまうのか──と。


俺は準貴族の騎士爵でしかない。マシロは竜王と並ぶ守護竜。守護竜の中でも重要な“浄化の竜”だ。本来なら、手を伸ばしても届かない相手だ。でも、運良くマシロを助けた事で、母親のユマに気に入られて、俺の手の届く所に居られるようになった。近衛になれたのも、ユマ様のお陰なのかもしれない。

今のマシロは、まだまだ竜人としては子供で、しなければならない事がたくさんある。だから、今は邪魔にならないように、側で見守るだけしかできない。


「違うな。“側で見守る事ができて良かった”と言うべきだな」


自覚したら最後だった。マシロが視界に入ると嬉しいし、居なくなれば探してしまう。今はまだ何もできないが、誰かに取られるなんて事にはならないようにする。


「しゅごりゅ………がんばる……」


と、寝言を言うマシロ。俺の仕える守護竜は、寝ていても頑張っているようだ。


「寝ている時ぐらい、楽しい夢でも見れたら良いのに」


そっと頭を撫でると、寝ていながらも「ふふっ」と笑ったマシロは可愛い。

目が覚めた時、真っ先に俺が視界に入ったら、どんな顔をするのか───


「楽しみだな」


そう思いながら、俺はベッドサイドの椅子に座った。







❋❋❋❋❋❋❋❋



すみません!ここから、『恋愛モード突入!』と言う所なのですが、なかなかストックができない状態なのと、話数が多くなって来たので、ここで一旦区切らせていただきます。


また、ストックができて余裕を持ってから、『続編』として投稿する予定です。もし、目に留まったら読んでいただければ幸いです。


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続き楽しみにしています! 面白くて、一気に読みました。
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