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61 守護竜のティータイム

『マシロ様、おはようございます!』

「キース、おはよう。体は大丈夫?」

『大丈夫です!今なら何でもできます!』


キースが眠りに就いてから3日後の朝、聞いていた通りに目を覚ました。


「キース、これから宜しくお願いします」

『こちらこそ、宜しくお願いします!』


真っ白な隼の側衛キース。守護竜(わたし)を絶対に裏切らない側近。だから、私はキースに対して安心感があったんだろう。思えば、初めて会った時も、動物からは尽く逃げられて来た私に、逃げずに擦り寄って来てくれたのも、側衛だったからなんだろう。

ローゼさん曰く、私の竜力が安定していなかったから、キースも直ぐには私が主の守護竜だとハッキリと認識できなかったんだろうと。側衛もまた、自分が側衛だと知らず、主の守護竜と出会って初めて、自分がすべき事が分かるようになるらしい。これもまた、偽装ができないように─なのかもしれない。それだけ、竜王国にとっての守護竜の存在は、とても重要で大切なものなんだろう。


「私なんかに務まるのかなぁ?」

『“私()()()”ではありません!マシロ様なら大丈夫です!私も頑張りますから、()()()頑張りましょう!』


“一緒に”


とは、とても嬉しい言葉だ。“頑張って”ではなく、一緒に頑張ってくれる人が側に居ると言うのは、本当に心強い。


「私は異世界から来たし、ちゃんとした竜人になってから1年も経たないひよっ子で、キースにも迷惑を掛ける事があると思うけど、私も頑張るから宜しくね」

『ううっ─我が主は優しい!勿論です!どこまでもお供します!!』


隼姿のままで、翼を胸にドンッと当ててペコリと頭を下げるキースは、やっぱり可愛くて癒やされる。


「キースが目覚めて早速なんだけど、今日は4人の守護竜が集まってお茶をする予定なの。キースも大丈夫なら参加して欲しいって」

『勿論です!私も守護竜様達と他の側衛の先輩方に挨拶をさせていただきます!』







******



「私は東の守護竜、青竜のニーロンです。西の守護竜、白竜マシロを歓迎します」

「ご挨拶、ありがとうございます。西の守護竜、白竜マシロです。これから、宜しくお願いします」


青竜ニーロンさんは、晴天を思わせるような青色の髪と瞳で、竜力もまた爽やかな感じだ。とても落ち着いた雰囲気がある。ニーロンさんの側衛は、狼獣人のアヌルさん。アイスブルー色の綺麗な毛並みの狼だった。


「このニーロンが、俺達の中で一番在位が長いし、一番の年長者だ」


本当に、竜人は見た目だけでは判断できない。竜人は、ある程度年齢を重ねると、見た目の老いは止まるんだろうか?


「本当に、マシロは人の姿では黒色なんですね。流石は聖女ユマ様の娘と言うところかな?」


お母さんは、どこまでもチートだ。“聖女ユマの子だから”で、全てが丸く収まってしまう。それが有り難くもあり、少しプレッシャーだったりもするけど。


「100年ぶりに守護竜が揃ったから、マシロのお披露目を兼ねて、国を挙げての祝いをする事になった」

「そっ…そんな話聞いてません!」

「うん。今初めて言ったからな」


とんでもない事をサラッと言うバージルさん。


「それぐらい、竜王国にとってはめでたい事なんだ。特に、白竜は待ちに待った“浄化の竜”だからな」


浄化の竜の100年の不在は過去に無く、ここ数年の竜王国は不安定だった。だから、殊更お祝いムードが高まっているらしい。


「プレッシャー…………」

「気負う事はないわよ。マシロはまだまだ子竜なんだし、マシロが守護竜になっただけで、綻びや淀みは減少しているから、マシロは焦らずゆっくり成長していけば良いわ」


と、ローゼさんが頭を撫でながら慰めてくれる。


「そうだぞ。子供はゆっくり学んでいけば良い」


うんうんと頷くバージルさん。一応、私も成人してる……筈。


「それに、盛大にした方がウィンストン伯爵夫人への牽制にもなるからね」


にっこり笑うニーロンさん。その笑顔が少し怖いと思うのは何故だろうか?


「番と言う事を考慮しても、子竜に手を出す竜人が居るとは、本当に驚きですね。竜人にとっての子竜も、本能的に護らなければならない対象な筈なのに……」


「…………」


お母さんを何度も攻撃して、私にも敵意を剥き出しにして、カイルスさんが死にかけた。だから、私はベレニスさんが嫌いだし、改心したところで赦せる気はしないけど、それだけイーデンさんの事が好きなんだと言う事は、正直に凄い事だなとは思う。ただ、周りに迷惑を掛けるような愛し方は止めて欲しい。


「マシロは、イーデンと会って話をするそうだな」

「あ、はい。避けたままだと、お互い良くないと思って。ちゃんと区切りをつけたいので」

「偉いわね」


と、ローゼさんはまた、頭を撫でて褒めてくれる。ローゼさんは、“褒めて伸ばす”なのかもしれない。






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