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「今回は魔道士も参加する事になった」

「と言う事は、魔獣が?」

「ああ。今回はかなり頑張ったようで、珍しい獣人や魔獣が含まれているそうだ」



我が国の奴隷制度が禁止されてから100年。

未だ合法とされている国もあり、我が国でも秘密裏にオークションと言う名の人身売買が行われている。取り締まりを強化しても、トカゲの尻尾切りのように、組織の末端を捕らえるだけで大元には辿り着けず、国としてもずっと組織を追い続けていた。

そして、ようやく大元に辿り着き、いつ摘発するかと着々と準備が進められて来て、ようやくその計画が実行される事となった。それも、ここ数年で最も大きなオークションとなるようで、他国からの参加者も居ると言う情報もあった。そこで動くのは、国王直属の騎士団。それで問題無いだろうと思われていたが、魔獣が関係しているとなれば話は別となる。

騎士団の中にも魔法が使える者も多く居るが、それでも魔道士とは雲泥の差がある。そして、魔道士の中には魔道騎士と呼ばれるエリートも居る。今回は、その魔道騎士(エリート)が同行する事になるだろう。


「魔獣を扱うって事は、()()()にもそれなりの魔法使いか魔道士が居るって事だな」


魔獣を扱うには、それなりの魔法や魔術が扱えないと対応できない。組織はそれなりの大きさだから、それなりの魔道士が居たとしても不思議ではない。今回判明した組織のボスが、公爵だったのなら尚更だ。それに、後援として他国の王族も絡んでいるのだ。


「その組織を潰した後、何ヶ国かは暫くの間は騒がしくなるかもな」

「これでその組織が潰れて人身売買が無くなれば、それは些細な事だよ」


売られて奴隷にされた多くの者は獣人。

国内の紛争に、使い捨ての兵力として買われたのは、魔力持ちの子供達。

愛玩具として買われた令嬢達。


どの場合でも、親が居なかったり親に捨てられたりした者が殆どではあるが、中には攫われた上に売られた者も居る。特に、珍しいモノはそうだった。今迄証拠が見付からなかったのは、公爵や他国の王族が綺麗に証拠を消していたからだった。


それも、これで終わりだ───


「兎に角、追加メンバーの発表がこれからあるから、中央ホールに集まるようにだってさ」

「わかった。なら、直ぐに行こうか。きっと、俺達は参加メンバーだろうな」

「多分な」


俺とフロイドの実力は、魔道士団ではトップクラスだ。今回の摘発を完璧に遂行する為には、実力で選ばれる筈だ。俺達2人は確定だろう。


ー彼女が平和に暮らせる為にも頑張らないとー


彼女の容姿は珍しい部類に入る。この国に来てもらうには、少しでも不安材料を取り除いておく方が良い。俺にとっては、良いタイミングでの摘発だ。


ー早く、会いたいなー


俺は、逸る気持ちを抑えながら、フロイドと共に中央ホールへと向かった。







******



まさか、身内に裏切り者が居るとは思わなかった。


俺は強大な魔力を持って生まれた為、特に後継者争いなど起こらずにトップの座を受け継いだ。実力主義だ。そんな俺の子もまた、それなりの魔力を持って生まれた。今はまだ幼く、見た目はか弱い男の子に見えるが、アレは()()()()の性格をしている。流石は俺とミケイラの子だなと思う。アレの本性を知っている者も極僅かだ。普段のアレは、俺の子か?と思う程チョロそうな雰囲気を醸し出しているのだ。チョロいと思っている者は多いだろう。

ただ、直接俺に手が出せないからと、アレに手を出すとは………アレも、おとなしくされるがままになっていると言う事は───


ー相手を潰すつもりなんだろうー


ミケイラには『心配だ』と言われたが、もう少し様子を見るのも良いと思っている。アレの立ち位置をハッキリさせる為にも。ただ、善良な被害者に被害があってはいけないから、数人の影を送るだけにして、暫く様子をみていたのだが───


「まさか、魔獣を放つとはな………」


単なる魔獣ならまだ許容範囲だったが、裏切り者が放ったのは幻獣レベルの魔獣だった。幻獣レベルともなれば、強大な魔力持ちの俺でも、ギリギリ御せるかどうかだ。


ーこの落とし前は、必ずつけさせてもらおうー


()()は無事なんだな?」

『はい。何かあれば、直ぐに動く準備も整っています』

「なら良い。アレの判断に任せる。戻って良いぞ」

『御意。では、失礼を───』


裏切り者は早々に判明し、証拠も集めた上で泳がせている。以前から何かとアレに敵対心を剥き出しにしていた者だ。アレと同年の自分の息子の方が、後継者に相応しいと思っているのだ。アレの外見に惑わされている愚か者だ。されど、それなりの血筋が故に、見逃してやっていたと言うのに。

切り捨てる切っ掛けを、自ら作ってくれるとは、何とも有り難い事だ。


「俺達も直ぐに動けるように」


何処とへなく声を掛けると、部屋の空気が軽く動いた事が分かった。






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