表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/78

34 半端無い応用?

「マシロの……母親!?」

「私が居ない間、“茉白を支えてくれてありがとう”と言いたいところだけど、そもそもの要因が貴方だった事と、貴方が茉白にした事を考慮すると、“ふざけるな”と言う言葉の方が相応しいわ」

「は?」


確かに、コイツの魔力は素晴らしいモノがある。でも、自分がした事についての責任感が全く無い。身勝手に使用禁止の魔法陣を使用すればどうなるのか?それすら調べる事もせず使用し、その魔法陣で他人を召喚して、その後の確認もせず調査する事もしなかった。


本当に、失敗しただけだったのか?


他人を巻き込んでいたのなら、きっちり調べるべきだった。


「茉白を呼び付けたくせに、放置したんでしょう?」

「それは違う!こちら側に来ていたなんて、本当に知らなかったんだ!」

「そう。知らなかったなら……仕方無いわね」

「そうだ!だから、今度こそは俺がマシロを王女殿下から護る為に──」

「アンタに“次”なんてある訳ないじゃない」


握っている手に更に力を入れて、そのまま浄化の魔法を掛けていく。


「っ!?一体何を!?」

「浄化の魔法は応用が半端無いって言ったでしょう?この魔法も応用の一つでね。少し手を加えた浄化の魔法を体内に流すと、その体内に流れている魔力をクリーンにするの」

「魔力をクリーン?」


これは、魔力過多の者に対して私が創り上げた魔法の一つ。多過ぎる魔力をクリーンにして、体内の魔力を調節すると言う治療の一種だ。ただ、そのクリーンする魔力の量を間違えると、今度は魔力が枯渇して生死に関わってしまう為、その力加減が重要となってくる。勿論、枯渇寸前!なんてミスは今迄一度もした事はない。()()は───


「私も、魔法を使うのは久し振りだから、匙加減が難しくて………」

「何……を……あぁ……魔力が………」


ガクンッ──と、()()()が力を失ったようにその場に崩れ落ちる。


「あら、ごめんなさい。貴方の殆どの魔力をクリーンしてしまったわ。回復する迄2週間は掛かるわ」

「な…………」

「うん。丁度魔法陣の上書きも終わったわ」


書き上げた魔法陣に魔力を流し込み、魔法陣を展開させると、白い光がフィレの体を包み込んだ。


「1、2週間だけだから。マシロだって乗り越えたんだから、この世界の貴方なら余裕でしょう?取り敢えず、無事に帰って来る事を………祈る訳は無いかもね」

「何を……一体俺を何処に───」


フィレが言葉を最後迄口にする前に、転移されて姿が見えなくなった。




「“フィレ”じゃなくて“フィンレー”だよ」

「あら、そうだっけ?ま、別にアイツの名前なんてどうでも良いわ」


フィレの姿が見えなくなった後、私の後ろから現れたのはレナルドさん。


「ユマは相変わらずだな」

「そうね。否定はしないわ。衰えてないどころか、寧ろ前より調子が良いかも」


浄化の魔法は普通の魔法よりも多くの魔力を必要とする為、浄化の魔法を使うと体が重くなったりする事もあったけど、今は逆に軽い感じがする。魔力もまた、持っているだけよりも使った方が体に良いのかもしれない。


「にしても、()()で良かったのか?オールステニアと竜王国の王からの許可があるから、もっと苦しめてやる事もできたが……」


フィレと王女が手を出したのが、救国の聖女とその娘だと知った時のオールステニア国王は、今にも倒れんばかりの表情だったらしい。それもそうだ。国王─ベネットは、私の性格を把握しているのだから。


()()はいつでも良い!ユマの納得の行くように処置してもらって良い!大丈夫だ!』


と、今回私が直接動く事を許可してくれたのだ。

この世界では、下の者が上の者に手を出した代償が、命になる事が当たり前だったりするから、レナルドさんも、私が下した処罰は軽過ぎると思っているのだろう。


「私は過剰に仕返しをするつもりはないの。過不足なく仕返しをするだけ。過剰な仕返しをして、その過剰分が私に返って来ると言うなら素直に受け止められるけど、それが茉白に返ったら?私はそうなれば自分自身を許せないし、恐ろしいの」


『もう直ぐ着くから』と○ineを送信した後、乗っていたバスが横転して──気が付けばこちらの世界に居た。幸い、見慣れた王都近郊の領で、運良くレナルドさんに直ぐに会う事ができて助けてもらえたけど、茉白と離れ離れになっていた3年間。心にポッカリと空いた穴は、何をしても埋まる事はなかった。そんな私がこの世界で再び頑張って生きていたのは、茉白の元に帰る為だった。


「確かに、茉白は死んでいたかもしれなかったと思えば、殺しても殺し足りないけど、茉白は運良く良い人達に救われて、また会う事ができたから。それに、茉白も、アイツの死は望んでいないし、自分のせいで──なんて、逆に茉白を追い詰めてしまうと思うの」


あんな男の為に、茉白が気に病む事なんてしなくて良い。茉白には、これから先は幸せになって欲しい。

その幸せを邪魔すると言うなら、私が返り討ちにするだけ。



ー王女はどう出て来る?ー




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ