第50話 高速移動の本質
クリスの奇襲の一撃は易々と避けられてしまった。
フィアノールは即座に射撃すると、広い道路にフィアノールは出る。
クリスはその銃弾を反射で避けると同じく道路へと出て遮蔽物に身を隠す。
移動するフィアノールを視界に捉えたその次の瞬間にフィアノールの姿は消え、すでに真横を取られていた。
フィアノールはまたすぐに射撃するとクリスはその弾丸を避け、フィアノールとの距離を詰める。
時間稼ぎをするつもりだったけどダメだ。距離を取らせると追跡に戻られる。そもそも遮蔽物に隠れようとしても、移動が早すぎる。
迫るクリスを見てフィアノールは射撃しつつ後方へ1mほど瞬間移動をするが、クリスの脚の方が速い。
クリスは[不変剣]を振るうがその一撃をフィアノールは屈んで避け、もう一丁の拳銃を取り出す。
2丁拳銃.....どちらも同じ六発のリボルバー銃。トリガーが引いてあるからシングルアクションの類でトリガーを引く必要がある。
クリスは屈んだフィアノールに対して蹴りを打ち込むとその衝撃でフィアノールが跳ぶように見えたその次の瞬間、本来なら避けられるであろう攻撃は致命的な殺意へと変わる。
「ッ———!!?」
二つの銃声が鳴り響く中でクリスが一瞬で視界にとらえたのは四発の銃弾であった。
クリスはその射撃に混乱しつつも、体を大きく捻り避ける。左腕と腹部に銃弾が着弾するが致命傷は回避する。
この一瞬で激痛が身体を支配しそうになるも、クリスの思考はむしろ早く回転していた。
能力系統も不明、ただ一つわかるのはエックスと同じ特級者であること。絶対的な力を持つことしかわからない。
過去戦闘で思い出せ....リドの話によると魔法は短距離の瞬間移動を繰り返し、戦場を駆け回っていた.....そうなると部分的な高速移動による射撃....例えば銃弾を高速移動させた......?いや....
フィアノールはそのまま後退し、クリスと距離を離す。一方で攻略法もわからない中でクリスは走り、距離を詰める。
フィアノールが屈むように見えたその瞬間、4つの銃弾がクリス目掛けて飛んだ。
頭部、胸部、そして両足に向かっている。クリスはその攻撃を横に避け、法則性を理解する。
フィアノールが屈むような僅かな動作、それはおそらく射撃のタイミングだ。もちろん射点と撃つ方向が見えない以上は明らかに脅威でしかない。だが、発射タイミングがわかるだけでも十分だ。
距離を詰められることをフィアノールは恐れている。そして銃弾が4発となるなら、移動のための足、もしくは人体の急所を狙うはずだ。これが単なる兵士の攻撃なら精度はぶれてどう当たるか分からない、だがフィアノールは相当な手練であり、射撃精度の高さから、ランダム性のあるズレは生じない。だからこのような予見ができる。
だから相手がどこを狙うかさえ明確にわかれば———
クリスは同じようにフィアノールが屈むように見えたその瞬間、避ける準備を始め、避けたその瞬間、避けた場所にも銃弾が向いていることに気づいた。
「ぐっ.......!?」
クリスは身体を大きく捻らせ、[不変剣]で急所を守りつつ、左腕でその銃弾を防御する。
「そんな単純な予見なら、ワタシだって予見できる。運任せに避ける気ならワタシだって避ける方向に打てば良いだけだから」
銃弾は、中央、そして左右両方に撃たれていた。たった一瞬で対策を潰された。フィアノールはゆっくりと後退を続けている。このままだとジリ貧どころか、負ける可能性が高い。相手の魔法を見極めろ。
そもそもワープ能力だったらどうしてこんな短距離でしか使わない...? 背後を取るなどすればいいのにしない理由がある....?
指の高速移動による射撃なら構造的に指を動かそうが一つの銃で2発同時発射なんて不可能だ、そもそも距離を取る必要があるなら既に高速移動を使って確実に僕が攻撃できない位置から攻撃すれば良い......そうなると移動系ではない、次に透明化などによる見えない銃による射撃.....それならそもそも短距離ワープの説明がつかなくなる.....
もしくは因果を先に進める能力か....? 銃弾を撃ったという因果を先に進めて四発射撃をした....?確かリドとメスマーが戦った際に側方ではなく下に降りるように避けたと聞いた....そうなると先に進むという因果を進めたことでその結果が即座に反映されたのか?
いや、だったら横によけるという因果で進めれば良かったはず。そもそも因果を進める能力なのだとしたらなぜ銃弾が僕の脳に着弾したという因果の進め方をしない...?制約....いや、道具系である以上はもっとシンプルな理由があるはずだ。
短距離ワープをなぜ使わない....いや考えろ、短距離ワープだけなら僕でも追える速度だ、四発射撃をされながら逃げるようにワープされれば追えなくなるがなぜそれをしない.....? するとあの攻撃が難しくなるからじゃないのか....?そもそも僕.....つまりクリス・C・フラクトリアは射点が見えると容易に避けれるという情報は伝わっている、だからこんな風にしてる....そうなると考えられる可能性は.....
おそらく時間停止だ。
時間遡行で未来に行き、射撃してる可能性や、銃弾だけ過去に飛ばすなど考えたが、それなら短距離ワープに似た動きで距離を取りつつ銃を撃つくらいできるはずだ、幻影系統だとしたら、そもそも銃弾が着弾した地面がえぐれてる時点でまず違う、分身だとしたら他に撃つ人が見えないことに関してどう説明するって話だ....そもそも予備動作がある時点でおかしい。
そうなると限定的な時間停止の可能性がある。フィアノールの魔法は道具系。そうなると微調整が効くわけがない。
フィクションでよくあるような自分だけ動けるような都合のいい時間停止は制御系でない限りはありえない。
現実的に自分だけが動けたところで服が体を邪魔し、銃は機構が動くわけがない、そうなると接触してるものは静止できないはずだ。
実際に停止能力が自分と自分が持っているもののみを動かせるのであれば、もっと単純に時間停止中に僕の頭ギリギリに銃を構えて撃てば殺せる。だけどそれをしないことからも“触れてるものは停止できない”というのは合ってるように思う。
そして服を通して銃を動かしてる時点で間接的に接触してるものも静止できない、そうなると屈む動作にも説明がつく、あれは跳ぶ時の予備動作だ。
そして停止した瞬間にまず二発射撃する、時間停止中に撃った弾は銃から離れた時点で停止され止まる。そして落下するまでの一瞬でハンマーを引いて着地と同時に再度射撃することで四発射撃を実現してるんだ。
地上では地面を伝って間接的に僕と“触れている”から静止できない。だから自ら離れることで時間を停止させているんだ。
短距離ワープに見える動きは、跳びながら走る瞬間に静止し、自分だけが移動する瞬間を作り、地面に落ちると静止を解除する。これを繰り返すことで短距離ワープのような動きを実現してるのだ。
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