第5話 医療科学者ガール
〜研究室〜
今までとは違い薬品や謎の機械に満ち溢れ、科学者たちがそれぞれの分野の研究を行う研究室、そこで1人の科学者に大剣を見せることとなった。
「えっと.....」
「確かにこれは魔法だ、素晴らしいね。すごいねこれ、うんマジですごいねコレ」
大剣を持っているこの丸メガネをかけた白衣の女性は無表情ではあるものの、口調が興奮しながら言っているようでなんとも掴みどころがない。ボサボサの髪で見た目には頓着していないようだ。
「この女性は一体? なんというか....botみたいに何度も同じこと繰り返すね....」
クリスが小さな声でロイに耳打ちするとロイは答える。
「ん? なんて.....? まあいいか。トーカさん、この国一番の医療科学者なんだぜ? 科学者ではあるけど医療知識も持ってるから医者でもあるすごい人なんだよ」
「そうなんだね」
「———というかマジで魔法なんだなコレ、ちなみにどういう魔法なんだ? トーカさん」
「えっとだねアレだよアレ、アレなんだって。まず名前つけないとだよね。そうだないい名前にしないとね。うーんと不変剣、これすごい、なんとねすごい、これは錆びないし刃こぼれしないし壊れないね、マジでなにしても壊れない、多分爆弾でも無理なんじゃないのかなこれ」
トーカは大剣を撫でまわし、クリスが困惑しながらも手をゆっくりと伸ばすとトーカはクリスに大剣を押し付けるように渡す。
「でもこれすごい重いね、うんすごく重い、10kgはあるんじゃないのかな。うん、僕が運動不足なのもあるだろうけど、明らかに重量がおかしいかな」
「そんなにおかしいの? トーカさん的には」
「いや別に、別にねそんなに謎って訳でもないよ、言い訳とかじゃなくてただ重いなってシンプルに思っただけ、うん、重いって言っても私的な考えだし。個人的な考えってやつ」
ロイの言葉に相変わらず表情は変わらないながらも早口で言い続ける。そんな中でクリスは疑問を口にする。
「魔法ってこの不変剣と鉄生成の二つしかこの国にはないのかな?」
「あー、それだったら俺も知ってるぜ、えっとな———」
ロイはクリスの質問に答えようとするが、トーカはハッと何か思い出したようにロイに言う。
「ロイ、そういえばさ、ロイくん。前に君が頼んでたものを用意しといたよ。ちょっと持ってくるから待っててねそれとクリスくん、ちょっと外に出て待っててくれないかな? いいかな?」
「ああうん、わかったよ」
そうして研究室をクリスが出るのを見るとロイはトーカに聞く。
「俺何か頼みましたっけ? 応急キットならまだ残って——」
「あの男の子、一体何者なのかな? 探索中に会ったって聞いたよ、ガルグさんからね、団長さんから聞いたんだよ。どういう人なのか教えてくれないかな?」
「いや俺も詳しいことは知らないよ、団長の判断でとりあえず来ることになったってことしか...」
「それは僕も知ってるよ、うんわかってることなんだけどさ、そうじゃなくてさ。つまり違うってことなんだけど。どんな言動だったかとか色々覚えてたりする?」
ロイはその言葉を聞いて頭を回そうと「ぬぬぬ」と変な声を出しながら悩ませる。
「えっと....なんか世間知らずというか。オアシスのこととか国のこととか魔法のとか、カプティブって言葉すら知らなかったぜ? 自分自身のことなのにな」
「.....そうなんだね、ふーんそうなんだね。すごく変な男の子のようだね、とりあえず魔法については言わないようにしてね。それとさ、ロイくん」
そう言ってトーカがロイに手渡したのは小さな丸薬であった。
「これは痛み止めね、飲んだら切り傷くらいなら痛みがなくなるよ、すごいね、ただ指とか切断すると流石に痛いからね、普通に痛いからね、痛いから気をつけてね」
「こんなもの頼んだっけ」
「違うよロイくん、でもね。もし何を渡されたのか聞かれたらこれを見せて乗り切ってね」
ロイはわからずトーカの前で首を傾げると、トーカは言う。
「会議の時は相当強かったらしいね、それに記憶障害の割には出会った時に痣。[解放]を使ってたみたいだね、何かおかしい気がするんだよね、クリスは研究室にはできるだけ来ないようにしといて、出禁ね。出入り禁止だよスパイの可能性がかなり高いし」




