第49話 応急処置
「捕まえたよ...っ!」
リノア達のミスは突然のことで避けることのみに集中してしまったことだ。
ロイの乗った車両はうまく止まることができずそのまま先へと進んでしまう。
車での突撃の際にリドはすぐに車体に飛びつき、2人が避けた後にすぐ車体から飛び降り、リノアの腕を抑えたのだ。
「この....離さないと....ッ———!?」
鈍い音が鳴り響く。抵抗するリノアに対してリドは容赦なく腕を折ったのだ。
それを見てネクは即座に[触手]でリドに攻撃しようとするが、ディアが飛び出しリドを庇うように[触手]が直撃し、壁に叩きつけられる。二台目の車両にいた班員が走り出す。ネクの前には遮蔽物となる壁があり、援護射撃ができないからだ。
「ぐ.......ぅ...ッ!!」
吐くほどの激痛が腹部を襲う、よく見ればディアは服を脱いでおり、上半身は下着しか着ていないような状態であった。肝心の服はというと手に持っており、[触手]を包んでいた。
ディアは服ごと[触手]にナイフを突き刺すと、[触手]は痛みで暴れ出す。だがディアは執念でそれを抑えると、すぐさま裾部分を壁を伝うパイプに結び[強膜]を貼る。
「な......ッ!?」
ディアの衣服は硬く剥がせない。まるで手錠のようにネクの[触手]を捕らえていた。
しかしネクはすぐに頭のバンダナを空中に軽く投げると触手は霧のように消える。
簡単な話、道具系でないのなら基本的に魔法を捨てれば消える。身体から離す必要があるため、リスクはあるが[触手]をこれで再使用ができる。
遮蔽物で銃弾は警戒する必要はない。リドはリノアの抵抗が激しく攻撃することはできない。ディアは先ほどの一撃で体幹揺れて立っているのも辛いような状況。
ネクはバンダナを再度被り、攻撃を仕掛けようとした次の瞬間、銃声が鳴り響く。
「———ネクぅ…..ッ!!」
リノアの乾いた叫びが銃声の後に鳴った音であった。
胸にくる焼けるような熱さ。それを自覚したのはネクであった。
ネクは自身の心臓にゆっくり手を当てると、ベッタリと濡れた感覚がわかり、理解する。
そのままネクの身体はゆっくりと崩れ落ち、倒れ伏した。
一方で硝煙が上がる元にいたのはロイであった。息を震わせ、だが非常に冷静にネクが堕ちる様を目に焼き付けて、銃を下ろす。
「あっぶねえ....」
ロイはそう呟くとその場で脚の力が入らなくなり、地面に倒れる。
ようやく戦闘が終わった。そう感じてしまうほど安堵してしまう。
「ぅう!! ぐ...ッ!!!」
リノアは殺意に満ちた顔でリドの拘束を必死に解こうとするがリドは臆することなく指示し始める。
「まだクリスくんが戦闘中のはずだよ! 援護に向かうんだ!」
ディアは意識が飛びそうになるがまだ保っており、倒れたロイの元に行くと手を出す。
「大丈夫ですか? ロイ」
「ああ.....なんとかなる.....」
ロイはディアの手を取り、立ち上がるのだがディアと目線を合わせようとしない。不審に思うディアであったがロイはゆっくり口を開く。
「その............服着ろ......よ.....」
「あ.......必死でつい.......」
ディアはようやく自分の状態を自覚し、若干顔を赤くして服を着るのであった。




