第45話 高速の蹂躙
フィアノールはリドのいたビルの中に侵入する。
次々とくる兵士達に対して無双していた。
通路の等間隔で広がる障害物から出てくる兵士が出てきた瞬間、その眉間に銃弾を撃ち込んでいた。
瞬間移動と射撃の繰り返しの中で、フィアノールは思考をしていた。
一級者クリスを三級者4人なら倒せる可能性はあると思うけど甘く考えない方がいい.....
足留めは20分.....いや、少なく見積もって10分と仮定すべきね。
この数分で合計31人、残りは20人程度。
[魂迫]で確認した限りでも魔法使いはさっき手に入れたばかりの人間、然程脅威にはならないでしょう。
私の役割は階級者が来るまでの数分で壊滅レベルに追い込むことなのだから。
フィアノールは階段を登り上階へと進んでいく。戦士が階段から飛び降りるように奇襲を仕掛けるが、その一瞬で銃弾を撃ち込み絶命させる——
が、それと同時に窓の淵に隠れていた戦士が現れると剣をフィアノールに向かって振るう。
だがその次の瞬間にはフィアノールの持つナイフが戦士の首に届いており、頸動脈を切り裂かれる。
死ぬまでの僅かな猶予で戦士は拳をフィアノールに打ち込むが、フィアノールの姿は消える。
すでに階段で上階に向かっており、薄れゆく視界の中で彼女の後ろ姿を捉えることしかできなかった。
フィアノールはビルの上階に既に到達しており、屋上まで登ろうと階段に足をかけるが、その時、同階の廊下にいるディアの姿を捉える。
フィアノールはすぐに[注視]すると、魔法を持ってることを確認し、すぐに階段にかけてた足を外し、同階にいるディアの方へとターンする。
一瞬にしてディアとの距離を縮めていくフィアノールであったが、その次の瞬間、側方のドア枠から白い煙が舞い上がり、ディアとフィアノールを遮断するかのように廊下を包む。
ただの煙...?いや、それに準じて紛れる罠の可能性ね。[煙生成]なら大した能力じゃないし、可能性は低いけどもし魔法なのだとしたら”制御系“により煙を物質化したりする可能性の方が高い....一度煙を吹き飛ばすべきでしょうね。
フィアノールは一瞬だけ止まると手榴弾のピンを即座に抜き、煙に向かって投げるがそれと同時に煙の中からリドが飛び出すと拳銃を向け射撃する。
だが、リドの視界の中から突然フィアノールの姿は消え、困惑する。背後では爆破が起こり煙は爆風で吹き飛ばされる
あたりをすぐに見渡すとフィアノールは既に遮蔽物の方へ向かっており、リドに銃を向けていた。
フィアノールが引き金を引いたその瞬間にリドは死を覚悟しつつも、左腕を自身の頭にまで上げると、防御したことで銃弾は左腕に命中し、激痛が走る。
「う.....っ!!」
リドは痛みで顔を顰めるが微かに微笑むと、そこで止まることはなく、銃をフィアノールに投げつける。
フィアノールはリドが投げた銃を片手で弾き飛ばす。だがリドはその一瞬でゼロ距離まで近づくことに成功し、フィアノールの顔面に向けて蹴りを打ち込もうと振るう。
だがフィアノールはその蹴りに対して極限まで脚を開き低姿勢をとると頭上をリドの脚が通り過ぎた瞬間、リドの顎に蹴りを打ち込む。
さらに同時に拳銃の激鉄を引くとリドに向かって銃を撃つ。
しかしリドは身を翻すことでその銃弾は右胸に命中する。
リドはナイフを右手に取るとフィアノールに投げつけながら距離を取るため後ろへ跳ぶ。
フィアノールはナイフを見て反射的に避けるがその瞬間、リドは叫ぶ。
「今だよッ!!」
その言葉が響いた瞬間、フィアノールの立っていた地面が一瞬にして崩壊し、その瞬間にフィアノールは思考する。
急に崩壊した....壊れる様子はなかったはず....
いや、理解できた。おそらくだけどあの子の魔法ね。
物質を強化する”制御系“能力と聞いた。だからおそらく“崩壊寸前だったビルの床部分”を強化して私がその地点に立った瞬間に解除することで崩壊する落とし穴のようなトラップになったってことでいいかしら?
この男がわざわざ戦闘を仕掛けてきたのも、おそらく私が飛び越えて罠が発動できないという状況がありえる。だから戦闘で足止めをして誘導したというわけなんでしょうね。
フィアノールは重力に任せて落下するが、そこで罠の真意に気づく。手射ミサイルを持ったマルクがおり、ミサイルが落下するフィアノールにまで迫っていたのだ。
だがその次の瞬間、空中にいたフィアノールの姿が消える。
「消え....!?」
フィアノールは既に落下地点にいる。そう認識した頃には銃弾がマルクの目の前にまで迫っており、避けることもできずマルクは死亡する。
フィアノールはすぐに走り出し遮蔽物に隠れ爆発から身を守る。
爆発音が鳴り響くなかで上階にいたリドはその場に倒れると傷口に包帯を巻いていた。
「だ....大丈夫ですか...!?」
ディアは少しでも応急処置をしようと考えて近づくがリドは笑う。
「....うん、この程度は問題ないよ...ッ! それよりも早く逃げるんだ..!」
ディアはその言葉をすぐには受け取れなかったが、こくりと頷くと上階の階段へと歩みを進める。
「さて....どうしようもないんだけどね....」
リドは1人で弱音を吐く。
結局心配させちゃったよ.....心配かけないようにいつも笑顔を作るようにしてたんだけどね。
本当はあれで倒せれば良かったんだけどさ...そうもいかないよね〜....物に物理的に触れてなぞるよるに貼る[強膜]は大きい物ほど時間がかかってしまう。だから下の階にいた人たちに死ぬ気で時間を稼いでもらったのにこの結果は顔向けができないな〜......
みんなごめん....
ディアちゃんを逃す時間を稼がないと....ここにディアちゃんがいるという認識を持たせてる間に....
リドはそんなことを考えていると、外から見えるものを見て笑う。
「いや、もしかしたら....あるかもね」




