表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰と魔法の荒廃戦  作者: 山田浩輔
時の被災
40/58

第40話 階級者とは

 点々と設立されたビル群は空をところどころ切り裂くように囲まれ、幅が車両3台分ほどある通路を歩く中で、クリスとメスマーは班員を連れて前を進む。その時クリスはメスマーに声をかける。

 「一つ疑問に思ったこと、いいかな」

 「どうしたの?」

 クリスはメスマーの持つ[起動紐]を指差すとその疑問をぶつける。


 「階級者って魔法の強さだと思ってたんだけど、ラクトミルやウォルトを見ると、そうでもないような気がするんだよ。戦闘能力ならウォルトとラクトミルならウォルトの方がカプティブだし魔法もないから上のはず。それに魔法は受け渡しができるのに、どうして階級なんてものがあるの?」


 クリスに疑問に対してメスマーはクリスの頭に向けて指を指す。


 「階級は敵対した時の脅威度、[強さ]っていうのは総合力だよ」

 「というと?」

 「たとえば私は三級者。その理由は[起動紐]による機動力の高さと奇襲性.....私はできるだけ最大限の方法で戦うけど敵の策略は読み解けない」

 

 メスマーのその言葉を聞いてクリスは考えがまとまり、すぐに言葉を返す。

 「そっか、要素としては全て大事だけど特に“知性”が重要なんだね」


 「そう。たとえば魔法が弱くても知性と状況、準備が整えばどんな人間だって殺せる....魔法は誰にでも渡せるのに何故階級があるのか。それはその魔法を最も完璧に扱える人間が使うから、ただの兵士が一朝一夕で扱えないし....そうなると一番“強い”人間が使うべき」



 敵対脅威どの階級者の条件は簡潔に言えば“強い者“であることだ。


 三級者は自身の能力を最大限活用し戦うことができ、特定の状況や相性によっては絶大な能力に化けることすらあるだろう。敵の策略を読むことは難しいが最低限戦闘での思考を行うことができる。

 該当するのはメスマー、ネク、ディア辺りだろう。


 二級者はあらゆる戦闘に対応できる汎用性と敵の魔法を読むことで制限を見抜き、個の戦闘では隙を見せず戦う能力を持つ者のことである。


 一級者は能力を読み解くだけでなく、個の戦闘だけでなく大局を読むことができる頭脳を持つ者だろう。

 そして知性だけではない。いい例を挙げるのであればギアスやラクトミルであろう。


 ギアスはメアリーの策略をギリギリながら見抜く知性に加え、鉄球の重力操作による即座の接近戦すらこなすことができる。


 ラクトミルはフェーズ戦略による予測と殲滅を行うだけでなく。接近戦でギリギリながらカプティブの中でも異常な身体能力のクリスの蹴りを避け、油断はありつつも一撃だがクリスに対して拳を撃ち込んでいる。


 特級は確かに規格外。だが一級者もまた戦いにおいて知略と戦闘力を両立する化け物に他ならないのだ。



 この世界において魔法だけが強いだけでは勝ち目はない。どれだけ強力な魔法であろうと隙を突かれれば、相性が悪ければ、合理的な選択が取れなければ、策略に溺れれば誰もが平等に死ぬ。優れた頭脳がなければ魔法を持とうがカプティブだろうが階級者になどなれない。


状況や相性によっては誰だって勝機はある。だがその状況や相性を作り出すこともまた強さだろうがそこは入らない。



 魔法を他人に渡しての奇襲も戦略であろうが、それを行うのが少ないのは、バレた時の危険性と、魔法を持った者の判断が遅ければ即座に敗北へと直結し奪われるリスクの高さから非常に少なく、だからこそ階級者が魔法を持つことが多いのだ。


 階級者とはいわば盤上の駒の強さ。飛車は角は脅威で、歩は最弱であることに変わりはない。だが取られても良いその性能は攻撃力において類い稀ない強さともなる。



 クリスは階級者のことに納得すると同時に新たに疑問が生まれる。


 「あれ、でもこれって———」

 「危ないッ!!」

 

 その瞬間、メスマーはクリスに飛び掛かるように身体をぶつけ、クリスはメスマーの襟元を掴むと後ろへ引き大きく後ろへと跳ぶ。



 するとそれとほぼ同時にクリスがいた地点に大鎌が突き刺さる。


 その場に現れたのはカプティブの少女メロであった。廃ビルから現れたのだろう。頬を見るに痣があることから[解放]状態であり、2人は戦闘に入るやいなや[注視]し、魔法が無いことを確認する。

 

 魔法の有無叫ぶことは同時に自身が“魔法を所持している”とバラす行為でもある。敵が魔法使いでない場合は[注視]結果を伝えない方がいい。

 なぜなら相手が魔法使いならこちらも魔法使いでバレていると考えていいが、魔法を相手が持っていない場合は伝えると魔法があると無意味にバラすことになるからだ。


 メロは大鎌を即座に地面から抜くとクリスの方へ走り出す。それを見たクリスは[不変剣]を構えると大鎌の振りに合わせて剣戟を振るい、大鎌を弾く。


 


 メスマーはそれに合わせてショットガンをメロに構えるが次の瞬間、[触手]が2本飛んでくると一本はショットガンに激突し軌道がずれ空へと銃を撃ち放ち、もう一本は班員の1人に激突し吹き飛ばされる。


 そしてそれと同時にメロの背後。彼女が立つことによってできたクリスにとっての死角からラントが飛び出し、ナイフをクリスの首へと振るう。

 

 クリスは[不変剣]を手放すとラントのナイフを躱しながら蹴り飛ばす。だがその時、背後からくる足音がわずかに聞こえるとクリスは叫ぶ。

 「背後にも誰かいるっ....!」


 それを聞いた班員たちは反射的に後ろを向く。だが同時にクリスの背後で銃声が2発鳴り響き、その方向を見ると、2丁のリボルバー拳銃を持ったリノアが班員たちを射殺していた。



 

 

 致命的に間違えた.....! この一瞬でメスマー以外の班員全員が一瞬で殺された.....いや、もっとまずいのは背後からの奇襲に僕が気付けなければ僕とメスマーが先に殺されていた......!


 戦闘中の僕らと違って班員たちは銃を撃てる状態だった.....だから優先順位が変わっただけで彼らがいなければ終わっていた.....!

 

 正面のカプティブは身体能力はそこまで高く無い.....


 ナイフ持ちは正面戦闘型じゃない....カプティブの後ろに紛れてたことから奇襲型...


 背後の女が僕らを撃たなかった理由はリボルバー銃だから最大で二発同時まで発射できないから....激鉄を引かれれば次で撃たれるだろう....


 正面の奥のはおそらく魔法使い....中距離で打撃を与える能力で斬撃的な能力じゃない....そして[触手]は2本までしか出せない...


 なぜなら2本以上出せるなら僕に攻撃をして隙を作ればナイフに首を切られていたから....ッ


 [解放]をするために八芒星を描く時間がない....ここは———



 刹那の間にクリスはそう思考すると、メスマーの方を向くのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ