第39話 班戦
ネクは銃弾を避けるため身を潜める。
リノアとラントが戦士を倒してるだろう...であれば僕は無理に倒す必要はない。ここにいるだけで牽制できる...
ネクはそう思考しつつ、[触手]での攻撃のため、隙を窺うがディアのある言葉を聞く。
「マルクさん!ミサイルで敵を!!」
「了解...!!」
ネクは飛び出して攻撃しミサイルを止めようとも考えるが、射撃により殺される可能性を考え、ネクは出入り口から素早く離れ、倉庫を囲うコンクリートの塀の裏へ隠れる。
爆破と同時にディア達が飛び出す可能性を考えいつでも迎撃できるようにネクは扉が爆破される瞬間を待つが、次に爆発音がしたのは側方であった。
「しくじったな.....」
敵にミサイルを撃つというのはおそらくブラフ、見えてはいなかったがおそらく指で打つ場所を指示したのだろう。
ネクは一瞬でも足止めをするために土煙の舞う中に[触手]での攻撃を伸ばすが、何かにぶつかる感触がするとともに痛みが走る。
「痛っ......」
[触手]が目の前まで戻ると[触手]の先に壊れて繊維が飛び出た木板が刺さっていた。
「なんだ....これ....っ」
*****
「あれ効いたのか...!?」
「ええ.....! 木に[強膜]を貼りました....ッ!」
住宅街の裏を走りながら話すロイに対しディアは答える。
破断して断面に現れた棘に[強膜]を張貼った。普通なら耐久性を考えれば無意味だが硬質化したあの棘なら刺さる武器になると考え行った。
実際追撃は来ていない。突き刺さってわずかに[触手]が硬直したことから恐らく“強化系”であろう。痛覚もあることがわかった。ディアはそのように考えつつ、他班のいるであろう方向へと走るのであった。
「逃げられた....まずいな.....」
ネクはその場で取り逃したことに焦っていると倉庫から青髪で少女リノアと青年ラントが駆け足で現れる。
リノアはネクの傷ついた[触手]を見てから辺りを見て、真っ直ぐと瞳孔を開き聞く。
「ねえ、まさか逃げられたの??」
リノア・オードル。ネクと同じく三級者である。
「逃げられた、申し訳ない」
ネクはリノアの気迫に臆することなく軽く謝るとリノアは興味がなくなったかのように眼を逸らしため息をつく。
「そう....まあいいけど。逃げられたから絶対次は警戒されるんだが」
「問題ないと思うよ。どっちにしろもうバレてもおかしくないしね」
ラントは間に入るようにネクをフォローをするとリノアはため息をつくが、その時後方から声を掛けられる。
三人が振り向くとそこには“リーダー”の姿があり、その後ろには仲間であるカプティブの少女メロと長い無造作な前髪の目立つ男であるラルフもいた。
「もう既に手は打っているの。既に20人は殺したから既に壊滅状態、魔法持ちは合計3人、私たちが見た2人は三級のメスマー、デルタ国ってことからもう1人の武器を持ってるカプティブはおそらくはクリス・C・フラクトリアね。あの剣の魔法はまだわからないから警戒を怠らないように」
「了解です〜」
リノアはにこやかにリーダーの言葉に応え、6人は歩き出した。
彼らの所属国はイプシロン。元々ここにきた目的は探索であり、本来は戦闘する予定はなかった。
だがデルタ側が魔法を手に入れたことと敵側に一級者がいることから戦闘が起きれば被害が出ると考え、奇襲作戦を始めたのであった。
*****
「団長…! 敵襲です!」
ディア達は息を切らしながら団長の元まで走りきると、その場で膝を抑え呼吸を整える。
「それは大変だ! 人間だったかい?」
「は…はい…! 魔法使いが1人と…それと…仲間が2人で1人は確認ができてないです…ッ!」
「わかった。一度メンバーを集めようか! 迎撃体制を取りつつ逃走の準備もしようね!」
テノーが死んだというのにリドは爽やかに胡散臭い笑顔でそう言うと人を集めるために歩き出すのであった。




