第38話 死角の急襲
「あいつ魔法持ってるんだが....どうします?」
「えー、どの子」
「あの赤い髪の女」
「さっきまでは[魂迫]はなかったんだよね?」
「うん、だからだが、おそらく今拾った可能性が高いですね」
「じゃあ殺しちゃわない?」
「まあいきなり使いこなすとは思えないけど警戒は怠らずに」
*****
ディアは先ほど手に入れた指輪を運搬係に渡そうとするがそれを見てテノーは目を見開き、近づくとまじまじとそれを見つめる。
「状態がいいな...魔法の一種かもしれない、これは一度検証がいるか...?」
ディアはその言葉を聞いて先ほどの体験を口にする。
「そういえばさっき...膜を貼った気がします....!」
「膜...?」
ディアは近くに落ちていた木の破片を拾うと、先ほどと同じように指で覆うようになぞると膜を貼る。
見た目に変化はなく、ロイ達は困惑するがテノーはその破片を手にするとあることに気づく。
「....硬い....」
テノーはそう呟くと、木片で地面を思い切り叩く。
すると床板が割れ、それとは対照的に木片は無傷であった。
「おそらく...物質を強化する膜を貼っているんだ。制限はまだわからないがおそらくは制御系だ」
「とりあえず俺が預かっておこう」
テノーはディアに手のひらをみせ渡すように促すとそれを見たディアは指輪を渡そうと手を伸ばすのだが、その次の瞬間に突然物音が側方から響くとテノーは剣を構える。
音のした方向から走ってきたのは青髪のポニーテールの少女であった。弾帯を身に纏っているが銃ではなくナイフを持っている。
「ディア、[注視]しろ!」
「魔法非所持です!」
ディアの言葉を聞いてテノーは応戦するように青髪の少女の方へ走り出し、剣を振る。
少女はその剣撃を避けるがテノーは少女を殴り飛ばし、怯んだ一瞬を狙おうと距離を詰める。
だがその瞬間、物陰から突然何かが飛び出るとテノーの方へ跳び、直後に血が噴き出る。
「ぐ、ああぁぁッあ———!!?」
テノーの首から噴水にように血が吹き出し、出血を抑えようと手で押さえるがダラダラと血が流れ、視界は朦朧と、体温は急激に下がり、激痛が全身を震わせるほど支配する。
物陰から現れたのは茶髪の青年であった。その手には鮮やかな血まみれのナイフが握られており、猟奇さとは裏腹にその表情は無表情であった。
テノーはそれでも剣を持った腕を振り、逃げるように合図する。
ディア達はすぐさま逃げ出し、屋外に続く出口方向へ向かう。おそらくあの2人はテノーが足止めしてる。頸動脈の出血からおそらくもって10秒。急いで脱出しなければ。
「止まってください....!」
走り続けた4人であったが出入り口に着こうとしたその時、わずかな人影が見えたことでディアは止まるように声を張り上げる。
ディアの言葉で他3人も止まるがその次の瞬間、出入り口方向から紫髪の青年が現れると、その青年の頭から何かが飛び出すとディアに向かって音速で襲いかかる。
だがその瞬間、ディアの斜め前にいた運搬係の男がその大荷物を腕で持ったまま飛び出し、その荷物で防御する。
「ぐぁ...!?」
防御に成功するものの、荷物の入ったリュックが引き裂かれ、その衝撃で男は吹き飛ぶ。
そしてそれと同時にディアは青年の魔法に気づく。
「[触手]...!!」
青年の頭からは2本の触手が生えていた。名はネク、三級者の魔法使いである。
全ての階級者はさすがに覚えていませんが...特級と1級までは把握してます.....その記憶はない....特級や一級の可能性は低いと考えるべきでしょうね....
ロイが銃を構え射撃するものの、青年は扉の裏に隠れ、射撃を避ける。
出入り口はひとつだけ、時間を少しでも掛ければ後ろから更に2人来る。早く突破する必要があるだろう。




