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灰と魔法の荒廃戦  作者: 山田浩輔
火薬兵器の国
33/33

第33話 合理的

 「軍曹....前方から人影が.....!」


 「......アレは.....クリスだナ........」



 気絶したラクトミルを担ぐクリスであった。ウォルトはそれを見ると近くの軍兵に対して一言いう。


 「俺が許可したらすぐに撃てる準備をしろ」



 そうしてウォルトはクリスを手招きすると、軍兵を退却させ、塹壕内にクリスを入れる。


 「どうしたんだい? ウォルト」

 クリスはその異様な雰囲気のウォルトに声をかけるとウォルトはクリスを指差す。

 「[解放]は解除しナ、その上で少し格闘訓練と行こう」


 「なんで...?」

 「とにかく[解放]を消しナ」

 

 「一応これブラフで塗っただけだから、ほら」

 クリスはそう言いながら自身の頬を拭うと、黒い痣が剥げ、それをみたウォルトは地面に八芒星を書き、[解放]する。


 「じゃあいくよ」


 その瞬間、ウォルトはクリスとの距離を一気に縮めるとクリスの首を狙い手刀を打ち込む。


 クリスはそれをみて反射的にかわすが、[解放]の使いすぎによる痛みで大きくよろけるが、ウォルトはそれをみて、笑い始めた。


 「はは.....ははははは! とても重症だナッ!」

 「え....本当に何?」

 ウォルトは笑いながら出た涙を拭うと、少し息を整えて、話し始める。

 

 「いやナ、一応魔法による変装やら幻影の可能性があるから一応試したんだ、お前の場合は近接戦の強さですぐわかるからナ。まあでも、やっぱりお前は本物だ。 よくやったぞ、クリス」


 ウォルトのその言葉を聞いて、クリスの唇が僅かに微笑む。

 「そりゃどうも」










 

 *****









 「なるほど、この状況はつまり.....拘束されてると言うわけだな!! はっはー!」


 手足を縄で拘束され地面に横たわるラクトミルは、目覚めたかと思うといつも通りの自信満々の口調でそう喋った。

 ウォルトはそのあまりにも元気な態度に若干引きつつも、質問を始める。


 「アルファ国、なぜデルタに攻め込んだ? 元から予定されていたことなのかナ?」

 「答えようではないか! 貴様にもわかりやすく超簡単に説明をしてやろう! ちなみにお前は誰だ!?」


 「ウォルトだよ、知ってるだろ?」

 「じゃあ攻め込んできた方はやはり違うカプティブなのだな! はっはー!」



 ラクトミルは自分の考えが当たっていたことに喜びつつも、一息つくと話し始める。


 「最大の脅威であるガルグが倒されたことと[鉄生成]の魔法の損失を聞いて現れた! シグマ国との戦争を聞いてチャンスであると考えたからな!!」


 「その情報は誰から聞いた?」

 「多分だけど....メアリーじゃないかな、こっちを襲撃させるために.....まあこれは勘だけどさ——」


 「貴様ぁぁああああッ———!!」

 クリスの話を遮るようにラクトミルは怒りを露わにしながら叫ぶと早口で喋り始める。

 「このラクトミルが言おうとしていることを先に言うのではない! ラクトミルは非常に怒っているぞ! そもそもお前はなんなのだ!? シグマからの情報では伝えられていなかったぞ!?」


 ラクトミルはカンカンに怒っており、クリスはそれをみて、しばらく考えつつ、ウォルトに耳打ちする。

 「ねえ......なんでこの人拘束されてるのにこんなに態度デカいの?」

 「.....一級者は大抵変なやつが多いから....だナ」



 「まあいい、とりあえず仕掛けられた爆弾を解除しナよ、こっちはそれで困ってるんだ」

 「はっはー! いいだろう。ただしこちらも良いだろうか!」


 「何かナ?」

 「バトラーはどうなった!? もう死んでしまったか?」

 ラクトミルの問いに対してウォルトは首を横に振る。

 

 「今は拘束中だナ、まだ生きてる。解放には条件がある」

 「ほう? それはなんだ?」


 


 「デルタ国は今、軍事力に大きな不安がある。だからこちらに降伏し傘下に入り協力しろ。お前はデルタに残り人質という形になる、さらに言えば軍事の際の共闘、人員や火薬資源も要求する。


 「なるほどな..........ッ」

 ラクトミルは少し考えるそぶりを見せると高らかに笑う。

 「いいだろう! 組んでもいい、だがバトラーは貸せない。流石にアルファの階級者2人はな」


 「であればあの爆発武器の製作技術も教えてもらおうか」

 「.....いいだろう、ではさっさと終わらせてしまおう、この戦争をな」



 

 






「随分とあっさりだったね、 もっと抵抗されると思っていたよ」


 「あそこで抵抗してもラクトミルが死ねばアルファ国が滅ぶだけだからナ」


 「それもそっか」

 きっとこの世界は良くも悪くも戦術的に命の価値が非常に重い。守備走があるのもそうだ。人間が繁栄できない世界だから代わりが利かない。だから下手に抵抗しないし、すんなりと進むのだろうね。


 


 

 昔よりずっと殺伐としてるのに、昔の方が......ずっと汚い....



 クリスはそんなことを考え、ほんの小さな虫が周りを飛ぶような、少しだけ嫌な気持ちになる

ここで一旦区切ります、プロット立ててないので続きはしばらくしたらまた出ると思います

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