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第3話 利用価値

 国にはいくつか仕事に種類がある。オアシスでの畑仕事や家畜を育てる食糧生産、武器や道具などを作る、車両のメンテナンスを行う製造、怪我人や疾病を治療する医療士、旧世代の道具や化学を解析する研究者、そしてオアシスや国を化け物や他勢力からの防衛を行う軍事、そしてディア達が所属する探索などがある。



 三人がグランツ団長についていく形で歩いていると、グランツはこちらを見る様子もなく歩きながら淡々と説明していく。


 「カプティブは今の所国に1人しかいない、そもそも記憶障害が本当かどうかもわからない以上は、一度当主様と相談させて貰う必要がある」


 その言葉を聞いて少し考える素振りをするとクリスは首を傾げ、団長に質問する。

 「僕が言うのはどうかと思うけど、怪しいのなら僕を外に待機させるべきなんじゃないのかな」



 「正直そうは思うがな、ただ1人にするわけにもいかない、連絡でもされて敵が来たらかなわん、かと言って外に仲間と共に放置させるのもな」


 「ふーん、思ったよりも楽観的なんだね」


 「あとはわざわざ俺らを助けるようなことをしたこと、お前からは敵意を感じない」


 「そりゃどうも、まあ僕としては寝るところもないし、安全な場所が欲しかったんだよ」

 クリスは微笑み笑いながら言うが、大扉の前で団長は立ち止まるとクリスの方へゆっくりと向く。


 「お前は利口そうだが、口は滑らせるなよ」

 


 


 そして、重い大扉を力を込めて押し開けると、そこには軍服を着た者達と、その奥には白髭を生やした老人がまるで裁判官のようにそこに鎮座していた。



 「来たようだな、ガルグ」

 とても重く低い老人の声だった。


 「ガルグ・グランツただいま帰還した」



 「よぉくぞきたなぁ!」

 その瞬間、老人は見た目とは裏腹に機敏に机を乗り越えるとガルグの目の前までくるとハグしようと両手を広げ、ガルグは頭を抱える。


 「はぁ.....親父さん、客人の前でそういうことしないでくれよ....」


 突然のことでクリスは表情はある程度保っているがそれでも困惑を隠しきれず、目が泳ぎ始めていると、ディアが補足を入れるように耳元で言う。

 「当主バルサーク・グランツ、親子なんだけどめっちゃ親バカで....」


 「話は聞いてるぞォ! 遭難者を見つけたんだって?」

 バルサークは楽しそうにガルグに肩を叩きながら言うが、それとは対照的にガルグはため息をつく。

 「まあそうだ、カプティブだ。役に立つと思わないか?」

 「なるほどな! ちなみに彼はどこ出身———」


 「ナあ、親子団欒してないで本題に入ろうカ?」

 並ぶ軍人の中で1人の男が前に出る。

 ただ違ったのは、クリスと同じく銀髪、そして紫の瞳孔をしていたのだ。


 

 「おおすまなかったなぁ! 軍部の方の意見も聞こうじゃないか」

 

 そのとき、別の男が前に出るとカプティブの男を後ろに退け、話し始める。男の名はオスカー・ゼギニフム、階級は大佐である。


 「はい、私から申し上げることとしては、やはり怪しいと言わざるおえません、敵勢力の可能性は十分にあり、一度情報が漏洩してしまえば損害を被るでしょう」


 「ということは軍部は反対と言うことかな?」

 バルサークは笑いながら試すような口調でオスカーに言うがオスカーは続けて言う。

 

 「ですがカプティブはそれ以上に戦術的価値が高いとは考えます。その者の実力にもよりますがね」

 オスカーは言葉が終えると、そのまま人差し指をだし、クリスに向かうようにジェスチャーする。



 その瞬間、カプティブの男はクリスの目の前まで一瞬にして距離を詰めると、即座にハイキックをクリスの顔面に打った。

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