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灰と魔法の荒廃戦  作者: 山田浩輔
火薬兵器の国
26/32

第26話 白兵戦

 「思った以上に厄介だナ....」


 確かに敵の侵入は食い止めている。だがこちらの消耗も大きく人員を失っている。だが相手側も消耗している以上は勝てるだろう。相手側が遠征してこちらにきているとして、アルファ国の人員全てを投入してしまえば防衛が薄く他国に侵入されかねないことを考えれば全力で防衛が可能なこちら側が人数では基本有利だ。


 ウォルトは煙の中からくるであろう敵を警戒し、塹壕裏で待機していたその時、突如として手榴弾の爆発音が鳴り響く。

 塹壕には入ってない、煙の中で炸裂したようで、爆風によって押し出された煙がウォルトの足元を抜けていく。耳を澄ますが人の気配はない、そう考えていた時であった。


 突然背後から鳴った地面を強く踏む足音。ウォルトが即座にナイフを構えたその時、ナイフに衝撃が走り、ウォルトは後退する。


 「ぐ........どこから.....!?」

 ウォルトは突然のことに戸惑っていた。目の前にいたのは確実にデルタ側の人間ではない。男は包帯を頭に巻いておりゆったりとした羽織を身に纏っていた。銀髪で首元に特徴的な黒い痣、それは目の前の彼がカプティブであることを物語っている。


 「あは、今のを防いじゃうの? いい反応速度してるんだね」

 男はそう軽口を叩いたかと思うと、即座にウォルトとの距離をつめると男は腕を突き出すように出し、ウォルトはその一撃をナイフで受ける。


 「杭......?」

 相手のその武器は杭であった。金属製で40cmほどのその武器は無骨ながらも殺意に満ちていた。カプティブというだけでその男が何者かわかる。二級者“バトラー・ベンジャミン”だ。



 ウォルトは即座にリボルバー銃を取りだすが、その予備動作を見たバトラーは後ろへ跳び、煙幕の中に紛れ込む。


 ウォルトはバトラーが跳んだ方向へ銃を構えながら、ウォルトは耳を澄ます。


 足音は確かに聞こえる。詳しい位置はわからないが奇襲はもう喰らわないだろう、ウォルトは最大限警戒していたその時、目の前から敵戦士が斧を振りかぶった状態で現れる。

 ウォルトはその一撃を横に避けるとナイフで敵の首元を狙う、敵戦士はウォルトの頭を狙い蹴りを打つが、ウォルトはそれを避け、敵の首を掻き切る。



 まずいナ......バトラーを見失った....あのたった一瞬の陽動で完全に気配がなくなった。

 煙の中からいつ襲ってくるかわからない以上は迂闊に近づけない、ここで俺が戦線から離脱すれば戦況は大きく崩れる......





 ウォルトは煙が漂うその世界で、拘束されたかの様に動くことができずにいるとその時、味方側の塹壕から悲鳴が上がった。




 ウォルトはその声を聞いて即座に自身の失態に気づく。

 

 「クソッ....!ミスした......!」


 相手の目的はミサイルで倒すことじゃない....!煙は音響を活かすという意味だけでないんだ、ミサイルは第一フェーズに過ぎない...! 本命は第二フェーズ.....煙幕で接近したバトラーが塹壕の敵を一掃すること......つまりバトラーの目的は俺を倒すことじゃない....! デルタ側の一般軍兵をできるだけ多く倒し、戦力を割くこと....! 人数が多ければミサイルは分散してしまう....!!だから強力な駒の排除ではなく数自体を削ぎにきたのか......!!



 悲鳴の先に行くと既に戦闘は終了していた。銃を使えばミサイルが来る可能性がある以上接近戦で戦う必要がある。だがカプティブ相手に勝てる人間はそうそう居ない、戦士ですら苦戦する。早くバトラーを倒さなければならない。


 ウォルトは近くのバックパック無線機があることを確認すると無線機を取り出す。

 「こちらバッター、敵カプティブが第二塹壕侵入、気をつけろ、オーバー」


 そうしてウォルトは死体と共にある塹壕の道を走り進むのであった。

 

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