8話 色仕掛け
食事を終える頃、秋穂がスマホを取り出して、何か検索し始める。
検索し終え、秋穂が柚葉に話しかける。
「ねぇ♪ねぇ♪これ、すっごくカワイイでしょ♪」
光一には何のことか分からないが、スマホの音声から猫の鳴き声が聞こえていたので、猫に関するものだとわかった。
柚葉は目をキラキラにする。
秋穂は猫カフェに行く予定を立てており、その動画はその店舗の猫カフェのものである。
魅力を話し続ける。
「ここの猫カフェ、すっごく種類も多くて、カワイイ猫ちゃんばっかりなの♪」
柚葉
「カワイイ〜♪」
秋穂は猫のように手招きする素振りをしやがら、
「行きたいかにゃ〜♪どうかなぁ〜♪」
とこれでもかと自分の可愛さも柚葉に向けてアピールする。
柚葉は動画の猫と秋穂の可愛いさの虜となり、
「お姉ちゃん、大好き〜♥」と言って抱きつく。
抱きつきながら、胸の谷間に顔を埋め、ニヤリつく。
秋穂もぎゅ〜っと抱きしめる。
光一はムカつく女とは思いつつも強い口調とは逆に猫好きや子供好きという、秋穂のギャップに内心は可愛いとも思ってしまう自分がいた。
そして、猫カフェは行くことに。
店内に入り、秋穂は光一にビデオカメラを渡す。
「はっ?」
秋穂
「撮影よ、撮影。あんたは撮影係。」
光一
「意味わかんない」
秋穂は少し息を整えて、上目遣いで可愛らしく
「なんで?ダメなの♪」
光一は予想外の反応に言葉を詰まらせる。
「いや..ダメってわけ...」
秋穂はニヤっと笑みを浮かべ、光一の方をトントン、
「じゃ、よろしくね♪」
光一は少し頬を赤くして
「うまく撮れる自信ないからなぁ」
と小言をこぼす。
秋穂
「そんなの知ってるわよ、バーカ♪」
と返して、光一と少し離れ柚葉の手を繋ぎ、猫と戯れる。
光一は二人の様子を遠目にしながらも秋穂の見せる表情や仕草で、時々ドキッとしていた。
光一が撮影に飽き始めたころ、一匹の猫が秋穂のスカートの真下に入ろうとしていた。
光一は秋穂に声を掛けるか迷っていると、
さっとその猫が秋穂のスカートの下に潜り込む。
秋穂は
「キャッ!」
と少し大きな声を出し、その猫に対してなでなでして、
「ダメでゅよ〜♪そんなことしちゃ〜♪」
とする。
そして、光一は思わず、その光景を写真にパシャっと収める。
秋穂はその音に反応して光一に手招き猫のようにして、自分の方に来るようにアピール。
光一は秋穂に近づき、しゃがみ込む。
光一
「なんだよ、いきなり...」
秋穂は笑顔で問いかける
「見た?見てない?」
光一は全部とは言わないが一部見てしまっており、正直に答える
「いや、全部じゃないけどほんの...」
秋穂は光一のおでこにグーパンする
光一は転がって痛がる。
秋穂はさっと立ち、
「大げさよ、バカ!」
光一は秋穂を睨みつける。
そんなこともありながら、店員が2人に話しかける。
「テーブルが空きましたので、座りますか?」
と声を掛ける。
そして、テーブルに座って、飲み物を飲みながら猫と戯れる。
光一だけ、猫が寄ってこず、秋穂と柚葉だけに猫が寄ってくる状況が続く。
秋穂
「何であんたのとこ、一匹も寄ってこないのよ」
光一
「昔からだよ。俺が聞きたいくらいだ」
光一はなぜか昔から動物に懐かれなかった。
柚葉は秋穂に話しかける。
「お姉ちゃん、トイレいきたい!」
秋穂は柚葉の手を繋いで、一緒に行こうとする。
すると、店員が気を利かして、
「大丈夫ですよ。私が付き添いますんで、ごゆっくりどうぞ」
と言われ、秋穂は店員に任せることに。
秋穂は椅子に座り、本音をこぼす。
「あんたといても何も嬉しくない...」
光一も本音で返す。
「あぁ、俺も早く帰りたい気分だ」
秋穂はあることを思い出す。
「あっ、そうだった!」
光一
「なに?」
秋穂はまた態度を急変する。
スカートをぎゅっとつかみ、手を口元に当てて、上目遣いで、
「光一は神楽光一について知ってることない?」
光一はドキッとしつつも、
事前にしていた対策を思い出し、人が嘘を付く時のする多い仕草をベスト3に入ってることは決してせず、
「..、いや、知らない、」
と返す。
秋穂は続けざまに
「ホントに〜♥♪」
光一
「いつまでやる気だよ!」
秋穂はじっと見つめ続ける。
光一
「全然、可愛くねぇ」
秋穂はそれを聞いて、素に戻りつつ、光一が頬を赤くしてたのを分かってたのでからかうように話しかける。
「ひっどいなぁ〜、もう〜♪」