7話 悪魔の女
いよいよデート当日を迎える。
光一は念の為、ある対策をしていた。
人が嘘をつく時によく取ってしまう仕草を調べていた。
光一はどんな質問が来てもその仕草だけはしないと心に誓い、妹の柚葉と一緒に家を出て最寄り駅へ向かい、秋穂を見つける。
秋穂はナンパ2人に声をかけられていた。
ナンパ2人
「超カワイイねぇ♪」
「暇してない?」
秋穂はニヤリと笑みを浮かべ、一呼吸置いて、
2人を回し蹴りで一掃する。
そして、笑みを浮かべながら一言。
「いつか、あの人にもこの愛を受け取ってほしいなぁ♥♪」
光一はゾッとする。その反対に妹は目をピカピカと輝かし、秋穂の元へダッシュする。すかさず、光一も妹に合わせる。
光一と妹がちょうど秋穂の背後に近づくと同時に秋穂が振り返る。
秋穂は妹の可愛さに目を♥にするが、後ろの倒したナンパ2人組を思い出して、とっさの言い訳を考える。
秋穂は頭をフル回転させて、ある答えを導き出す。
秋穂はそっと妹の肩を触り
「柚葉ちゃん、これは地球の重力、ニュートンの法則による、化学現象なの。私の力によるものではなく、2人が勝手に倒れたの、私じゃないの..」
光一
「うわぁ、すげぇ、変な答え...」
秋穂は光一の一言に対して鋭い眼差しで威圧する。
柚葉はそれを聞いて
「かっこいい!これが大人の女性!」
光一は思わず
「何でだよ!」とツッコミを入れる。
秋穂は柚葉の反応があまりにも可愛い過ぎるあまり、目を輝かせながら、ハグをする。
そんなこともありながらまずは昼食を食べいくことに。昼食は事前に秋穂が予約しておいた高級レストラン。
光一はレストランの雰囲気に少し緊張し、ソワソワしており、妹の柚葉はワクワクしていた。
秋穂
「ちょっと、落ち着きなさいよ、バカ」
光一
「うるせぇよ。仕方ないだろ」
秋穂
「品位が無いって思われるの嫌だし、こんなに可愛い柚葉ちゃんの前で恥かかせないでよね!」
光一はうまく返す言葉も出ず、心の中で
このクソビッチがー!!!と叫ぶ。
そして、待ちに待った料理が秋穂たちのテーブルのもとへ運ばれる。コース料理であり、まずは前菜が来る。
秋穂と柚葉は目を輝かす。秋穂は料理に対してではなく、柚葉に対して目を輝かせ、スマホを手に写真をパシャパシャしていた。
それとは対象的に無の表情になる光一。
理由は光一だけクロワッサン2つだけという、意味のわからないものが運ばれたからだ。
光一は思ったことを聞く。
「これはなに?」
秋穂はニコッと笑い
「クロワッサン食べ放題よ♪好きなだけ食べていいからね♪」
光一
「...普通に嫌なんだけど....」
秋穂
「バカ猿なんだから、どんな物食べたって一緒じゃん!」
光一は沸騰するかのような苛立ちを感じつつ、言い返す
「俺がアホ猿なら、目の前にいるのはゴリラ?男2人を蹴り....」
秋穂は尖ったヒールで光一の足を踏む。
「あっ、ごめんね♪もう一度いいかな?」
光一
「怪力ゴリ...」
秋穂はさらに強く踏みつけ、光一の顔に少し近づき、小さい声で
「死.ぬ.の?死.に.た.い.の?殺.す.よ♪」
とニコッと笑みを浮かべる。
光一は考え抜いた答えとしてある事をする。
光一はまっすぐに挙手して、店員にアピールする。
「俺にも一番、高いコース料理を!」
店員
「かしこまりました」
光一はパッとメニュー表を見て愕然とした。
光一の所持金は1万5千円、コース料理は2万5千円
秋穂はニヤリ、微笑みながら
「あら、まぁ、可哀想にw出してあげまちょうか?小学1年生くん♪」
光一は返す言葉もなく、少し睨みつける。
秋穂は少し表情を変え、威圧感のある、鋭い眼差しを向ける。
「あっそう、そういう態度取るんだ...なら、もういいや」
光一は食べたい欲が抑えきれず、つい
「待ってくれ!」と考えを改めるように促す。
秋穂はうまく罠にハマった光一を見て、ニヤリして、
「私も鬼ってわけじゃないし、忠誠誓うなら、考えないこともないかな?」
光一
「忠誠って!バカか!てめぇ...」
秋穂
「5.4.3.....」
店員
「お待たしました。こちらが前菜となります。」
光一は忠誠まで誓って、食べたいものではないし、諦めようと思っていたが、目の前の料理を見て、やっぱり食べたくなり、
「申し訳ありませんでした。秋穂お嬢様」と素直に謝る。
秋穂は光一の頭をヨシヨシする。秋穂は自分の思うように従ってくれたので満足して、いやらしい笑みを浮かべつつ、
「いい子でちゅね〜♪」と、これでもかと光一をばかにする。
光一は心の中で
このクソ悪魔やろうがー!!と叫んだ。