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これ本当に痛いです

 インサニア大臣はその場に座りこんだ。


 私は大臣を見下ろして「大丈夫ですか? 顔色が悪いですわね」と微笑む。


「ゆ、幽霊!!」

「幽霊? つまりこのルシエルはすでに生きてはおらず死者であると言いたいのですか?」

「そうでなければおかしい! あの時確実に殺したとロンから聞いたのだ!」


 周囲からざわめきを感じる。自白してしまったことに気がついた大臣は慌てている。


「陛下! これは……」

「殺したと言ったな?」


 よし、プレン様が大臣に問い詰めている。

このままいけばきっと……


「そう、あなたは殺すよう、ロンに命令した。カルティエ様が目障りという理由で。直接手を下していなくとも、あなたも人殺しよ」

「違う! ロンが勝手に……」

「勝手にしたことなのに彼の犯罪を揉み消したのか」


 カルティエ様の一言によって大臣は観念したらしい。何も言わなくなった。


 カルティエ様が大臣に近づく。胸元からナイフを取り出した。


 気がついたプレン様が「取り押さえろ!」と叫ぶが、カルティエ様は水の壁を作ることによって妨害をした。


 ヴィアちゃんが泣きそうな顔をする。


 そう、あなたは水の精霊に祝福される日に生まれた。


 そして、あなたは大臣を殺すのね。


 それは皇帝の地位は諦めるという意思表示でもある。


 でも、いけない。あなたを人殺しにはさせない。


 大臣と彼の間に立つ。そしてベールを投げ捨てた。

私を知る者たちが皆「ルーシェ!?」と叫ぶ。


「止めるのか」

「……私個人の考えですが、復讐は自己満足だと思います。あなたは満足してもルシエル様は満足するでしょうか?」

「……」


「私は彼女に会ったことはありません。でも、ルシエル様が愛したカルティエ様は人を殺したりはしないはずです」


 冷酷だと言われていたカルティエ様だが、人を殺したというエピソードはない。もちろん目の前にいるカルティエ様もだ。


 あまり感情が表に出ずに淡々と動くカルティエ様は冷酷と言われた。けれど、そんな人はナイフを持って苦しそうな顔はしない。


「お前は……」

「殺してはなりません。……まぁでも、ヒールで踏むくらいなら皆様にもバレないでしょう。ひとまずはこれで我慢してくださいな」


「声に出しているではないか!!」

「おっと足がすべりましたわぁ! ごめん遊ばせ」

「……イダダダダダ!」


 大臣の足の甲をヒールでぐりぐりと踏みつける。とても尖っているのでさぞかし痛いだろう。

周りの人たちは「うわぁ」という目で見てきた。


 プレン様は「なにもみていない」とゆっくりと目を逸らした。


 ロキたちはあんぐりとしている。


「はぁ……ハハハッ!! ルーシェ、お前を相棒に選んで正解だったようだ」


 カルティエ様がナイフを捨てて水の壁を壊した。


 まずは大臣が捕らえられた。


 カルティエ様はというと騎士たちに警戒はされているものの、拘束はされていない。


「弟よ。満足したかな?」

「あぁ、気がついていて見逃していたということか。大方センが言ったのだろう」


 セン。確かミシェルが教えてくれた。シャガの人たちをまとめるリーダーだって。

彼はスパイだったのか。

だが、カルティエ様は気がついていたようだ。


 ということは……


「カルティエ様の計画に気がついていたのですか?」

「あぁ。センから話を聞いて、アテナや恩人たちと話し合った。……ありがとう、ルーシェちゃん」


 プレン様は玉座を降りて私たちの元へ歩み寄った。アテナ様も共にだ。


「ルーシェちゃん!!」

「わぁ」


 アテナ様が抱きついてきた。私も優しく抱きしめる。


「時間稼ぎのために無茶を……」

「あ、あーー、あはは。皆様がご無事で何よりです」


 どうやら私は勇敢にも時間稼ぎをしたことになっているようだ。

あとで精霊たちに事情を話さなければ。


「まずはそちらの話を聞きたい。隣の部屋に来てくれ」


 残る問題は皇帝の地位についてだ。


 私たちは隣の小さな部屋に連れていかれた。


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