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有為転変

 今日は筆記テストの結果が返却される日。

皆が毎日勉強を教えてくれていたので、なんとか補習は回避したいところだ。


 私の名前が呼ばれ、全科目の答案用紙が返される。


 1つずつ慎重に点数を確認した。


……補習回避を達成していた。よかった。私の尊厳は守られたのだ。

このドキドキなテスト期間があと2回はあるということは今だけ忘れておこう。


「ルーシェ様、おめでとうございます!」

「努力の成果が出ているな」


「2人とも……!!」

「あまりこいつを甘やかすな。調子に乗るだろ」

「おかん……」

「生んだ覚えはない」


 クレアとノーブルも「時々親子に見える」と言っている。実年齢は恐らく先祖と子孫並みに離れているでしょうけど。


 ロキはすごく不服そうだ。でも安心して。

 クール系黒髪イケメンが実はおかんキャラって、すごくギャップ萌えでモテると思うよ。

そう言ったら更に不服そうな顔をしていた。精霊心は複雑なのかもしれない。



 学校帰りの途中に寄った店で、ロキがパフェを奢ってくれた。「まぁ補習回避したのは本当だしな。頑張ったとは思う」と言っている。ツンデレかなぁ。


 そういえば、友人も「補習回避のお祝いに一緒にスイーツを食べて帰ろう!今日は私が奢るね!」とよくスイーツを奢ってくれていた。


……まただ。また、彼女のことを思い出してしまった。


 ふとした時、友人との日々を思い出してしまう。大きな出来事はなかった。けれどとても大切な思い出。


 私はもう、あの子とは会えないのだ。


 転生したと気がついた時からずっと目を背けていた事実。何かあるたびに思い出しても、忘れようとしていた。


 でも、テスト帰りにこうやって、誰かと美味しいものを食べるのは久しぶりなんだ。懐かしくて嬉しくて、少し寂しい。


「おい、どうした。パフェが嫌いだったか」

「え?私はパフェ大好きだけど」


 ロキが心配そうに顔を覗き込む。


 あぁ、私泣いているんだ。大切な親友と2度と会えない事実と向き合ってしまったから。この悲しさは消えることはない。

だけど、私は今の生活も好きなのだ。問題も残っているけれど、楽しい日々を過ごせている。


 彼女が描いた世界を、私は生き抜いていく。その覚悟はとっくにできている。



「……パフェが食べられて嬉しいだけだから、気にしないで」

「仕方ない。俺のパフェを1口分けてやろう」


「ん」と差し出されたクリームの部分に、グサリとスプーンを刺して遠慮なくすくい上げた。「ガッツリ取りやがったな!」と言われたが、きこえないふりをする。


 彼は文句を言いながらも、安心したのか、楽しそうに笑っていた。


 

 私を屋敷まで送ってくれた後、彼はいつもと変わらない様子で帰っていった。そう、いつも通りだった。



 この日から1週間経ったが、ロキとは未だに会えていない。彼は行方不明になったのだ。



次回からちょっと長めの話が始まります。

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