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白馬

作者: 山葡萄





深い森の中で私は白い馬を追っていた


白馬、たてがみも体も真っ白なお前よ


手綱を手放した私はおいていかれるばかりだった


どこまで行くのだろう


お前は私が息を切らしても


決して走るのをやめはしない


白馬は深い森の前を歩いていた


ひづめが土を踏みしめて 


足跡が一つ一つ刻まれていく


どこへ行くのだろうお前は 


私は揺れる体を引きずって


静かに歩く白馬を追った


後ろにある私に振り向きもせず


ひたすら暗闇に向かって歩く白馬


どこが目的地なのだろう


森の中はかすかな木漏れ日だけが頼りなのに


その白い体も今は影で煤けて見える


白馬が止まった


ここがお前の目的地か


小さないななきを響かせ


お前はようやく振り向いた


ああ、やっと追いついたのか


私は白馬に手を伸ばした


けれど手綱を握ることは叶わず


白馬は姿を消した


暗い森の闇の中


解けて消えた白い体


残されたのは足跡だけ


私の手には何もなかった


深い森の奥底で


私はお前との日々を思い返している






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