こりゃりゃんりゃん
「今日何狩るの?」
冒険者ギルドで声をかけてきたいつも妹とセットのその女の子は先日一緒に戦った仲だ。
普段気楽に1人で依頼をする俺だが、その日は徒党ボーナスデイのため、徒党で戦闘系の依頼を達成すると報酬が多くなる日であった。
その時は化けミミズをターゲットにした依頼をこなした。
ミミズはキモいが防御力が低く1人でも狩りやすい。
ただ河の近くの湿地帯が出没エリアのため、河から少し強い化けカニが出張ってくるのを警戒しながら戦わなければならない。
だが徒党は楽だった。盾役がカニを引きつけてくれるので俺たち攻撃役はミミズに集中できた。
その盾役をしてくれたのがこの女の子だった。名前をアリシャという。妹のリタは回復役らしいが、あまり出番も無く、たまにフワッとした魔法を徒党にかけたり棒でミミズを突いてたりした。
「カニ行こうかなと「行く!良いよね!」思って」
食い気味にアリシャは乗ってきた。
組んだ徒党に女の子が居るのを知ったらヤツが面倒なので避けたかったが、こう乗ってくれたら言い訳も立つ。俺は誘ってない。
「リーちゃんも行くよね!」
「うん。」
妹のリタは人見知りぽい。
身内にガンガンくるのが居るとそうなるよね。分かるよ。
「じゃあこの間のようにあと3人探すね!」
任せるだけなのも悪いので、俺もギルド内を見渡してみる。
ギルドは親に付き合って行った投票所くらいの広さだ。
投票所に俺の同級生の女の子がたまたま居てヤツがなんかウザかった気がする。
「ッ!!!?」
依頼掲示板に何か貼ってる樽みたいな中年はまさか…。
げ、こっち見た。
愚鈍の化身みたいな身体のクセにこういう時は鋭い。
ウザい。
「あっ!タロくんだ!こりゃりゃんりゃん!」
ウザい。
<続く>