公園いくくーん
「タロウっ!危ない!」
──── …────!?
何が起きた?
4月から高校生の俺の春休み。
宿題もそこそこに休み中ずっとスマホをイジってゴロゴロする予定だった俺の春休み。
「おとしゃしゃんと公園いくくーんのタロキュン君はどーこだっ!?」
などと何処の言語か分からない父親(と呼びたくない職業不定のイビキがウルサイデブのヤツ)に付き合って近所の公園に向かっていた───。
そうだ───。
この地方でも珍しい3月の雪が降った翌日───。
横断歩道を渡ってる途中俺は足を滑らせて───。
スマホが手から零れて───。
「クッ…クハハハッ!」
思わず笑ってしまった。
俺は死んでしまった。
「死んでませんよ?」
「ッ!?」
女の声。右後ろ5時の方向。俺は耳が良い。
年齢はそうだな21歳といったところか。
歯並びは良いだろう。座ってるな。
髪は肩までだろう。
服は薄手。濃い寒色。胸は小さ目。二の腕ちょい太いか。
「あの…?」
あ、しまった。
そうだな後ろから呼びかけられたらまず振り返るものだ。
振り返って初対面らしく出来るだけ丁寧に返事をする。
「ここはどこで、貴女は誰ですか?俺は死んでないんですか?」
「フフ。やっと来てくださいましたね。」
ん?やっと?
「はじめまして、でもないかな。私は女神。タロウさんは世界を救うべき勇者として選ばれたのです。アナタが救う世界は…」
グオオオオオオオォガオオオオオオオオオオオオッブアォオオオオゴオオオオオオォギッォオオオオオ!!!!!
!?イビキ…だと…!?
ちょっとワクワクする女神の話を遮るその大いびきが、ヤツのものだと気付き俺は呟く
「マジかよ…」
<続く>