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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

毎朝のルーティーン

 目を覚ますと、男の顔が目の前にあってぎょっとした。そして、昨日のことを思いだす。合コンで知り合った人だ。なんとなく昨日は良い人そうに見えたので、とりあえずうちに連れてきたのだが、朝、こうやって顔を見てみると大したことはなかった。大してうまくもなかったくせに、幸せそうに寝ているのが少し腹が立つ。

 こんな顔をいつまでも眺めていたって仕方がないので、私はベッドから下りて、台所に向かった。朝ごはんでも食べようと思ったのだ。

 パンがいいか、ご飯がいいか。赤いエプロンをつけながら、考える。

 と悩んでいたが、実のところ選択肢はなかった。ご飯は炊いていなかったのである。この失敗をするのも、もう何度目かわからないけれど、いい加減学習したほうが良い。

 食パンを一枚切って、トースターに入れた。それだけじゃ少し寂しい気もしたので、何か追加で作ろう。

 そう思うものの、朝はうまく考えがまとまらない。とりあえず、ありきたりなものでも作ろうと思い、私は冷蔵庫から二つの卵と、トマトやレタスといった野菜を取り出し、フライパンに少しの油を引くと、そこに卵を落とした。

 私は目玉焼きを二つ、パンの上に乗せて食べるのが好きだ。もちろん、毎日するわけではない。たまに、二つ作って乗せるから、少しだけの贅沢を味わえる。こうやって、モチベーションを作りながら、日々を過ごすのはちょっとしたコツのように思う。特に、今日のように朝から少し嫌な気になったとしても、一日そんな気分で過ごすのはよくないので、朝のちょっとした行動はとても大事だ。

 少し、いい気分になってきた。鼻歌をしながら、野菜を切る。大きなトマトにナイフを入れて、赤い液がほんのちょっとだけ飛び出した。せっかく、いい気分だったのに、イラっとした。でも、まあしょうがない。このシャキシャキ感で相殺してあげよう。

 音がした。大きな足音だった。少しびくりとする。こういうのは苦手だ。家に、他人がいる違和感。じゃあ、家にいれんなよって話ではあるけれど、昨日の夜と今の私は違うし。

 目玉焼きもせっかく、焼けたところだ。さっさと、皿にいれておいて、切りかけのレタスを終わらせて、私はさっきの部屋に戻った。

 うーんとか、すーんとか、なんか言っている。寝ぼけているのか。

 どうでもいいや。

 さっきも言ったが、朝の気分は良くしなくちゃならない。今日一日のために、邪魔者は全部消してしまわなくちゃ。

「ああ、おはよう」

 私の方を向いて、しまらない声を上げた男の胸を突き刺した。赤い血が、当たりに飛び散っていく。返り血を浴びて、私の赤いエプロンがちょっと嫌な感じになった。

 男は叫びだそうにも出せないみたいで、さらに、奥の方をぐりぐりとしてやると、気を失った。もう目覚めることはない。

 重い体が、私にのしかかってくる。

 これ、どうしようか。あそこもそろそろ目をつけられてそうだし。

 朝から血生臭いものは処理したくない。とりあえず、仕事から帰ってきて、考えることとしよう。

 その前にお風呂だ。こうやって全てを終わらせてから浴びるシャワーは本当に気持ちがいい。

 毎朝のルーティーン。

 これにておしまい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 毎朝……ということは、毎日こんなことをしているんですね。殺人がありふれた行為になってしまっているとは恐ろしいです。
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