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9話 合同訓練と言う名の模擬試合

 合同訓練当日。僕はリオ団長や他の騎士たちと共に第二騎士団の訓練所に来ていた。

 第二騎士団の騎士たちと第三騎士団の騎士たちは模擬試合と言うことで、一対一の打ち合いを始めた。


 僕は周りと見渡し、恭也がいないか探す。


 あっ、恭也のやつ端のほうで休憩している。


 僕は水袋を持ちながら、恭也に近づく。


「よっ! 元気? 水でも飲むか?」


 僕の顔を見た恭也は驚く。そして、泣きそうな顔で抱きついてきた。

 いつもの破天荒な性格の彼とは別人みたいだ。


「いったいどうした?」

「いや、ごめん。陸いなくなって心配してたんだ」

「お、おう。心配してくれてありがとうな」


 僕は恭也と共に階段に座る。


「陸は今どうしてるんだ?」

「僕は今、第三騎士団でお世話になってるよ。恭也は王城で高待遇なんだろ?」

「……まぁ、高待遇っちゃ高待遇だけど、プレッシャーがな。それに、第ニ王女のアメリア姫が俺を気に入っちゃってさぁ。求婚されたんだわ……」


 ……第二王女のアメリア姫? どっかで聞いたことあるような……? ないような……?


「王女のお気に入りプラス勇者、プレッシャーが凄まじいよ」

「とりあえず、応援することしかできないわ」

「応援だけでも嬉しいぞ」


 面倒事を覚悟してたみたいだったけど、結構大変そうだ。目が虚ろである。


「僕は第三騎士団の客室に泊まらせてもらってるからいつでも来なよ」

「ありがとう」

「お〜い。リク〜。お前も模擬試合しろよ〜」


 僕と恭也が喋ってると、第三騎士団の騎士さんが僕を呼びに来た。

 まぁ、腕試しとしてやろうかな。


「それじゃあ、ちょっと行ってくるわ」

「陸……お前も模擬試合するんだな」

「ちょっとした腕試しだよ」


 僕はリオ団長の方へ向かう。


「リクは次やるといい。お前と同じ異世界人だ」

「了解です」


 僕は今の模擬試合が終わるのを待つ。

 遠目で見てた感じ、第二騎士団より第三騎士団のほうが強い。第二騎士団は王都を守る役割で、第三騎士団は王都の外で危険を排除するのが仕事らしい。なので、一番危険な第三騎士団のほうが強いらしい。ちなみに、第一騎士団は王城の警備だ。


 気長に待ってると、僕の出番が来た。


 模擬試合のルールは、魔法による直接的な攻撃と相手を殺す攻撃の禁止だ。魔力による身体強化や障壁魔法による防御は大丈夫だけど、魔力弾を使うのは禁止ってところだ。

 恭也も見てるし、頑張るか。


「戦力外通知を受けた無能じゃないか? お前如きが勝てるとでも?」


 僕と対峙した男が言う。


 なんだこいつ。煽ってきたんだけど……。


「お前なんて10秒でぶっ飛ばしてやるよ」


 なんか、ムカついてきた。こっちこそ10秒でぶっ飛ばしてやる。

 こう見えて、魔力の身体強化なしで第三騎士団の騎士たちと互角だったんだぞ!


「両者構えて…………」


 僕は短剣サイズの短めの木剣を手に取る。


 魔力による身体強化、発動。【マナサークル】全力稼働。


「始め!」


 その言葉と共に僕は、低い姿勢を保ちながら突っ込む。


 いつもよりの倍ぐらい速いけど、制御できる!


「死ねぇ!!」


 そう言うと彼は持っていた両手剣サイズの木剣を振り下ろす。


 ……剣筋が速いけど、避けられないこともない。


「[魔力障壁(マジックシールド)]」


 僕は足元に障壁魔法を斜めに展開し、それを踏んで無理矢理方向転換して避ける。彼の木剣は大地を斬る。


「何!?」


 何!? じゃないよ! 床に傷つけるような攻撃するなよ!


 そして、僕はそのまま突っ込み、木剣で腹を薙ぎ払う。彼は、衝撃で5メートルほど転がりながら吹っ飛んでいった。そして、腹を抱えながらのたうち回る。


「……10秒もかからなかった。大振りすぎて何しようとしてるか分かりすぎ」


 僕はそう彼に捨て台詞を言う。

 イライラしてて忘れてたけだ、俺凄くね? 俺よりも能力値が高かったやつを倒したってことだよね?


「流石、俺らの隠し兵器!」

「マジで勝つなんて! 俺は信じてたぞ!」

「スッキリしたぜ! ありがとうな!」


 いきなり、見ていた騎士たちが抱きついて来たり、肩を叩いてきたりしてくる。

 いったいなんだ!?


「やめろやめろ、リクが困ってるだろ。さっさと次の試合始めろ」


 リオ団長がそう言うと騎士たちは散っていった。


「あいつは、【剛腕の勇者】だ。そして、態度がクソ悪い。うちの騎士を第二騎士団に派遣したりしてたんだが、あいつは『俺よりも強いやつに教えを請うつもりはない!』とか言って、派遣した部下達や第二騎士団の騎士たちをボコボコにしたらしいんだ」

「は、はぁ……。それを僕が倒したと」

「そう言うとことだ。それと、お前の身体強化は魔力が身体全体を均一に流れていた。この短期間でそれほどの技術を、努力したんだな」


 そう言うとリオ団長は僕の頭を撫でる。

 子供じゃないんだけど……と思うところもあるが素直に嬉しい気もちもある。そもそも、あんな読みやすい攻撃してきたのに負けた騎士も気になる。


「それじゃあ、休憩しとけ。多分、誰もお前とやりたいとは思わないだろうからな」


 笑いながらリオ団長は騎士たちの方へ向かった。そして、僕は思った。


 現状、一番強いの僕じゃない? やべぇ、燃える。


 僕の試合を見ていた恭也が僕に水袋を渡す。


「陸は凄いな。あの鬼龍(バカ)を倒すなんて」

「あいつのあだ名、バカなんだな」

「バカだからしゃーない。それにしても、さっきの身体強化凄かったじゃん。今度俺にも教えてくれよ」

「めんどくさいし、初試合勝利の余韻に浸りたいからやだ。今度僕の部屋に来な」

「うっす! 師匠! ご教授願います」


 そこには、いつもの恭也がいた。




読んでいただきありがとうございます!

「面白い!」や「続き気になる!」って方は是非とも☆☆☆☆☆を★★★★★にして頂けると嬉しいです!

モチベアップに繋がって執筆が捗るです(*´ω`*)

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