8話 訓練ってキツイね
この世界に来てから三日目。僕は第三騎士団の訓練に参加させてもらえることになった。
この世界に召喚されたとき、スキルを手に入れるだけでなく、身体の能力値も多少上がっているみたいだ。だけど……。
「はぁ……はぁ……」
まさかの最初のランニングでバテてしまった。騎士たちはみんな余裕そうな感じをしている。
「……体力これだけしかないのか?」
膝に手を付き、完成に息が上がっている僕のところに、リオ団長が来る。
「まぁ、初日だし、ついて来れる訓練だけやればいいぞ」
「は、はい」
そう言うとリオ団長は他の騎士たちと共に訓練に戻る。
次は腕立て伏せみたいだ。
やっぱり凄い筋肉だ。それに、あれだけ動いても息切れしないなんてな。
『彼らは魔力で身体強化しているため、疲れにくくなっております』
何それ!? 魔力でドーピングしてたのか!! 一瞬でも、かっこいい、凄いって思った僕の心を返しておくれ!
『そもそも、この世界の大体人々は無意識に魔力で身体強化していますから』
そうなのか? でも、それだと訓練の意味がないのでは?
『確かにそうですね』
それなら、わざと魔力を使わないように訓練するか。それで、この訓練についていけるようになれば、魔力で身体強化した時、もっと強くなれるだろう。
僕はそう思いながら、訓練に戻るのだった。
◆◆◆◆◆
数日間、僕は毎日訓練に参加した。その結果、今では筋肉トレーニング関係の訓練は普通にこなせるようになった。異世界から召喚された人は成長しやすいみたいだ。
それに……。
「リク。お疲れ」
「おう!リク!一緒に残って自主訓練しようぜ」
「お疲れ様です。自主訓練は正直きついです。お先に失礼します」
僕……第三騎士団の人気者になってた。
料理法をおばちゃんに教えたことによって第三騎士団の食卓が豊かになったのが一番の理由だろう。実際、あのご飯が美味しくなってるし……。
「リク。お前人気者だな」
後ろからリオ団長に撫でられる。
いや、僕子供じゃないんだけど。
「そうそう。今度、第二騎士団と合同訓練と言う名の模擬試合をするんだ。お前も行くか?」
リオ団長の言葉に驚く。確かに、ここ数日で無属性魔法による身体強化や短剣を扱う訓練もしてもらった。しかも、第二騎士団と言うのは僕以外の異世界人を鍛えてる騎士団だ。
クラスメートと会わせたいってことなのだろうか?
「恭也に会えますかね?」
「キョウヤ……【万能の勇者】……いや、【全知全能の勇者】か。多分会えるぞ」
「恭也は【万能の勇者】ではないのですか?」
「どうやら、スキルが変質したみたいだ。より強力にな」
ほうほう。どうやらソフィア様がなにかしてくれたみたいだな。
『キョウヤにはちゃんと【全知】のスキルを与えたよ。そしたら何故か分からないけど【全知全能の勇者】に変質しちゃったわ』
あ、なるほど。スキルの件、ありがとうございます。
「どうだ? 参加してみるか?」
「恭也がどうなってるか知りたいので参加します」
「了解だ。9時までにここ訓練所にきてくれ」
「分かりました」
僕は自室に戻る。
約一週間ぶりに会うのか……なんか緊張してきた。そういえば、最近ステータス見てなかったな。
……ステータスカードは部屋に置いてきたな。【大賢者】、僕のステータスを見せて。
『了解しました』
【ステータス】
《名前》
佐久田 陸
《能力》
生命力:C+
魔力:B
腕力:B
脚力:B
器用力:B+
《スキル》
健康体 叡智 大賢者
短剣 無属性魔法 マナサークル
魔力エンジン
【隠しステータス】
視力:S+
精神力:S+
知力:S+
反射神経:S+
魔力操作力:S+
適正属性:摂理
宗教:叡智の女神:使徒
おぉ! 魔力、腕力、脚力がBになってる。それに、【短剣】と【無属性魔法】のスキルも手に入れてる!! 結果が目に見えるって嬉しいね。【マナサークル】と【魔力エンジン】はスキルとして表示されるのね。
神殺しの短剣は使うと目立ちそうだから、使わないけど【短剣】のスキルは素直に嬉しい。
『だいぶ成長してるわね』
……でも、正直不安です。模擬試合ってことは多分戦うってことだ。
『私は負けると思うわ。【大賢者】はどう思うかしら?』
『スキルと能力値を統合しても負けます』
う〜ん。ソフィア様と【大賢者】が負けるって言うのか〜。
『摂理属性の魔法を覚えてみるのはどうかしら? それと、【無属性魔法】があるなら障壁魔法と魔力弾を覚えるのがいいと思うわ』
ソフィア様からありがたいお言葉が!
ソフィア様アドバイスありがとうございます!
『いいってことよ』
摂理属性の魔法のスキルを取るのに時間かかりそうだな……。【大賢者】、先に簡単そうな障壁魔法と魔力弾について教えて!
『了解しました。障壁魔法とは名のとおり、魔力の壁を作る魔法です。魔力を操作して空気中に板を作って[魔力障壁]と唱えてください』
僕は早速、魔力で壁を作ってみる。
「[魔力障壁]……おぉ〜」
魔力で板を作ったところにガラスのような板が現れた。
『成功ですね。次に魔力弾を説明します。名のとおり、魔力でできた弾を飛ばす魔法です。今作った[魔力障壁]に魔力で弾を作り、[魔力弾]と唱えてください。[魔力障壁]以外に撃つとこのオンボロな建物に穴が開きますよ』
oh…穴が開くのは困るな。
僕は慎重に魔力操作する。
「[魔力弾]」
唱えると半透明な弾がリフレクトに当たり、消滅した。
ふぅ……、外さなくて良かった……。
ちなみに、[魔力障壁]とか[魔力弾]って言葉に出さないと駄目なの? 魔力で身体強化するときはそんな言葉言わなかったのに。
『[魔力障壁]や[魔力弾]は鍵言がないと発動しません。鍵言は魔法を作ったときに決められ、世界記憶に記録されます。そして、鍵言を使用することで世界記憶から術式が形成され、その術式に魔力を通すことで魔法が発動します』
つまり、鍵言がないと魔法は発動しないってこと?
『そういうことです』
鍵言って文字じゃなくてもいい?
『今まで試した人がいませんから、分かりません』
分からないのか……。今まで試そうとした人もいないのね……。
『できるわよ。だだし、それに関係することを行わないといけないけど』
流石、叡智の女神ソフィア様! ありがとうございます。
『でも、魔法理論も何も知らないあなたには難しいわよ?』
oh…合同訓練が終わったら、オール訓練から午前図書館午後訓練の日程に直そう。
読んでいただきありがとうございます!
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モチベアップに繋がって執筆が捗るです(*´ω`*)