34話 龍を倒す者
ドラゴンゾンビが見上げるほどの大きさになるまで近づいたとき、立ち向かうリオ団長とミアさんが見えてきた。
「リオ団長。ミアさん。加勢します」
「おぉ! リクか! お前も前に出て」
「リクね。貴方危ないから後ろからの魔法で」
「おいおい。リクは前衛だろ」
「はぁ? 何言ってるのよ。リクは魔法に長けてるから後方でしょ! それに危ないじゃない」
「ちょっと! こんなところで喧嘩しないでくださいよ」
まさかのドラゴンゾンビと戦いながらこの二人は喧嘩を始めた。評価してくれるのは嬉しいけど今じゃないでしょ!
「グギャァァァ!!!」
「「うるさい!!」」
喧嘩していてもドラゴンゾンビが待ってくれるはずがなく、二人に向け爪を突き刺す。しかし、リオ団長とミアさんは喧嘩しながら剣と魔法で反撃してる。その反撃によってドラゴンゾンビは怯む。
なんか息合ってるし、本当は仲がいいんじゃない? って思ってしまうほどだ。
「とりあえず、二人共落ち着いて! 今喧嘩してたらドラゴンゾンビ倒せませんよ!」
「それもそうだな」
「すいません」
「僕に提案があります。ただ闇雲に攻撃してても時間がかかるし、無駄な労力です。なので、ミアさんはドラゴンゾンビを拘束、リオ団長はドラゴンゾンビの肋骨を叩き砕いてください。それしたら、僕がドラゴンゾンビの魔石を取り除きます」
「ほう。動力源を取り除くのは難しいのではないか?」
「私もそう思うわ。魔力で魔石の魔力を抑えて、術師との繋がりを切らないといけないのよ」
う〜ん。本当にできるの? 二人に言われてちょっと不安になってきたぞ。
『大丈夫です。魔石を乗っ取るやり方は一つだけとは限りません』
試してみるだけの価値はありそうだ。
「まぁ、駄目元でもやってみましょ? 自信はありますよ」
自信があるのは【大賢者】だけどね。
「そこまで言うならやってみるか」
「そうだね。[×××××××]」
ミアさんが謎の言葉を発した瞬間、氷の障壁が現れ、ドラゴンゾンビの爪がぶつかる。そして、ガリガリと音が響く。
僕とリオ団長は……気にしてなくてめっちゃびっくりしてた。
「二人共、気を抜きすぎ」
「「スイマセン」」
「このまま拘束するわね。[××××××]」
また謎の言葉を発した後、ドラゴンゾンビの手足がガチガチに凍る。ミシミシと音が聞こえることから、ドラゴンゾンビも抗おうとしているのだろうけど、ミアさんがそれを許さないようだ。
「リオ!」
「任された! [紅魔粉砕斬]」
リオ団長は剣に魔法を纏わせた。そして、ドラゴンゾンビの胸部を砕き落とす。
さっき使ってた広範囲に爆風を起こす[紅魔爆炎斬]とは違い、集中的にエネルギーをぶつける[紅魔粉砕斬]は一部を斬り落とすにはとてもいいだろう。
リオ団長の斬撃は見事、魔石を露出させた。
……でかいな。1メートルぐらいありそう。
「今だ!」
大口叩いちゃったし、すぐ再生されても困るからな………。仕方ない、頑張るか。
「よし! [魔力障壁]」
少し高い位置にあるので、障壁魔法を足場にして僕は魔石に振れる。
障壁魔法の上に乗るのも、もう慣れたもんだな。
【大賢者】頼んだ!
『了解です』
【大賢者】は魔力を針のように細く操作し、魔石の中に通していく。まるで、鍵をピッキングしているようだ。
そして、魔石に刻まれた術式を破壊する。すると、ドラゴンゾンビは動かなくなった。
『これでもう取り外せます』
ありがとう【大賢者】。
僕は両手で魔石を引っ張り、切り離す。それと共にドラゴンゾンビは身体が破裂するように崩れる。
とりあえず、なんとかなってよかった。
僕は安堵しながら障壁魔法から下りてたのだった。
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