32話 大賢者、前線へ
冒険者たちが前線に出てから暫く経った。
冒険者たちは手慣れた感じで魔物を屠っていく。ある冒険者は足を切り裂き、怯んだところで心臓を貫く。ある冒険者たちは重装の戦士が弓士を守り、次々と射抜いている。
動きがとてもスムーズで見ていてとても勉強になるな。
「リク。そろそろ行けるか?」
城壁の鋸壁に顎を乗せて見ているとリオ団長が呼びに来た。
「はい。魔力もある程度回復しました」
「よし。総員、城門の前で開門の準備!」
「「「ハッ!」」」
騎士達は城壁の階段を駆け下りていく。
……リオ団長だけ城壁に置いてくると言う状況で何が起きてるかわからないけど、一応僕も下りる。下りたら騎士の誰かに聞こうかな。
「あの、リオ団長は何故一人残っているんですか?」
「ん? リオ団長が今から城門周りの魔物を殲滅してくれるんだよ」
まるで当たり前かのように騎士は言う。
───ヴァゴォォォン!!
次の瞬間、天を貫くような輝きが一面を埋め尽くし、それと共に地響きがする。次の瞬間、リオ団長の「開門!!」の号令がかかる。
城門が開くと、城門付近にいた魔物は死に、地面はエグレ、小さいながらもクレーターができていた。そして、その中心にはリオ団長が立っていた。
……えっぐ! 凛々しい顔してヤバいことしてるじゃん。……リオ団長が騎士団団長になれたのは、高い指揮の技術だけでなく、並外れた力があったからなのだろうな。……怒らせない方がいい人だな。
「総員、行くぞぉぉ!」
「「「おぉぉぉ!!!」」」
騎士達は剣を抜き、天に突上げ、駆け出す。僕も騎士達と共に駆け出す。
僕も置いていかれる訳にはいかない。
「[結界剣:短剣]」
障壁魔法の要領で魔力を短剣の形にして、剣を作る。そして、魔物の首を切り裂く。
切れ味はまぁまぁだな。神殺しの短剣より落ちるけど鉄の短剣と同じくらいの切れ味かな?
……何故、神殺しの短剣を使わないのかと言うと少し怖いからだ。実技訓練であの短剣を使って思ったけど、あれは危なすぎる。
もし、ユエリア様を助けたときに軽く刃先が触れていたら、切れすぎて大惨事になっていただろう。それにここは戦場。短剣がもし味方の冒険者や騎士に当たったらたまったもんじゃない。
「[魔力弾]」
魔法でを牽制、怯んだところを結界剣で切り裂く。
『後ろから敵です』
「[魔力障壁]」
【大賢者】の報告を聞いて、すぐさま後ろに障壁魔法を展開。それと共に「カン!」と甲高い音がなる。それを聞いた僕は振り向きながら障壁魔法を解き、結界剣でアンデッドの首を切り落とす。
「一息付く暇すらないな」
僕は結界剣を振り、血を落としそう呟くのであった。
読んでいただきありがとうございます!
「面白い!」や「続き気になる!」って方は是非とも☆☆☆☆☆を★★★★★にして頂けると嬉しいです!
モチベアップに繋がって執筆が捗るです(*´ω`*)




