30話 物資切れでピンチ
只今、銃を乱射しまくって10分経過。
戦況は優勢。僕の機関銃や騎士達による矢に射抜かれて、魔物の数はだいぶ減っている。
しかし、無限のように湧き出る魔物どもはその死骸の上を登って前進を止めようとはしない。
さらにここで問題が発生した。まさかのアンデット系の魔物に鉛の弾丸が通用しない。ゾンビは射抜いても動く。どうやら銀がアンデット系の魔物に効くらしいけど、銀製の弾なんて作ってないし……。どうしたもんか……。
「り、り─────とぉぉ!」
ズドドドド─────。
「陸くん!」
僕が高気分になっていると柚葉さんが話しかけてくる。
僕は引き金を弾くのをやめ、柚葉さんと向き合う。
「何?」
「いや、ものすごく震えていたから心配になって……。それと、もうそろそろ弾なくなるんじゃない?」
僕は慌てて弾帯を見る。そこには残り数十発しかなかった。
「教えてくれてありがとう!」
「どういたしまして。あと、こっちも矢が少なってきていてヤバいみたい」
「そうなの……?」
思っていたより、こちらの消耗のほうが早いみたいだ。
今、残し少ない資源で僕ができる最大限のことは……。
「なるべく敵を減らすことだな」
僕は再度、銃を構える。
【大賢者】、なるべく2匹以上を一度に殺るようにしてくれ。
『了解です』
バン!バン!
僕の放った弾丸は魔物の脳天を貫き、その後ろにいた魔物にも当たる。
さすが、【大賢者】。普通は難しい、2枚抜きを難なくやり遂げてくれる。
しかし、すぐに弾がなくなってしまった。……ここからはリオ団長の指示に従おうかな。
僕は周りを見渡し、リオ団長の元へ向かう。
「ん? リクか? あの半端ないやつはもうお終いなのか?」
「はい。弾がなくなってしまったので」
「そうか。助かった。あれがなければ、対処が間に合わなかったかもしれない」
「どういたしまして。それで、僕はこれからどうすればいいですか?」
「少し休憩するといい。この後、俺らも前線に出るからな」
休憩できるのは嬉しいけど……。
「誰が魔物を足止めするんですか? 物資はもうないんですよね?」
「それは問題ない。そろそろ来ると思うぞ」
リオ団長は城壁の外周を指差す。それと共に聞いたことないほど大きな雄叫びが聞こえた。
「野郎共! 行くぞぉ!」
「全員突撃ぃ!!!」
「「「おぉぉぉ!!!」」」
そこには武装した人々が群れを成すように魔物に突っ込んで行く様子があった。
「魔物が少ない裏門から冒険者を前線に送ったんだ。門辺りの安全が保証されたら門を開けて俺らも前線に躍り出るぞ」
冒険者。常日頃から魔物を倒し、生計を立ててる人達のこと。街を守ることを専門とした騎士とは違い、魔物の専門家である冒険者が前線に出てくれるのはとてもありがたいことである。
これなら安心して休めるな。
僕はマナサークルをフル稼働させ、魔力を回復させることに集中するのであった。
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