27話 孤独なる惨痛の姫君
《sideアメリア》
「何よ、何なのよ! あの男!」
私はベットにあった枕を私の専属執事のアントンに投げる。彼は避ける素振りもせずそのまま当たる。
「経費削減の為にめぼしい人物だけ【真実の魔眼】で鑑定して篩にかけたのが仇と出たのでしょう。まさか、高待遇の異世界人は努力せず、力に自惚れ、厄介払いした異世界人の方が強くなるとは……」
アントンは渋い顔でそう言う。元々、人員の選別をするように言ったのは彼なのである。
「はぁ……。貴方が悪いわけじゃないわ。使えるスキルの者だけ集めたのに訓練に真剣に向き合わないせいで使え物にならないのが悪いのよ。それに、厄介払いしたあの男があれほど強くなっているとは思わなかったわ」
文献によると異世界人は世界を越える時に力を得て、とてつもない成長速度で力を身につけるらしい。しかし、努力をしなければ意味がないのは一目瞭然。
彼は一人で数百体の魔物を狩ったのに対し、私達が保護下に置いている異世界人達は数十人でやっと二十体倒したかどうかなのです。
「それに、あの男……。ユエリア姉様とエミリアを味方につけているなんて……。一体何者なのよ……」
私は頭を抱えながらそう言う。
実技訓練を終えたあと、私はユエリア姉様とお父様に呼び出された。そして、遠回しに身勝手な行動をするな、と言われてしまった。
……この件で私の株は大暴落でしょうね。
私は生まれつき【真実の魔眼】と言うスキルを持っていた。魔眼には鑑定の他に、嘘か本当かが分かる程度の力しかなかった。
だけれども、ユエリア姉様は【癒やしの波動】と言う周りにいる全ての者を癒やし、自身の回復魔法の効力を上げると言う私の魔眼とは比べ物にならないほど有用性のあるスキルを手に入れてた。
なので王位継承権はユエリア姉様の方が上なのである。そして、ユエリア姉様が女王となった時、私は他国の見ず知らずの王族に嫁がされる。
しかも、私と婚約する予定の方からは酷い噂しか聞かない最低の男であった。身勝手で人を殺めることすら躊躇しないようです。
私は魔眼の力でその噂が本当なのかその国から来た使者に回りくどく聞いてみた。
結果は事実でした。強姦や横領も行っており、殺した人は数知れず。愚王の名が相応しいほどのクズ男でした。
私はそんな男と婚姻したくない、一緒になりたくない。どんな目に合わされるか一目瞭然なのだから……。
……でも、それでも、嫁ぐのが王族の務めなのでしょう。
でも、そんな人生私は望んでいない。
だから、将来有望なキョウヤ様にアプローチしたり、異世界人の人材の選別をして、株を上げて王位継承権の第一位を手に入れ、婚約をなかったことにしようとしたのに……。
「はぁ……」
「アメリア様こそ、このフローレンス国を率いていくべき存在です。これからの行動で挽回することも可能でしょう」
「励ましてくれてありがとう」
「勿体ないお言葉です」
そうよね……。これからの行動でどうにかなるかもしれないわ……。
「一人で少し考えさせて頂戴。貴方は下がってていいわよ」
「はい。それでは失礼します」
私はアントンに部屋から出てもらい、ベットに寝転がる。
「一体、私はどうすればよかったのでしょうか……」
そう呟きながら私はベットの毛布に包まるのであった。
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