26話 静かなる怒り
「貴方、私の部下になりなさい」
僕はその言葉に憤りを感じた。
厄介払いした上で使えるようになったら、配下に下れだと……。舐めてるんじゃないだろうな……。
「お断りします」
「そうそう……。貴方今なんと言いました?」
この女……。もしかして、僕が「はい。部下になります」とか言うとでも思っていたのか?
「なんでですの? 私の部下になれば、何不自由ない生活を保証しますわ!」
「はぁ……?」
ここはあのクソ王女の国だから下手なことしたらいけないと思っていたが……堪忍袋の緒が切れたぞ!
「スキルだけ見て、僕と柚葉さんを厄介払いした貴方が何を言っているのですか? 『部下になりなさい』だって? 僕はこの国の民じゃないから貴方の命令を受ける必要もないはずです。そもそも、なんで拉致した国に下らないといけない。それと、貴方の支援を受けたわけでもなく、なんの恩もない。なんなら恨みの方が断然強い。僕が断る理由は分かったかな?」
「……その話は本当なのです?」
僕の言葉に何故かユエリア様が怒った様子でクソ王女を睨みつける。
「一応本当の事しか述べてませんよ」
「アメリア……異世界の方々は王宮で丁重に持て成していると言いましたよね」
ユエリア様がそう言うとクソ王女は白けたような顔をし、無視する。
「本当なのでしょうか?」
「ユエリア姉様。その事は本当です。彼が訓練用の革鎧のみなのに、他の異世界人達はちゃんとした防具を着ているのですよ」
ユエリア様がクソ王女を尋問しているなか、エミリアがそう答える。その言葉を聞いたユエリア様はため息を溢しながらこちらを向き頭を下げた。
エミリアも来てたのか。血縁の言ってる事ならユエリア様も素直に信じるよね。
「申し訳ございません」
「お顔をお上げください! ユエリア様は何も関与してないじゃないですか」
「でも、愚妹が……」
彼女の顔を見ると、涙を流していた。
良い姉だな……。だが、他人事みたいな顔をしているクソ王女は許せない。
僕は銃を構え、クソ王女に向ける。
「そ、それは……?」
「お、おい。陸……」
僕の銃を見た恭也は焦り、ユエリア様は不安そうな顔をする。
「これは僕の世界にある兵器を模造した物でしてね」
僕は次の瞬間、引き金を引く。
バン!
「キャッ!」
僕の銃から放たれた弾は、クソ王女に当たることなく、そのまま後ろにいたグレータースパイダーの子供と思われる魔物に当たった。そして、その蜘蛛は破裂し、体液がクソ王女にかかる。その体液に滑りクソ王女は尻もちをつく。
「貴方! なんて事を!」
「この様に、この武器は遠距離で高い威力を出すことができる」
僕は一歩ずつ近づく。そして、クソ王女は逃げるように後ずさる。
「な、何を!」
「地球にはもっと凄い武器がある。この弾を連射できる物や、星そのものを破壊する物もある」
「こ、来ないで!」
「この世界の技術とはレベルが違うほどにな。そして、僕はそのほとんどの知識を持ってる。しかも、それは大体魔法で作れてしまう物ばかりだ」
「な、何が言いたいのよ!」
「いいや、何も。どう解釈しても構わない。だけど」
僕はクソ王女を睨みながら銃をしまう。そして耳元で囁く。
「今度、僕らに関わってみろ。ただではおかないからな」
そう言い残し、僕は無言でワイバーンの解体を始める。
これだけ脅しておけば、恭也や他の連中にも無理強いさせることはないだろう。
解体が終了し、使えそうな物だけカバンに入れていると後ろから人の気配を感じた。
「なんだ、恭也か」
そこに立っていたのは少し悲しそうな顔をした恭也だった。
「どうかした?」
「いや、大丈夫かな〜ってな。あんなにキレた陸は初めて見たから」
そういえば、生まれてこの方本気で怒ったことなかったな。
「大丈夫大丈夫。逆にボロクソに言えてスッキリしたよ」
「そうか。それはよかった」
恭也はどことなく安心した様子になった。
流石にあれだけ言ったらみんな心配するよね。
「なぁ、さっきのって俺達の為に言ってくれたんだよな」
「う〜ん。まぁね。あの自分勝手な王女にただ単に怒ったのもあるけど、恭也や柚葉さんとかに無理強いできないようしたのもあるね」
僕は照れながらそう言う。その反応を見た恭也は肩を組み、笑顔になる。
「やっぱお前はいいやつだわ! なんかあったら俺に言えよ。勇者の権力とかガンガン使ってやるからよ!」
「そうだね。その時が来たら、頼らせてもらうよ」
僕と恭也は笑いながら、王都へ帰るのであった。
読んでいただきありがとうございます!
「面白い!」や「続き気になる!」って方は是非とも☆☆☆☆☆を★★★★★にして頂けると嬉しいです!
モチベアップに繋がって執筆が捗るです(*´ω`*)




