19話 天才の孤独
僕が6歳の頃から天才や神童などと呼ばれていた。
年齢的には小学一年生だが、既に四則計算をある程度でき、常に国語辞典を読み漁っていた。
そんな僕の様子を見た親はすぐに僕を塾などの英才教育を施してくれた。……そのことにはとても感謝している。
しかし、事件が起きた。
小学6年生の時、僕は興味本位で花火を作ろうとした。音を出す火薬銃の火薬を少しずつ集めて、すり潰した銅とかを混ぜて簡易的なものを作ろうとした。しかし、それを見つかった僕は危険視扱いされた。一つ間違えれば大火事にもなる。そう親は解釈したのだろう。正しい知識を持っていてもそれを知らない者からはただの異端でしかない。
その日から親は僕を避けるようになった。今まで全て与えられていたのが、急になくなったのだ。更には親が近所の人々にその話をし、瞬く間に僕はそこら一帯から危険人物扱いになった。友達もみんな避けていくようになり、中学生になる頃には誰一人近づかない、そう孤独になった。
その話は中学校でも広がり、友達もできず、そのまま高校生になった。高校は試験でトップの成績を残せば授業料免除されるところへ行った。
親は僕を忌み嫌い、いち早く家から追い出したそうだったからだ。しかし、最低でも高校は卒業していないと生きていけないと感じたので、僕は一人暮らしをしながらバイトをすることで生計を立てていくことにした。
僕は高校へ首席で合格し、授業料免除を勝ち取ることができた。しかし、その高校は僕が通っていた中学校に近くにあることもあり、僕のことを知ってる人達がちらほら居た。
その影響で、またもや危険人物扱いされ始めた。
中学三年間我慢してきたんだ、高校三年間も我慢するだけ。
そう僕は心に念じながら生活をしていた。
「よ! 俺は恭也。君は陸って言うんだろ? 友達になろうぜ!」
僕の背中を突かれたと思うと後ろにいた青年が話しかけてきた。
この日、僕の世界が変わった。
今まで我慢していたことが、一人の青年のおかげでどうでもよくなった。
「天才は周りから理解されないって言うだろ? 気にしなくていいんだよ。いつか、理解してくれる人ができるって! そう! 俺みたいにな!」
恭也は僕にそう言ってくれた。その言葉がどれだけ嬉しかったか。何年ぶりに認めてもらえた。その事がとても嬉しかった。
これが僕が恭也を慕う理由となったのであった。
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モチベアップに繋がって執筆が捗るです(*´ω`*)




