16話 楽しい楽しい買い物
裏ステータスの 宗教:叡智の女神 のところを 宗教:叡智の女神:使徒 に変更しました。
理由は、こっちのほうが使徒だと分かりやすいからです。
この世界に来てから2ヶ月とちょっと……遂に……遂にこの日が来たのだ!
「「外だぁ!!!」」
「静かに!」
城下町に来て燥いだ僕と恭也はミアさんに頭を叩かれる。
そう、僕達は今城下町に来ている。ここ2ヶ月、王城の敷地から出られなかったのだが、僕がリオ団長にお願いしたところミアさんの監視ありならオッケーがでたのだ! 王城は広いけど、色々窮屈だったし、僕が欲しいものは何もなかったから本当にありがたい!
でも、叩くことないと思う。
ちなみに、メンバーは僕、恭也、柚葉さん、ミアさんの4人だ。恭也は何処からか情報を手に入れてなんか着いてきた。
「とりあえず、リオから預かったお金渡すから」
僕はミアさんからお金が入った袋を貰う。
……あれ? ミアさん付いてこない感じ?
「私はユズハとお茶してくるから」
「この世界のお菓子も美味しいんですよね〜」
「この近くにおすすめのお店があるんだ〜。……それじゃあ、男子2人面倒事だけは持ってくるんじゃないよ! 3時間後にここに集合! 分かったね」
そう言うとミアさんは柚葉さんと手を繋いでそのままどっかに行ってしまった……。
なんか、めちゃくちゃ仲良くなってない? それに僕達への態度と柚葉さんへの態度の差よ……。
「なぁ……陸……」
「なんだ……恭也……」
「俺達どうする?」
「さぁ……?」
置いてけぼりにされた僕達は一体どうすればいいんだ……。この街のルールとか全然知らないんだけど……。……そういえば、恭也何も持ってきてないな。
僕は恭也の服装を見ながらそう思う。僕は買い物する予定だからちゃんとカバンやお金を持ってるけど、恭也は手ぶらである。
「そういえば、恭也金あるの?」
「いんや、無一文。そこから出してくれるんじゃないの?」
「いや、これは訓練とか食堂とかで働いたお給金ですが?」
本当は騎士や食堂のおばちゃんがリオ団長に「いつもお世話になってるんだからお金あげてもいいじゃないか!」って言ってくれたからなんだけどね。
「……え? まさか……出してくれないのか?」
面倒事にしたくないからあんまりお金貸さない主義なんだなぁ……。それに奢ってもらうことが前提なのかよ……。
「しゃーないな。手伝ってくれたらなんか奢ってやるよ」
「しゃあ!!」
僕は恭也の手を引っ張ってとある場所へ向かう。
【大賢者】この先でいいのかな?
『はい。お目当ての場所はその先にあります』
ありがとう。なんかナビみたいに使って悪いな……。
「なぁ……? 本当にこっちなのか?」
僕が裏路地みたいなところに入ろうとすると恭也が僕の腕を引く。
「う〜ん。多分」
『この先に輝石屋と言う珍しい石を集めて売ってるお店があります。闇市の宝石屋みたいな感じですので、掘り出し物があります』
「あってるみたい」
「へぇ〜」
僕は暗い建物と建物の間の道を通っていく。道中、貧民らしき人が倒れていたり、腐った犬の死骸があったりしていてとても薄気味悪い。
「これは酷いな……」
「う〜ん。表立ってはいい感じの国だけど、裏では経済的にも衛生的にも悪そう」
「ここの人達はこんな貧しい生活してるのに俺達は王城でぬくぬくしてたなんてなんか悪い気分になってきた」
「僕達にはなんにもできない。ささ、時間がないし、さっさと事を済ませるよ」
僕はチラチラ周りを見渡す恭也の手を引きながら進んでいく。そして、ボロボロな一軒家に着く。
「きせきや……あった。ここだね」
僕は看板の文字を見て、目的地に到着したことを確認する。中に入ると店番と思われるおばあちゃんが「いらっしゃい」と言う。お店の中は刺激臭が漂っており、鼻が曲がりそうなほど臭い。
一応、全部瓶に入ってるみたいだけど、ちゃんと密閉してないな……。そんなお金もこの店にはないのかな?
『マスターには、スキル【健康体】があるため毒はすべて無効化されます』
あ、そうなの? でも、恭也も危ないな。
『キョウヤ•シグレはスキル【全知全能の勇者】により、スキル【毒耐性】を取得しております。致死毒ではない限り、身体への影響はないでしょう』
ほうほう。改めて思うけど【全知全能の勇者】ってスキルめちゃくちゃチートじゃん。
「それじゃあ、恭也も鑑定してなんかあったら僕に持ってきて」
「なんか宝探しみたいだ!」
「掘り出し物見つけたらなんか奢ってやるよ」
「しゃぁぁ!!!」
この店の商品は乱雑に転がっている。中には掘り出し物があるかもしれないし、恭也にも手伝ってもらうのが一番いい。
僕は1つ1つ【叡智】で鑑定しながら見ていく。この世界の物質の名称が地球の物質の名称と違うので1つ1つ見ていかないといけないのだ……。原子の陽子の数で見分けてるのだが、色々な原子が混合してる混合物とかは見分けにくい。
僕は岩塩や硫黄、水銀など使い所がありそうな鉱石を3瓶ずつ手に取る。なんで石売ってる店に水銀があるのか分からないけど、色々使えそうなので買っておこう。
「陸! これ見てくれ!」
「ん? ……これは……?」
恭也が持っている石を見てみると青い水晶の原石らしきものがあった。
【大賢者】鑑定よろしく。
『鑑定の結果、これは水の精霊の原石です』
精霊の……原石?
『精霊の卵です。加工次第では強力な武器や護身具になるでしょう。空気中から魔力を取り込むので半永久的な魔力源となるでしょう』
へぇ〜【マナサークル】みたいだね。
『元々、精霊の魔力循環を模様したのが【マナサークル】ですから』
なるほど、そういうことなのね。
「恭也、よくやった!」
「これで俺への奢り確定な!」
僕は買うものをカウンターへ持っていく。
「4点、全部で4000ゴールドだねぇ」
銀貨40枚か……。日本なら破格の値段だね。
ちなみに、この世界の通貨は。
銅貨1枚が1ゴールド
銀貨1枚が100ゴールド
金貨1枚が1万ゴールド
白金貨1枚が100万ゴールド
ちなみに1ゴールドで10円ぐらいなので、実質4万円である。地球ならこんな値段で買えないもんな〜。
僕は袋から銀貨40枚を取り出し、おばあちゃんに渡す。
「丁度銀貨40枚ね。毎度あり」
「[真空化][真空化]……」
僕は1つ1つ瓶の中の空気を魔法で抜いてから買った物を鞄に入れる。こうすることによって酸化や反応を抑え、蓋を外れにくくするのだ。ちなみに、僕お手製の魔法だよ。
全て入れ終わった僕は恭也と共にお店から出る。
「なぁ? そのカバン一体どうなってるんだ?」
「ん? 普通のカバンだけど?」
「いや、絶対おかしいだろ! なんで、そんなに入るんだよ!」
「なんだ、そんなことか」
カバンに物理的に絶対入らない量が入ったことに驚いているのだろう。
「このカバンは魔石を核にして【空間魔法】で2倍の広さに拡張してあるんだよ。いわゆる魔法のカバンってやつだね」
「すげぇ! 俺にも作ってくれよ!」
「あ〜。いいけど、魔石がないからな〜」
このカバンは壁外に行ってた騎士から貰った魔石を使用してるため、魔石の予備がない。
「魔石ならアメリアに頼めば多分貰えるから今度貰ってくる!」
「へぇ〜。いいご身分で」
僕なんて魔石手に入れるだけでも奇跡だったのに、恭也はコネで……ずりぃ!
「お! あれ奢ってくれよ」
恭也は呑気に焼き鳥の露店を指差し、僕を引っ張る。
「奢りはカバンの件でチャラな」
「そんなこと言わないでさ〜。奢ってくれよ〜」
「はぁ……しゃーないな……」
この後、僕は恭也と共に城下町を楽しんだのであった。主に僕の金でね!!!
読んでいただきありがとうございます!
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モチベアップに繋がって執筆が捗るです(*´ω`*)




