5.ここまでが彼の物語
今のうちに書き溜めすれば平日投稿出来る…?いや、毎日は無理だ(諦め)
〜《土》の勇者ユーキ〜
ハハッ、あぁ愉快。アイツが苦しむ姿を見るだけでこんなにも気分がいい!
どうやら豚の日々は僕に思った以上のストレスだったらしい。
樹の玉がアイツに向かった時のあの焦った表情。あぁ、いい。とても良い。
吹き飛んだアイツを結界が受け止めたようで、空中で不自然に止まって落ちていた。パリンと音が聞こえたから結構ギリギリだったっぽい。
あぁ、【人生泥棒】でアイツの力を奪って僕の力が増したせいか。
あんなやつでも勇者としての素質とかはあったらしく、それを奪った事で僕の力はかなりの物になっていた。
《火》の英精霊の力はさすがに奪えなかったけど。それでも勇者としての力はもうないだろうから、英精霊の力なんて使えないだろう。
それにさっき僕の攻撃を防ぐのに火を使って抑えようとしていたからね。あれはかなり無理をしたはずだ。当分あんなことはできないだろう。
さて、舞台を戻そう。これから皆には負けた彼を見てもらわないとだからね。
舞台を形作っていた樹が床に沈み消えていく。一体どういう原理でこうなってるのか全然分からないなぁ。ま、使えるならいっか。
よし、これでボロボロの彼が周りにも見えるようになった。
血を見慣れていないのか貴族達の大半は顔を青ざめている。
さて、ここからが本番だ。
「皆様、お分かり頂けたでしょうか!私、《土》の勇者ユーキは《火》の勇者フミダーイより強い、と。さらに私は《火》とは違い樹以外にも様々なものを使うことができます!私が最強の勇者だとご理解頂けたでしょうか!」
声を張り全員に聞こえるように言う。フミダーイが声に反応して起きたみたいだし、アレ始めちゃおう。
「皆様に伝えたいことがあります!《火》の勇者フミダーイパーティーは解散し、ロイ、アリサ、マイ、ザイカと私でパーティーを結成します!」
「ふざ、けんな…。解散するなん、て言ってな、いぞ…はぁ……はぁ……」
あぁ、その顔、最高にイイ!今は僕が上でお前が下なんだよ。アハハハッハハハハハ。
「あぁ、気付いておられないのですね。哀れだ…。彼らに話してもらいますか。誰から聞きたいですか?」
「黙れ…どういうことだ、ロイ!」
「どういうことだと言われましても…。正直あなたにはうんざりしていたのです。敵を見たら直ぐに走っていく癖に倒せなかったら助けろと言う自分勝手な振る舞いや、金遣いが荒いせいで何度も死にかけました。あなたは金を管理していないから知らないでしょうが、私たちの宿代、食費、装備代、全ては貴族のスポンサーから出されているんです。それなのに、あなたのせいでスポンサーを辞めるなんていう人が大量にいるのです。私たちは自分の装備等を渡す事で何とか辞めないでもらうよう頼んでいる間あなたは何をしていましたか?遊んでいましたよね?私たちの苦労も知らないで。そういう所が本当に無理なんです。さようなら」
「な……知らなかったんだよ……そんなの……じゃあアリサは!」
もっとだ。もっと苦しめ。まだ足りない。
「大体はロイが言ってくれたんだけどさ。他に言いたいことがあってさ。あなた、汚いのよ。汗臭いのに、平気で近付いてくるし、風呂とかも入らなくていいとかいうし、都合のいい時だけ私たちに頼って本当にキモイ。なんで何回も1人で行くなって行ってんのに無視するわけ?カッコつけたいだけでしょ?そういう所が本当にキモイのよ。さようなら」
「それは……だって……勇者ってそういうものだろ……汚いのは悪かったよ……そこまで嫌がってるとは思わなくて………マイは…」
顔が捨てられた犬みたいになってきてる。ハハ。いい、いいぞ。
「えーと、とりあえず死んで欲しいかなって。私たちは道具じゃないんですよ。力を使うのだってそれなりに疲れるんですよ。大変なんですよ。それなのに感謝もねぎらいもせずそれが当たり前みたいな態度。私がいなかったらあなたとっくに死んでましたよね?右腕もげた時だって治しましたよね?あの時あなたが言った言葉覚えてます?私が治すのに集中してるのに、これもっと速くなんないの?って。いやいやいや。感謝の一言ぐらいないんですか。なんで出てくるのが文句なんですか。マジいなくなって欲しいです。さようなら」
「そういうつもりじゃ………なかったんだ………あの時は……早く倒そうと…必死で……ザイカ……は…」
あと少し、たったそれだけで壊れる。フヒ。変な笑いが出そうになった。あー面白。フヒヒ。
「俺からは言いたいことあんまりないっすけど。強いて言うなら。仕事は子供の遊びじゃねぇんだよ。そんなに1人でやりたいなら俺らと関係ないとこでやってくれ。お前の自己満足に俺らを巻き込まないでくれ。それだけっす。さようなら」
「う……あ……あぁぁぁあ……おれ、は………間違って………やり直……かった………」
完全にイった。これでアイツも終わりだ。フヒ、フヒヒヒ。スッキリする。嫌いな奴が壊れるのを見るだけでこんなにも気持ちいいとは思わなかった。
何かに憑かれたみたいに肩を落としながらトボトボと出ていく様は見ていて凄く良かった。
これで復讐は終わり?いいや、違う。これから僕が有名になり、魔王を倒すまでがアイツへの復讐だ。
アイツは今どうやっても1年間は死ねないからな。その間にアイツをもっと絶望させてやらなきゃ。
僕の物語はここからだ。物語にはヒロインが必要だよな。アリサとマイどっちがいいかな。
いや、勇者なんだから2人共、だな。フミダーイ。お前の分まで楽しんでやるよ。第2の人生をな。アハハハハハ。
そんなことを考えていたからか、王女サマが居なくなっていることには気付かなかった。
転生特典解説
特殊・・・運命にも補助にも当てはまらないその他をまとめて特殊と言う。効果は強力なものが多いが、その分デメリットも強め。
【人生泥棒】・・・対象を一人選択することで使える。
(メリット)対象者の才能、素質、性質、精霊を奪える点。ただし、英精霊は奪うことが出来ない。精霊を奪う場合は精霊との契約が引き継がれるようになっている。
(デメリット)対象者が強力な程解析に時間がかかる点。解析が終わり、才能などを奪う時に対象者に伝わってしまう点。対象者が死なない限り【人生泥棒】を使えない点。奪った力が強ければ強いほど、対象者は長い期間死ななくなる点。自分から死のうとしても死ぬ事が出来ない上に、死線を超えるとすごく疲れるがそれでもヤバい。死なないので対象者が力を手に入れて復讐されるとかなり危ない。その可能性が起こらないようにユーキは力だけじゃなく仲間や地位なども奪い精神もボロボロにしようとした。
良ければ評価、感想をお願いします!誤字を見つけたら誤字報告もお願いします!(欲張り)