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無能を追放して全てを奪われた元勇者  作者: チョコクリーム
1部・無能を追放して全てを奪われた元勇者〜そして彼は思い出す〜
1/10

1.そうだ、追放しよう

気合いで投稿

この先未知数

エタって未完結

対戦よろしくお願いします(自分との戦い)

 


「豚、お前はクビだ。このパーティーで俺たちの邪魔をするな」


 いつものように集まった中央広場。中心にある噴水から水の音がやけに大きく聞こえる。周りの奴らも異様な雰囲気を感じたのかさっきまでのうるささが嘘のように静かだ。

 豚と呼ばれた少年は()()()と悲しさが混ざったような表情をして口を開く。

「分かりました。今まで、迷惑をお掛けして本当にすみませんでした」

 そう言って笑みを浮かべたが、その笑顔は本心から浮かべているようにも、そうでないようにも見えた。

 中央広場に喧騒が戻る。聞こえてくるのは、哀れみや同情の声が多かった。豚と呼ばれていた少年はその声に耐えられなくなったのかどこかへ走り去って行った。


 〜1日前〜


 グジャァ。嫌な音だ。そう思いながらフミダーイは剣を振るった。素人が適当に振り回すような動きに見えるが、直ぐに何者かに矯正されたかのように無駄のない動きで目の前の敵を斬っていく。

 敵は腐った肉のような臭いを出す青白い人型のいわゆるゾンビと呼ばれるものだ。

「おい、そっちは大丈夫か!」

 近くにいるゾンビを斬り終わり余裕が出来たのでかなり()()()()()仲間に声をかける。

「大丈夫も何も全部あんたが倒したんでしょうが!なんであんたは毎回敵を見たら直ぐに走っていくのよ!団体行動って知ってる!?」

「うるせぇ!全部倒せてんだからいいじゃねぇか!結果オーライってやつだ!」

 仲間は呆れたように首を横に振る。


 早く次に行こうとして豚に目を向ける。

「おい、早くしろ豚!なんのために弱っちいお前をパーティーに入れてやってると思ってる!さっさとドロップアイテムを拾え!」

 小さくハイと返事が聞こえ、動きも少し速くなったように感じる。しかし、その差は持っている者からするとあってないようなものだ。

 この世界は平等ではない。強き者が弱き者から全てを奪うことが出来る。例えば、大人は子供から尊厳も命すらも自由に奪える。または精霊に選ばれた者は選ばれなかった弱者(ゴミ)から全てを奪える。

 10歳になれば教会で精霊と契約を結べるようになる。どんなにアホでも弱くても、微弱な精霊と契約を結ぶことが出来る。つまり、それすら出来ない奴は人間として扱われない。故に豚。そう呼ばれる者がいる。選ばれた人間に豚が全てを捧げる、それが常識なのだ。だから人間の気分次第で豚を殴っても馬鹿にしても誰も気にしない。このように。


「おらっ、早くしろよ!時間は豚なんかに使えるようなもんじゃないんだよ!人間の時間を奪ってんじゃねえ!」

 殴る、蹴る。豚は人間と違って弱いから加減しないとすぐ死んでしまうから注意だ。実際この豚のせいで進みが遅くなっている。

 そろそろクビにした方がいいか。ドロップアイテムを集めるぐらい他の豚でも出来るしな。

 全く、組合にも困ったもんだ。いくら人手不足だからってもっとマシなやつよこせよ。


 〜時は戻りクビにした翌日〜


 俺たちは組合に来ていた。正式名称、魔宮攻略支援組合。昨日は珍しく組合が休みだったので入れなかったのだ。確か新しい勇者がどうとか言ってたな。

俺には関係ない話だ。そう思い豚の補充をしようとしたのだが…

「はぁ!?豚が足りてないぃ?そんなん他パーティーから取ればいいだろうがよぉ」

「そうは言われましても、どこも豚が足りていないんですよ。それに、豚を入荷するスピードより、豚が死ぬスピードが早いせいで調教が間に合ってないんです」

「次はいつ入荷すんだよ」

「早くても1週間はかかります」

「1週間後にまた来る」

 吐き捨てるように言い残し組合を出る。ここ最近は働き過ぎてたから休みにするか。


 仲間には1週間休みにすると伝えいつも泊まっている宿の自室に帰る。この町の最高級の宿なので金がかかっている分ベッドもふかふかで雰囲気のある絵画が飾ってある。

 ベッドに潜り寝ようとしていると、仲間のことが頭に浮かぶ。確かあいつらは宿よりも武器や防具に金をかけたいから安宿に泊まりますとか言っていたか。今度遊びに行こうかな――――――スヤァ


 〜???の会話〜

「まじあいつ今日もウザかったなぁー。死んで欲しい」

「ほんとそれ。いつもイキってて本当にキモイ。豚でストレス発散できてるからいいけどさぁ」

「おいおい、あんまやりすぎんなよ。殺すと組合に金取られるんだからよ」

「皆さん、暴言はいけませんよ」

「おいおい、いくら優しいあんたでもさすがに()()にはイラついてんだろ?」

「確かに日頃の行動はまるで精人していない子供みたいですけどね。一応あれでも力だけはあるので利用するだけ利用しますよ」

「あは。優しいのは表だけでこっちが本性だもんねー」

「ねぇねぇ、聞きたいんだけどさ。もし、あいつを超える勇者が現れたらどうする?」



「「「もちろん、そっちに行くに決まってる!」」」

用語解説

豚・・・豚は死ぬと肉になるが生きていては無駄飯食らいの無価値。精霊と契約出来ない者は精霊に愛されていない→こいつ人間じゃねぇ!これらを合わせた結果、生きる価値もない死んでも問題ない無価値な存在として豚と呼ばれるようになった。魔王を一向に倒せない為責任を押し付けようとして生まれたという一面も。


そうはならんやろと思うかもしれませんが、この世界ではそういう風になっていると考えて頂ければありがたいです。良ければ評価、感想をお願いします。ブクマはされると圧がかかる気がするのでお願いしません(ノ∀`)

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