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空は非日常を求めてる  作者: えぬえす
9/24

本性

前回から凄い時間が経ってしまい、申し訳ありません!

「それは昨日の事だった……」一色はそう言って話を切り出した。


「お前たちと別れた後、ちょっとテンション下がっててさ。ほら、怖いなんて言われたからさ」


「長話に付き合う気はないぞ。僕の質問。つまり、きっかけを簡潔に話せ」


「まあまあ、ここからが本題だ。俺はぼーっとしながら歩いていたら、不良とぶつかってよ。相手はめちゃくちゃ怒ってたぜ。それで、俺に殴りかかって来たんだ」


 気分が落ちていると周りが見えなくなる。そういう経験は僕にもあったので何も言えることは無い。


「言わずもがなだが、ボコボコにされたよ。でも、ある音を境にその拳はとんではこなかった。目の前には、先程まで俺を殴っていた不良が、断末魔とも言える不愉快な声を出して苦しんでいた。何が起きているのか、全くわからなかったよ。誰かが救ってくれたと誰しもが思う展開だが、その場にいたのは俺と不良だけなんだぜ」


「……?」


「分かんないよなぁ。俺もわかんなかった。でも、その時、一つだけはっきり分かったことがあった。暗かったんだよ。朝と昼の中間くらいの時間に、暗さで自分の影が見えなかったんだ。異常だとすぐに分かったよ」


「異世界にワープしたとか?」


「そうであって欲しいな。だが、現実はそうじゃない。見上げた空には、5m程の巨大な人。巨人がいたんだ。巨人にしては小さいサイズに思えるが、普通に人としてみたら異常な高さだったぜ」


「でもよ、一色。さっき、不良と一色しか居ないって言ってたのに、矛盾してるじゃないか」


「そうなんだよ。つまりだ、巨人は元々いなかった。不良が死にかけてるとわかった瞬間、急に巨人が見えたんだよ」


「それが、心当たりということか」


「そうだ」


「それはどう考えても答えだろ!」


 そこで、ずっと黙っていたかえでが、僕だけに聞こえるように言う。


「この前、空が一色さんのことを創造神と言っていたけど、巨人を作ったってことかしら」


 かえでの推理は間違ってはいない。でも、僕にはひとつの答えが既にあった。


「確かに、巨人を作ったというのは間違いないと思うが、それだけでは、不良が死にかけなのを目撃した後に影が出てきたという事実と辻褄があわない」


「じゃあ、なんだっていうの?」


「そこには、一色には見えない何かがいたのさ。そいつが不良をボコボコにした。何が目的かは分からないが。そして、一色の話を聞いている限り、一色は自分が力と呼べるものを使っている自覚はない。見えない何かが、力を知らず知らずのうちに使えるようにしたのさ。ここまで言ったら大体分かってきたんじゃないか?」


「ドヤ顔で何言ってんのよ。全く意味わかんないわよ」


「さっきから俺に聞こえない声で何を話してるんだよぉ」


  一色の前で自分たちの世界に入ってしまい、それが気に入らなかったのか、一色はとても不満げな表情だ。


「これから僕が言うこと。全て信じることができるか?」


 一色は考える間もなく


「実際にこんなことが起きてんだ。信じるしかないだろ」


「そうか。そうだな」


 そして僕は、神様の存在や、僕やかえでに見えた一色の後ろにいた神様のような人物の存在について、分かる範囲で話した。


「俺が神様って解釈でいいのか?」


「そういうことだろうな」


「なんか、信じ難い話ではあるけど、それで辻褄が合うのなら、そうなんだろうな」


 正直僕も答えは分からない。テストのように、模範解答が貰えると分かるのだが、あいにく、そのようなものはこのような場合には存在しない。


「そしてこっからだ。不良を見えない何かがボコボコにするのは、誰がどう見ても不自然だ。そこで誰かのせいにすればいい。だが、数秒で断末魔を発するほどボコボコに出来る人間はいないはずだ。だからそれが可能そうな生き物を生み出した」


「それが巨人ってわけか」


「そういうことになるな。そして、この大量発生だが、巨人が現れて混乱していた一色は、巨人がいることは普通なんだと脳にいいきかせた。でないと頭が爆発しそうになるからな。普通だと思い込むことで、巨人が大量発生したわけだ」


「それはなんでも無理があるのでは?」


「なんだよかえで。何か不満でもあるのか?」


「だって、巨人がいたら、それが普通だと思い込むなんて、普通の人はしないわ」


「アニオタの一色だからなったということにしておこう」


「そういう発想にこの少しの情報で持っていくお前も相当だぞ。それに、根拠なんて無いだろうにどうしてそう思うんだ」


「ただの勘だよ」


 嘘だ。僕は、本当に一色に何かを作り出す力があるのかを確かめるために、それっぽい理由をつけて信じさせているだけだ。そうすることによって、僕が言ったように見えない何かが現れたとしたら、全てを信じざるを得ない。


 つまり、僕はこの状況や、神の存在について、全然信じきれていないという訳だな……


「多少無理やりな理由にはなっているが、間違えている理由でも、何も分からないよりは怖くないだろ?」


「そう言われればそうかもしれないな。でも、なんで54とやらは暴れているんだ?」


「一色の想像した巨人のイメージがそうだったからとしか言えないな」


「そうか……。それで、解決策は何かあるのか?」


 そこまでは頭が回っていない。それに、あんなでかい生物、生身の人間にどうこうできるものでもないだろう。


「策は……ない。あんなの倒せるはずがない。出来るのだとすれば、生みの親であるお前だけだ」


「口を挟むようで悪いのだけれど、一色さんが巨人化した理由が分からないわ」


 ただでさえパンクしそうなほど頭を回転させているのに、保留にしていた重大点を聞かれてしまう。このままでは……故障してしまいそうだ。


「あーもー分かんねーよ……。僕にもなにがなんだかわからないんだ。朝起きたらこんなことになってるし、妹はいなくなるし……。全部一色のせいだぞ。責任取って考えろ」


 なんだこれ。言いたくないのに、本音が出てしまう。投げやりで、無責任な言葉の数々。


 僕はなんて最低な奴なんだろう。


 こんな狂った世界……


「―――無にしてやるよ」

いやー、やっと序章が終わって、本章に入れたって感じで、楽しいです笑

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