パーティ
それでは、2話目どうぞ
パーティを始める前に、そもそも、シスコンパーティについて僕が説明しよう。
やることは至って簡単。疲れたお兄ちゃんを可愛い可愛い妹に癒してもらうのだ。
といっても、他の人達の家ではこんなパーティないだろう。それもそのはず、こんなこと普通じゃない。普通の兄妹ならしない。
まあ、普通というものの定義が僕の中ではイマイチ定まっていないのだが、とりあえずは、割合が高い方が普通であり、常識であると考えるようにしている。
話は戻るが、ではなぜ、このようなパーティが開かれるのか。それは、僕がシスコンで、沙友理がブラコンだからである。
「生涯を沙友理と添い遂げるのもいいかもしれないな」
なんて思っているレベルのシスコンだ。だが、こんなに分かりやすく溺愛しているのにも関わらず、沙友理は拒否も、嫌がりもしない。これは、沙友理がブラコンであることを証明する材料として十分じゃないだろうか。
そんなことを考えながら、僕は自宅のドアの前に立つ。もちろん、沙友理は家にいるので、鍵は閉まっていない。
扉を開けて、閉めたら、パーティ始まりの合図だ。
――ガチャン
「さーゆーちゃーん。ただいまー」
「お兄ちゃん、おかえりなさい。その呼び方で私を呼ぶということは、今日はパーティの日ですか?」
「まさしくその通りだ!」
会話はそれ以上は不必要だ。僕は沙友理を堪能し、沙友理には、それを耐えてもらう。
「今、なにかしていたのか?」
「はい。日記を付けていました!」
「そうか、お前は偉いなぁ」
「日記を書くくらい、偉くもなんともないですよ、お兄ちゃん」
本当に沙友理は真面目だ。いい子すぎる。だから、このパーティ自体、本当に申し訳ないことをしているという自覚はあるのだが、止められない。
まずは、妹に抱きつき、妹の匂いを堪能する。満足いくまで、入念に。
次は、夜ご飯の時間だ。もちろん、ただの夜ご飯ではない。妹にあーんをしてもらうのだ。正直、手間も時間もかかるのだが、その全てを愛が包み込んでくれる。
次に、お風呂だ。この時間は残念なことにパーティとは無縁の時間だ。妹は一緒に入ってもいいと言ってくれるのだが、さすがにそれはまずいので、本当に残念ではあるが、数十分、パーティは中止だ。
入浴中、今日あった出来事を簡単に頭の中でまとめてみた。
急に現れた、僕が神だとカミングアウトした女の子、かえでは記憶をなくしていた。というか、正しくは、あの時のかえではかえでではないらしい。
そして、今のかえでは、クラスメイトに見えなくなってしまった。落ち込んで、作戦を練りながら帰っている途中、一色と会う。そこで、一色とかえでの後ろにいる、人ではないだろう何かを目撃する。
結局その場から逃げてしまったのだが、果たしてこの選択は正解だったのだろうか。あの時解決するよう、精進すれば、未来は変わっていたかもしれない。
こんな事、全て結果論でしかない。満足のいく選択なんて今の僕には絶対に出来ない。だから、とりあえずはこれで良かったのだ。これが正解なのだと、自分に言い聞かせる。
と、こんな感じで風呂場で再び重い気持ちになった後、つまり、風呂を出た後、再びシスコンパーティは始まる。
といっても、もう終盤だ。あとは、抱き合って、同じベットで寝るだけ。それ以上の事はもちろんしない。それが、兄としてのプライドであり、自制心だ。
妹という生き物はなんて素晴らしいのだろう。妹を抱きしめて寝るだけで、そこらの抱き枕を抱きしめて寝るよりもぐっすり寝れる。
と、ここでパーティは終了だ。
「沙友理、起きてるか?」
「はい、起きてますよ」
「沙友理は、お母さんみたいに僕の前から急に消えないでくれよ」
「当たり前じゃないですか。私はお兄ちゃんのものなんですよ?ちゃんと管理してくれれば、絶対に居なくなりませんよ」
そう言って、沙友理は「よしよし」と、僕の頭を撫でる。とても気持ちがいい。それに、懐かしい感じがする。それは、母親に撫でられる感触と似ているという意味だ。
僕には、お母さんがいない。事故で、僕が中学3年生の時にこの世を去った。それだけなら、とても悲しいお話で終わった。ただ、僕は事故を起こした犯人を絶対に許せない。
僕の母親を殺して、妹も殺そうとしたのに、死刑にならない。こんな世の中理不尽だ。こんな社会間違っている。
こんな腐った世界、今すぐ僕が作り直してやる!
事故の話、もっと重たい話にしたいのに、語彙力や経験値の不足で、ちょっと軽い感じになってしまいました……本当にごめんなさい