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空は非日常を求めてる  作者: えぬえす
4/24

ストレス?

割と早く出せましたね。

最近は凄く筆が滑るというか、手が動くというか……

とりあえず、調子がいいです!

それでは4話。どうぞ!

 その日、よく分からない世界を見た日、見てしまった日の帰り道、僕はいつも通りの道をいつも通りとは言えない状況で歩いていた。


 結論から言おう。かえでは僕になんの躊躇もなく、上目遣いで家まで送ることを要求してきたのだ。


「おかしいだろ。こんなの計算外だ……」


「なに、過ぎたことをいつまでもグチグチ言ってるのよ。男のくせに気持ち悪いわね」


「なんで、林さんみたいなタイプがこの類いの要求をすんなり受け入れるんだよ!」


「まあ、あなたは私のことを全く分かっていなかったと言う事ね」


 かえでの言ってることは何一つ間違えていない。僕はかえでのことを全く、少しも分かっていないのかもしれない。今回の件の敗因は、かえでのことをただのツンデレキャラだと断定してしまったことにあるだろう。


「それはもういいよ。ところで林さん」


「その林さんって呼び方やめなさいよ。私はあなたにさん付けされる筋合いはないわ」


「そっか。じゃあ、なんて呼べばいいの?」


「そうね、かえででいいわよ」


「分かったよ。か……かえで」


 いきなり苗字で呼んでいたのを名前に変えると凄く照れる。心の中では、常にかえでだったのに。


 だが、照れるという点ではかえでも同じらしい。すごく照れくさそうに顔を赤くして、それを僕に悟られないようにか、下を向いている。むしろ目立つとは考えないのだろうか。


「じゃあさ、かえで。僕の呼び方もあなたじゃなくて、空でお願いできるかな」


「そのくらい、なんでもないわよ空」


 かわいい同級生に名前を呼ばれると照れるのだと、この時実感した。


 そんなことで浮かれている場合ではない。すぐに話を戻さないと、ちょっと気まずい雰囲気が続いてしまう。


「ところでさ、か、かえで、君の家はどこなんだ?」


「そうね。このまま、まっすぐね。言葉通りの意味よ」


 この時は、言葉通りの意味とはなんなのか分かっていなかった。ただ、まっすぐ行くのだと思っていたが、突き当たりと思われる場所についた時、本当の意味を知った。


 突き当たりだと思っていた草むらを、まるでけもの道でも作っているかのごとく、かえでは進み出したのだ。


「もしかして、かえでの家って、この草むらの中にある?例えば、キャンプとか」


「あなたは……空は馬鹿なのかしら。こんなにかわいいこの私が野宿なんて野蛮なことしてるわけが無いでしょう」


 そう言われればそうだ。だが、自分のことをかわいいとは、相当な自信家らしい。否定できないところが、さらにタチが悪いと思う。


「なら、どこなんだよ」


「この草むらを出たところにあるマンションよ」


 かえでが教えてくれたのはそれだけだ。そして、いつマダニに噛まれるか分からないような草むらを出た時、見覚えのあるマンションが見えた。


「もしかして、かえで。あのマンションか?」


「察しがいいわね。そうよ」


「僕と同じマンションじゃねーか!」


 かえでが家だと言うそのマンションは、僕と妹が住んでいるマンションと同じだった。


「なんであんな危なっかしい道通るんだよ。もっと整備されてる道路があるだろ」


「……ただ、通りたいだけよ。この場所を」


 なにか理由がありそうな物言いだった。だが、それ以上にこの件を追求すると、もしその理由が重かった場合、どちらも得をしないと思った。それに、今じゃなくても聞けるだろう。


「そうか」


 僕が返せるのはそれだけだった。それ以上は言わない。それに、かえでも聞いて欲しくないだろう。


「同じマンションに住んでるんだったら、毎日一緒に帰れるな」


「ええ、そうね。あまり嬉しいとは言えないけれどね」


「今そんなこと言うかなぁ、普通」


「普通ってなによ。あなたの普通を私に押し付けるのはやめて貰えるかしら」


「ああ。悪かったな」


 本当にかえでといるとイライラする。可愛くなかったら僕は見捨てていたかもしれない。というか、そもそも可愛くないのにこんなキャラだったら……なんて、考える必要もないだろう。可愛くないやつは、僕の経験上、こんな性格にはならない。


 もっと優子を見習って欲しいもんだ。優子の爪垢を煎じて飲ませたい。かわいいのに、それを自慢することも、自信を持って言うことも無い。そのくらいがちょうどいいのだ。


「かえでってさ。いい性格してるよなー、ほんと」


「それはどうもありがとう」


「いや、褒めてねーよ」


「あら。そうだったの」


 かえでは「嘘!わかんなかった」という顔をしている。演技が下手だ。わかりやすすぎる。それがさらに僕をイライラさせる。


 あまり話していると、ストレスで倒れそうなので、無言でマンションに入り、エレベーターに乗り込んだ。


「今日は、ありがとう」


「な、なんだよ、急にかしこまって」


「お礼は、ちゃんと口にしないと伝わらないから」


「確かにそうだけどよ……まあ、いいや。どういたしまして」


 急に素直になられると調子が狂う。初めからそうしてくれればいいのに。


「とりあえず、今日は色々あったし、ゆっくり休め」


「ええ、そうね。あのよく分からない現象については、おいおい調べるとしましょう」


「ああ。そうだな。それがいい」


 今日は色々ありすぎて、疲れているだろう。僕はとても疲れている。帰ったら妹にたくさん甘えよう。


 そう思っているうちに、3階についた。僕は押していないので、かえでがこの階に住んでいるのだろう。


「それじゃ、また明日な」


「ええ、さよなら」


 別れの挨拶を交わしたあと、僕はいつも通り、4階でおりる。


 さあ、僕の、お兄ちゃんの、お兄ちゃんによる、お兄ちゃんの為のシスコンパーティを始めよう……

書いすぐ出すよりも、書き溜めて、週一とかで投稿した方がいいのだと思ってきました

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