違い
投稿空いてしまってすみません。やっと投稿できました。もっと頻度あげれるよう頑張ります
一色には、かえでの姿が見えている。そう考えるのが正解だと思う。
「一色には、僕の隣にいる女の子が見えるのか?」
「は?お前何言ってんだよ。こんな可愛い女の子でも、眩しくて見えないなんてことは無いんだぜ?」
一色は僕を馬鹿にしているように、こんな冗談を言う。どうやら彼女の姿が見えるのは僕だけではないようだ。少しショック……
そうこう考えていると、ある異変に気づく。かえでは一色を見ていないように見える。その奥を見ているような――
「な、なによ……これ」
かえでの表情は怯えている。彼女には何が見えているのだろう。肩をたたいてかえでに聞いてみる。
「かえで、どうしたんだ――」
肩をたたいた瞬間、目の前に見える景色が一変した。まるで、天国のような場所にワープした感覚に陥るほど、リアリティがある。
それに、かえでの後ろにはとても綺麗な女神が見えた。思わず見とれてしまいそうになるほど綺麗な女神だ。
この時の僕は凄く困惑していたと思う。目の前で起きていることが、上手く理解できなかった。
それでも、ただ一つ、ハッキリと懐かしい感じがした。まるで会ったことがあるような、無いような、不思議な感覚。
だからだろうか。恐怖は自然と感じなかった。だから、『かえでの見ている一色』を僕は見ようと思った。
案の定、一色は僕の見ていた彼とは違った。彼を見ていると、なにかを与えてくれそうな、心が暖かくなる気分になった。
僕は先日のかえでの言葉を思い出した。『あなたは人の力を消すことが出来る力を持っているです』
つまり、初めて会った時のかえでが言っていた通り、僕が神なのだとすれば、僕は破壊神なのだろう。それに対して、一色は創造神か何かだと思う。
そう思うのだが、僕はひとつ疑問に思ったことがある。なぜ、かえではここまで怯えているのかだ。
僕はかえでとは対象的に心が暖かくなった。まだ僕はかえでとは違うものを見ているのだろうか。それとも、感じ方の違いか……
そんなに色々考えるよりも直接聞いた方が楽だろう。それに、このまま考えていても、らちがあかない。
僕はかえでの肩をさすって、呼びかけることにした。
「おーい。大丈夫かー?戻ってこーい」
すると僕の目に見えていたものが全て元通りになった。だが、かえでは今も怯えている。
一色はとても気まずそうにしている。無理もないだろう。初対面の女子に会った途端、凄く怯えられるのだ。
だから一色には、「こいつ、今体調悪いから」と、逃げるように、かえでとその場を去った。
とりあえず、近くの公園のベンチに腰を下ろして、かえでに問いただすことにした。
「林さんは女神様だったの?」
「……」
「あれ、違ったかな?」
「……らない」
「え?」
「分からないって言ってるでしょ!」
急に怒り出すもんだから頭が混乱した。だが、今この場で僕が平常心を失っては状況が悪くなるだろう。
だから、平常心を繕って彼女への質問を続けた。
「林さんにもあれが見えたんだね。なんだか、優しく包み込んでくれそうな人だったね」
あれを人と呼んでいいのかは分からないが、とりあえずそういうことにしておく。だが、彼女は「信じられない」という顔をしている。
「あれが優しく包み込んでくれそうだなんて冗談でしょ?とても敵意むき出しで、いつ襲ってくるか分からないような雰囲気だったじゃない」
「そんな風に見えたかなぁ」
少なくとも僕にはそうは見えなかった。かえでと僕で何が違うのだろう。いや、何もかも違うだろうな。だいたい、全く同じなんてことは絶対に無いと思っている。何事にも……
「林さんはさ。あんなのがずっと見えてたの?」
一色の話題を続けていてもかえでが辛そうなので、少し話題を変えてみることにした。
「いつもでは無いわ。初めて見えたのはさっきも言ったけど、夢の中。それで、次にあんたに会った時。さっきのが3回目」
「ん?ちょっと待て、僕と会った時も見えてたのか?何が見えていたんだ?」
「それこそ、あんたがさっき言ってた優しく包み込んでくれそうな人が見えたわよ」
おかしい。普通は破壊神である僕の方が怯えるはずなのに、そんな素振りを見せないどころか、優しく包み込んでくれそうとまで言われた。頭の中が色々な考察でごちゃごちゃになりそうなので、考えることを放棄することにした。
「それは嬉しいね。初めて……ではないけど、そんなことを言われるのは久しぶりだよー」
にやにやしながらそう言った。すると彼女は顔を真っ赤にして鬼の形相で睨んできた。
「馬鹿じゃないの!ほんと信じらんない。こんな時によくそんなこと言えるわね!あー冷めた冷めた」
望んだ通りの展開すぎてびっくりした。もしかしたらかえでは扱いやすいのかもしれない。
「あはは。今日は色々あったし、林さんも疲れてるでしょ。今日はゆっくり休んで、また明日考えようよ。ね?」
直ちに帰宅を促したのだが、何故か彼女はまたイライラとしだした。
「なんでこんな時に、1人で帰らそうとするわけ?送っていきなさいよ」
どうやら寂しいらしい。だが、どこに家があるかも分からない以上、送るという選択肢はない。もしも、とても遠かったら嫌だ。だが、キッパリ断るのは酷い気がするので、彼女から願い下げするよう仕向けた。
「ほんとにツンデレさんだなー。上目遣いでお願いされたら、送ってあげてもいいけど?」
そう言った。面倒くさいことはしたくないので、ツンデレのかえでならしないであろう要求をして難を逃れようとした。
だが、僕はかえでのことをよく理解出来ていなかったのだとその後気付かされるのであった。
次も見て貰えるように繋げてるつもりなのですが、どうなのでしょう。気になる!ってなって頂けますでしょうかね。繋げ方よりも本編を上手に書きます。