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空は非日常を求めてる  作者: えぬえす
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全ての始まり

最後まで読んでもらえると嬉しいです

 これは、少し変わった世界で起きる、主人公山本空の少し変わったお話です。


この出会いは偶然じゃない


「お兄ちゃん。起きてください。遅刻しますよ?」


 そう僕を起こしに来たのは妹の沙友理だ。今年受験を迎える、いわゆる受験生だ。


「んーー。おはよ、沙友理」


 こんな忙しい時期の妹に毎朝起こしてもらわなければ起きられない自分に嫌気がさす。


 制服に着替えてリビングに行くと、既に朝食は用意されていた。妹が作ってくれているのだ。


 出来のいい妹を持つと、ここまで人は頼ってしまうのかと思うと本当に沙友理に対して申し訳ない気持ちになる。


 朝食を食べ、学校に行く支度をし、家を出る。いつも通りの朝だ。変化がなさすぎて正直飽きてしまった。


「アニメとかラノベとかみたいになんか変わった事起きないかなー」


「急にどうしたのー?」


「今の聞いていたのか!?」


 隣で僕のちょっと恥ずかしい台詞を聞いて笑っているのは幼なじみの優子だ。見た目は可愛く、高校に通いだして1年と1ヶ月で7回も告白をされたらしい。全て振っているらしいが、本当にもったいないと思う。


「普通の世界に飽きちゃったの?そらくん?」


 優子はとても楽しそうに僕をからかってくる。


「いや?そんなこと言った記憶ないなー、アハハ……」


 僕は相変わらず誤魔化すのが下手だなと思う。でも、素直な、というかむしろバカな優子はそれをまるっきり信じてしまうだろう。


「なーんだ。聞き間違えかー」


 この通り。しかし、そのおかげで助かったので聞かれたのが優子で良かったと思う。


 自分で言うのもなんだが僕は友達が少ない。


 というか2人しかいない。


 その中の一人が優子だ。


 あらかじめ言っておくが、友達が作れないのではなく作らないのだということを認知してもらいたい。


「ねーそらくん。ちゃんと勉強してるのー?」


「もちろんだとも。これで一色には負けないな!」


 一色とは、数少ない友達の1人である。性別は男だ。


「え。まじー?ねーちなみになんの教科?」


「もちろん。スマ○ラだ!」


「はあ、そーだと思った……」


 優子は心底呆れた目で僕を見てくる。


「そんな目で僕を見ないで!傷つくから!」


「あっははは」


 ほんとに僕をからかうのが好きなようだ。悪趣味だなと思う。


 そんなこんなで優子と他愛もない話をしている間に学校についた。ここは藤原高校。偏差値そこそこの普通の高校だ。僕はこの藤原高校の2年5組に属している。優子は4組だ。


 廊下でゆうこと別れてクラスに入り、自分の席に座る。誰も話しかけには来ない。なぜならクラスに友達はいないからだ。でも、それが苦とは思わない。むしろ2人も友達がいることに対して満足している。


 教師がクラスに入ってきた。


「今日は転校生を紹介する。入って」


 そこで入ってきた転校生は僕の目を釘付けにした。


 入ってきた女子高生はとても綺麗で、補正がかかっているかのように、彼女の周りが輝いて見えた。


 クラスの男子の目には彼女しか写っていないのではないか。そう思う程に綺麗だった。


「隣の県から引っ越してきました。林 かえでです。この学校の事とか、この街のこととかよく分からないので教えてください。よろしくお願いします」


 クラスの男子から拍手が起こる。それを見た女子達は不満そうだ。


「ということで、みんな仲良くしてやってくれ。席は1番後ろの山本の隣に座ってくれ」


 僕の隣だ。かなり迷惑である。クラス中の男子の目線が怖い……


「そらくん……よろしく」


「あ、はい。よろしくお願いします……」


 なぜ僕の下の名前を知っているのだろうか。気にはなったが、特に追求はしなかった。


 なぜかは分からない。聞くなと彼女が言っているように感じたからだろうか。


 もしこれがラブコメなら、隣に転校生の美女がきたら、もう付き合うのが確定する演出だろう。だが、現実というものはそう上手く出来てはいない。


 僕レベルの人見知りになると、林さんの目すら見ることが出来ない。


 まあ、放課後、偶然秘密をみるというのがラブコメの定番だと思うのだが、僕にはそんなこと絶対に起きないだろう。


 休み時間僕の隣にはクラスの陽キャどもが集まって林さんに話しかけてきた。


 いや、もうこいつら絶対狙ってるだろ。しかも、彼らはイケメンばかり。僕に踏み入る隙などない。


 一緒帰ろうと誘ってるやつさえいる。


だが、彼女は誘いを全て断り、近寄るなという感じのオーラを出している。それに僕が気づいた時にはもう陽キャは居なくなっていた。流石、空気を読むのが上手い奴らだ。


 そして放課後になった。


 帰り支度をしていると、林さんに声をかけられた。


「この後時間ある?」


 突然の誘いに非モテの僕は少し舞い上がったが、すぐに落ち着いた。非モテの僕に告白する人などいないのだ。


「あるけど。どうしたの?」


 そう僕が聞くと、彼女は真顔で、


「ちょっと。話したいことがあって……」


 いや、これラブコメ展開あるかも。と思ってしまった自分が情けない。自意識過剰すぎる。正直キモい。

彼女に連れられて学校の屋上に来た。


「話って、なにかな?」


 あくまで冷静を装い、彼女にそう尋ねる。すると彼女は、真面目な顔をして。


「私の事覚えてないんだね……」


「ごめん。どこかであったっけ?」


 本当に彼女のことは知らない。というか、こんな美人1度見たら忘れないだろう。


「あなたは記憶を消されているのよ」


「え……。は?」


 本当にこの人は何を言っているのだろう。そんなドラマのような話ある訳ない。


「……。空、今から話すことは全て本当にあったことよ。信じられないかもしれないけれど、信じて」


 そうして、彼女はありえないような話を話し始めた。


 まあ、分かりやすくいうと、僕は神様らしい。誰がこんな中二くさい話を信じるのだろうか。


「信じれない。といった顔ね。無理はないわ。今のあなたには神の力を持っているという自覚はないし、力が弱くなっているもの」


「ちょっと待て。具体的にはどんな力なんだ?そんで、君は何でそんなこと知ってるんだ?」


「私はあなたの、この世界に来る前のパートナーです。そして、あなたは人の力を消すことが出来る力を持っているです」


「うわあ、なんか地味だね……」


 なんというか、僕らしい力だなとは思った。でも、それ以上に気になる、パートナーという言葉。


「パ、パートナー!?何それ」


「相棒ですよ」


 僕はてっきり嫁とかそんな感じかなと思っていた。とても恥ずかしい。すぐに話を戻そう。


「君は何が出来るの?」


「私は……人を探す力があります。ただし、特別な力をもった者に限りですが」


「言いたい事があるのだが、まず1つ。僕は神様じゃなく、クラスのボッチだ。そして、2つ君の話には根拠がない。最後に3つ、つまり僕に何をして欲しいんだ」


 彼女は表情ひとつ変えずに


「あなたは神様です。そして、根拠はあなたが力を使えるようになれば有ります。あなたにはこの世界に来させられた残りの神を探して欲しいのです」


「なぜ他の神を探す必要がある」


「それは……禁則事項です。後に分かりますよ」


 頼んでおいて言えないとはどういうことだ。


 まあ、後にわかると言っているしいいかな。


 ここまで真剣に言われると、正直引くが、こんな美人が真剣に言っているんだ、なんか面白そうなので信じることにした。


「分かった、信じるよ。そんで、他の神様とやらはどこに何人いるんだ」


「この学校に、あなたと私含め4人と、この街に残り1人です」


 すごい身近にいるな……


「よし、分かった。一緒に探そう」


「御協力感謝します」


 この時の判断が間違っているのか正解なのか今の僕にはまだ分からない。だが、この人について行けば、きっとこのつまらない今を変えられるかもしれないという期待が、僕にはハッキリとあった。

これからもよろしくお願いします!

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