第98話 シュナウザーの意地
シバ王国近郊
「・・・勝利!」
勇者との一戦を制したおれはテンションが上がって尻尾をぶん回していた。ドラゴニックスタンプは連動したまんまだ。
その直後・・・
『ほぅ・・・。鳳凰眼の持ち主か・・・』
おれの頭に声が響いた。
「んー?・・・なんだ?」
辺りを見回すがなにもいない。
『そこじゃない。上だ、上・・・』
その声は上だという。ということは・・・まさか。
『そうだ。お前、私の力を一部使っているだろう。』
・・・雲間に見え隠れする龍が急におれに話しかけてきたみたいだ。びっくりした。そういうことなら
「なるほど・・・。いつもありがとうございます」
一応お礼を言っておくと
『はははっ。礼儀正しいな。にしても鳳凰眼とは。普通なら話しかけたりはしないんだが。よし。気分がよいからもう少し力を使ってもよいぞ。』
・・・なんかスタンプの性能を上げてくれるらしい。
『それじゃ、頑張れよ。鳳凰眼の持ち主よ。』
一方的に切られてしまった。なんか良く分からないがドラゴニックスタンプがURスキルである理由が少しわかった気がした。
◇
気を取り直して・・・
おれは龍と話した後シュナウザーの方を向く。
『・・・ゆ・・・勇者までも倒すとは。』
フラフラになっていたシュナウザーはようやく立ち直ったようだった。
『こ・・・こうなれば・・・ケルベロス!』
シュナウザーがケルベロスに声をかけると・・・
・・・
あ!あのやろー。逃げやがった。
シュナウザーはケルベロスに咥えられて逃走をはかった。1つの頭には女王、もう一つはシュナウザーが咥えられている状況だ。
『ふはは。とりあえずケルベロスの力は手に入れた!お前の力は惜しいが、今回はこれで充分だ!』
シュナウザーが苦し紛れに捨てゼリフを吐いて逃げて行った。だが、流石にここで逃すわけにはいかない。
「逃すか・・・ドラゴニックスタンプ!」
"ビターン"
龍の爪がケルベロスに降り注ぐが・・・。耐えられてしまった。このままだと逃げられる。
「・・・うーん。・・・さっき性能が上がったって言ったよな。」
さっきの龍はドラゴニックスタンプの性能を上げるといった。どうあがったのか・・・。肉球を動かしてみると・・・。
おぉ。これは・・・。ふむふむ。
「それじゃぁ気を取り直して・・・。くらえ!」
以前は雲間から地面への強烈な一撃だけだったが・・・
『な・・・なんだこれは。ぐ・・・はなせ!』
龍の爪はおれの肉球の動きに連動して巨大な手のように操ることが可能となった。
巨大な手でケルベロスを捕まえる。
「捕まえたぞ・・・」
◇
『グルゥゥゥ!』
「うぉぉ、このやろ、暴れるな」
ケルベロスが暴れるので頑張って抑えつける。
あとはケルベロスが咥えているシュナウザーをひっぺがして封印石を壊すだけだが・・・
ケルベロスからシュナウザーをひっぺがそうとすると・・・
「あっ・・・。あぁぁぁぁぁあ!」
ケルベロスのやつシュナウザーを口の中に入れやがった。
「ふっ!」
全然開かん。
「ふごぉぉぉぉお! このくそー!」
『グォォォオ』
ケルベロスのやつリアルに口を固く閉ざしてやがる。
勇者を倒しケルベロスを捕まえたワンコ。あとはイージーモードかと思いきやここへ来て苦労するのであった。
次回へ続く。
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