第96話 連発
シバ王国近郊にて乱戦中のワンコ
「うわ、のわ、あぶなっ!このやろ!」
モンスターが入り乱れておれを襲ってくる。どれも結構強そうなのばかりだ。鑑定眼で確認するとその多くはB〜A級モンスターであった。B級が8割くらいだが、シュナウザーのやつよくこんなに集めたな。そして・・・
「おいジン! お前の仕事はモンスターを殲滅することだろう!いっぱいいるぞ!女王が今のお前を見たら泣くぞ!」
一応戦いながら、ジンの心を揺さぶってみる。
『そうかもしれない、だが僕にとってプードルは勇者であることと同じだけ大事なんだ!』
ジンが言い訳しながら魔法やらスキルやらをおれに向けて連発してくる。若干焦りがみられる。
『なにをやっている!勇者、モンスター共! 敵はあのクソモンスターだけだぞ!』
シュナウザーがなかなか隙を見せないおれにイライラをつのらせ騒いでいる。
ジンが焦っているのもシュナウザーがどう出るかわからないからだろう。
さて・・・、おれもやられっぱなしでは嫌なのでそろそろ反撃開始だ。ケルベロスはどうやっても死なないので少し暴れさせてもらう。
◇
「おいジン。お前には悪いがおれはケルベロスのために動かせてもらう」
『・・・悪いけど君が僕にまともに攻撃を当てたことがあったかい?少し強くなったようだけど動くだけ無駄だよ。悪あがきはよしてくれ』
ジンはおれの言葉に嘲笑気味に応える。
どうやらジンはおれが今まで大人しくしていたのを"その程度の実力"と勘違いしているらしい。
「・・・それじゃ遠慮なくやらせてもらう。ドラゴンニック・・・スタンプ!」
おれがスキルを口にすると上空が雲に覆われた。雲間から龍の爪のような影が見える。爪はおれの肉球と連動する。
『な・・・なんだい。それは・・・?』
『お・・・おぉ・・・。ケッ・・・ケルベロス!おれを守れ。あと女王もお前がもってろ。ちゃんと守らんと只ではすまんぞ』
ジンが突然出現した龍の爪に動揺している。シュナウザーはビビりながらもケルベロスを盾に全力で防御に備えるようだ。
龍の爪の照準を2人+モンスター共に合わせて・・・イメージは餅つきだ・・・
「いくぞー、そーれ!」
"ビターン!"
ジン・シュナウザー・ケルベロスの周辺が一瞬にして巨大な爪痕が広がる。見切り(極)を得たことにより見えたのは雲間から出てきた龍の爪であった。
『う・・・ぐぁぁぁあ』
『お・・・おぉぉぉ。』
『グォォォオ』
振り下ろされた龍の爪によりジンは呻き声をあげる。ケルベロスはダメージを負いながらも、女王・シュナウザーを守る。
『こ・・・これがシバ王。す・・・素晴らしい』
シュナウザーがおれを舐めるように見ている。
どうやってでもおれを手に入れたいようだ。
『ぐ・・・君は・・・。どうして今までこれを使わなかったんだい・・・』
ジンは呻きながら、おれがドラゴニックスタンプを今まで使わなかった事が不思議でたまらないようだった。・・・お前みたいに固有スキル頼みじゃないんだよ。
「さぁ、もう1発!」
"ビターン!"
「もういっちょう」
"ビターン!"
・・・
・・・・・・なんかテンション上がってきた。
「もっかい!」
"ビターン!"
・・・
おもろい・・・。
「そいや!」
"ビターン!"
テンションが上がりすぎて調子に乗って連発するワンコであった。
次回へ続く。
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また次回も暴れまわります
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