第90話 村の様子
ケルベロスとジンがお互い様子を見ながら戦っている頃
sideワンコ
そろーり・・・
『帰ってきた・・・』
しばらくぶりにダンジョンから帰ってきた。
一応死んだことになってるのでバレない様に気配を消してこっそり村の様子を伺うと・・・。
『いぬさま!』
『いぬさま!』
広場でオークとミーアがみんなを集めて集会を開いていた。なんだろう・・・。
『僕たち・・・』
『私たちは・・・』
『犬様のことは決して忘れません!』
『決して忘れません!』
『犬様が美味しそうに食べていた・・・』
『ドッグフード!!』
『犬様が寝ていた・・・』
『犬小屋!!』
『『決して忘れません!!』』
・・・
・・・・・・住民総出でおれの葬式やってやがった。
卒業式スタイルで。
献花台には立派な花がずらりと並んでおり、その向こうにはおれの巨大な肖像画(犬だけど)が飾られていた。ふざけているとしか思えない。オークとミーアが張り切っている光景が思い浮かぶ。二人を探すと・・・
いた・・・。葬式を仕切ってやがった。ミーアに至っては香典をとってやがる。
オークは・・・なんだその演技力。ほんとにおれが死んでてもおかしくないと錯覚してしまいそうな名演技をしていた。
・・・
オークめ・・・。絶対あとでぶっ飛ばすことにした。オークには是非ドラゴニックスタンプの生贄になって貰いたい。ミーアも絶対に許さん。・・・あとで半分くれ。
・・・そういえばコボルトとリンがいない。
葬式を見渡したが姿が見えなかった。リンはわかるがコボルトが1匹もいない。なぜだろう。
◇
おれはコボルトとリンを探すことにした。ちなみにケルベロスはしょっちゅういないので心配していない。というより強すぎるので心配する理由がない。
『んー・・・。どこいったんだ。』
とりあえず建設途中のシバ城で何かしらしているのかもしれないと考え行ってみたもののいなかった。
『どこだろう・・・ん?』
せっかくなのでシバ城に登って街を見渡して探すと村の一角が光っているのが見えた。
『あれは・・・おれの家だな』
そう、おれの犬小屋のある小屋が妙に光り輝いていた。急いで向かう。
小屋の前まで瞬時に移動すると・・・
『うわぁぁぁぁあ』
『キャァァァァア』
『にょぉぉぉぉお』
『うぉぉぉぉぉお』
小屋の中からコボルト達とリンのパニクって入り乱れる声が聞こえた。
『なんだ・・・』
おれが恐る恐る小屋の扉を開けると・・・
・・・
なんだコレ・・・。
コボルト10匹が光り輝いていた。リンを中心に小屋の中を乱れ飛んでいる。いつ以来か、こんなカオスを目にするのは。
悲壮感漂うリンと目が合う。
『・・・』
「・・・」
おれは静かに扉を閉めた。
次回へ続く。
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