表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/169

第89話 窮地


シバ王国近郊 ケルベロスvsジン ラウンド1



ケルベロスはジンの攻撃を見逃すまいと防御に備える。

瞬間、ジンから手加減なしの固有スキルが放たれた。




【グランドスマッシュ】




ケルベロスの視界からジンが消える。と同時に抜刀された聖剣がケルベロスに直撃した。





『ぶへっ!』




ケルベロスはその衝撃に吹っ飛ぶ。





『さて・・・プードルを探しにいくか』





勝利を確信し聖剣を鞘に納めるジン。だが・・・





『おー、いてててて。見えんかったぞ。』





ケルベロスは少しダメージを食らったくらいで起き上がってピンピンしていた。派手に吹っ飛んだのは攻撃が直撃したからであってダメージは見た目ほど無かったようだ。前回の竜巻で物理防御が鬼のように上がったおかげだろう。





『んな・・・、バカな・・・。僕のグランドスマッシュを食らって全然ダメージを受けていない・・・?』





それはジンにとってはじめての経験だった。この世界に来てから数々のモンスターを屠ってきたジンだが、グランドスマッシュで倒せなかったことの方が少なかった。





『なぜ立てる・・・』

『んー、まぁワシは天才だからな、がっはっは』





ケルベロスは攻撃が当たった場所をフーフーしながら応える。





『直撃したはずだ・・・』

『見えんかったぞ。すごいなそれ。まぁワシにかかればこんなもんよ。ワッハッハ。』





ジンの動揺など一切気にもせずケルベロスは笑い飛ばす。ケルベロスは聖剣がヒットしたにもかかわらず切れてさえいない。





『全然ダメージが通っていないのか・・・』





ジンがケルベロスにも聞こえない声で呟く。

ジンも鑑定持ちではあるのだが、SRスキルなので自分の鑑定レベル以上のことはわからなかった。






ジンの固有スキルグランドスマッシュはその高速な居合によって相手に必中し、与えたダメージに応じてランダムに1-10倍の衝撃が上乗せされるというもの。この世界はゲームのようなダメージの概念がないのであくまでイメージになるが、ゲームで例えると100ダメージを与えた場合、10倍が選択されると1000ダメージになるという具合である。





大体の敵には普通に攻撃しただけでそれなりのダメージが通るので、それが数倍になるというだけで、チートと呼ぶには十分すぎるスキルだった。





だが今回は相手がUR物理防御Lv7持ちの化け物だった。10倍になったところで10のダメージしかなかったら100ダメージしか与えられない。今のジンではケルベロスにまともにダメージを与えることは難しい。





『ぬはははは。ワシの勝ち!』





ケルベロスは勝ち誇りながら、グラビティクロウを放つ。





『ぬ・・・。』





ジンの必殺技を堪えて調子に乗っていたケルベロスだが、リンに軽く避けられて恥ずかしそうにしていた。







ケルベロスvsジン ラウンド2




『・・・これじゃラチがあかない。』



『がはは。諦めたまえ。てかプードルって誰だ。名前可愛いな。プードルw』



『なんだと・・・お前が拐ったのがプードルだ。あまり僕を怒らせないでくれ。』



『んー。拐った? どゆこと?』





ケルベロス、遂に何かがおかしい事に気づく。





『とぼけるな。お前が拐ったのはわかっている。』


『んー、タマゴの話は? わけわからん! ワッハッハ』




ケルベロスは頭にはてなマークを浮かべる。考えることを諦めたようだ。




『もう話にならん!おれは一人で探す。』




ジンはケルベロスとの戦いに見切りをつけた。普段のジンであればケルベロスとの話が噛み合わないことに疑問をもったと思うが、今はジンにとって自分が勇者であることと同じくらい大事なプードルを奪われて冷静さを欠いていた。




『おまえとの勝負はこれまでだ。吹っ飛べ。・・・グランドスマッシュ。』




ジンがケルベロスを吹っ飛ばし戦いから逃れようとする。




『ぐぉ!』




ケルベロスが例の如く吹っ飛ぶ。その間にジンがケルベロスから離れようとするが・・・





『勇者よ、ご苦労だった! これでケルベロスは私のものだ!』




シュナウザーだった。

ケルベロスがジンの攻撃によって吹っ飛んだ隙を狙って、その姿を現した。そして手にした封印石を使用した。




『ぬ・・・ぐ、これは・・・。ぐぉぉぉお』




ケルベロスが苦しみだす。




『ぐぉぉ・・・しまっ・・・た・・・。・・・。』




ケルベロスはシュナウザーによってまた掌握された。





『お前は・・・シュナウザー・・・。何故ここに・・・』




突然のシュナウザー登場に驚くジン。





『ふふふ・・・。遂に・・・。ケルベロスを手に入れた!勇者よ。お前は実によく動いてくれた。礼を言う!女王も喜んでいるぞ。ふはははは』





シュナウザーのその言葉を聞いたジンは、その時、プードルの誘拐・ケルベロスと話が噛み合わなかった理由を理解した。




『騙されたのか・・・。僕は・・・。』


『お前は女王のこととなるのまわりがみえなくなる。実に操りやすかった!さて、勇者よ。女王はこちらで預かっている。無駄な抵抗はオススメしない。』




シュナウザーがジンを脅す。

ジンは突如として窮地に追い込まれたのであった。



次回へ続く。

いつもありがとうございます。

もうすぐワンコが到着しますのでしばしお待ちください(´ω`笑


ブックマーク、レビュー、評価、感想など頂けますとやる気と婚期があがります。よろしくお願いします(´ω`

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ