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第77話 襲来



ヨークシャー王国に隣接するバンドッグ王国。




『女王様、僕を呼んだかい?』




王城にはその場に似つかわしくない態度を見せる1人の青年。





『えぇ、ジン。ヨークシャーが例の実験を本格始動させるわ。他国のご老人は事の深刻さをわかっていない。実験をさせてはいけない』





会議から戻ったバンドッグ女王のプードルはその美しい髪をたなびかせながらため息をついた。





『それで僕を呼んだのは、悩みを相談するためかな?』





ジンが女王への謁見とは思えないくらいの軽さで女王に問う。その場に居合わせた大臣などはそれを違和感とは感じていない。それくらいその青年は異質に感じられた。





『いえ。違うわ。貴方に頼みがあるの。』





女王が微笑む。





『ふっ、その笑顔で頼まれたら断れないね』





ジンは要件も聞かずに了承する。どんな頼みもジンにかかればそう難しくはなかった。

これまで1度の失敗もない。






『ありがとうジン。ブルテリアの近くにシバという王国が出来る。そこに行ってシバ王である魔物がどんなものか確認して来てほしい。そして、我ら若しくは人間にとって脅威となりそうな場合は、ヨークシャーが実験を行う前に排除してほしい。頼めるかしら?』





女王プードルはジンに改めて確認する。ヨークシャーの実験を正面から阻止するのは他の国も敵に回すのと同じ。裏でシバ王を排除できれば実験も行われない。

プードルはこの方法が最善だと考えたのだ。





『あぁ。問題ないよ。じゃぁ行ってくる。じゃぁね女王様。』





そう言うとジンは姿を消した。





『ふふ・・・。相変わらずねジン。バンドッグの平和は貴方にかかっているわ。頼みましたよ。勇者ジン・・・』







sideワンコ




「こんにゃろ、くらえ!」

「そんなんきくか! 隙あり!」




おれは今、相方と喧嘩していた。

喧嘩の理由はというと・・・




タマゴをあたためる

リンとラグを鍛える




どちらがやるかで揉めていた。





『まぁまぁいぬちゃん、落ち着け。』





ケルベロスが止めに入るが・・・





「うるさい!」

「うるさい!」





ケルベロスに顔面パンチがヒットしてぶっ飛ばされていった。(竜巻のせいで耐性が上がりすぎてピンピンしてたが)




結局両方おれなので、なかなか勝負がつかず、あっち向いてホイで決めることとなった。




「あっち向いてー・・・ホイ!」

「ブヘッ!」




相方がビンタして来やがった。

ニヤニヤしやがっている。




最終的にやっぱり殴り合いに発展した。








『犬さん、どうしたんですか』

『い・・・犬様。大丈夫ですか・・・』




おれはリンとラグを連れて街からだいぶ離れた平原までやってきていた。リンとラグを鍛えるためだ。

2人はおれの虫の居所が悪いのを察して労ってくれた。




そう。結局、ガチンコ勝負でおれが勝利したものの、精神的には、既に疲労困憊だ。2人にはそれが伝わったようだ。




それでも2人を鍛えるくらい訳ない。今日はおれが相方にやられた以上にこの2人をボコボコにしようと思う。(八つ当たりではないぞ)




「じゃぁ行くぞー。グラビティスタンプ!」




『うわぁぁぁ』

『うおぉぉお』




超スパルタ特訓が始まった。







特訓開始から数時間後。




『し・・・・・・しぬ・・・』

『も・・・う、限界・・・・』




リンはそこそこ粘ったがラグはそんなにもたなかった。おれは2人の限界を見極め、ギリギリを攻め続けたが、そんなにいきなり強くなる訳ではない




一度休憩をいれる。




ボロボロになった2人は休憩だということがわかると、途端にその場に倒れこんだ。おれは他人を回復するスキルを持っていないためしばらく待機する事にした。





・・・





・・・・・・眠くなってきた。





おれが倒れた2人の横でウトウトしていると・・・





『へぇ・・・。君、シバの王様だよね。シバまで行く手間が省けたよ。まさか王様が柴犬だとは思わなかったけどね。』





おれの背後から声がした。振り向くと1人の青年がいた。ケルベロス以上に見ただけで異質とわかる。ステータスは隠蔽されているのか殆ど見えない。おれの事を柴犬と言った・・・ということは





「・・・異世界人か。何者だ。」





おれは青年に動揺を悟られないようにかえす。





『・・・喋れるとは思ったけど、実際柴犬が喋るのは衝撃的だね。僕はとある国の勇者。今日はある人に頼まれて君に会いに来たんだ・・・』





勇者・・・。これが勇者か。

この世界に来て初めて勇者というものに会った。





「・・・。勇者がおれに何の用だ・・・」





出来るだけ様子を見たいので話を続ける。

噂には聞いたことがあるがこの雰囲気はやばい。





『うーん。ただの様子見だよ。・・・・・・だけどこの状況は・・・いただけないね。』





勇者の雰囲気が変わる。重圧で押しつぶされそうだ。

話を長引かせたいが、そうも言っていられないかもしれない。





『・・・・・・一応君をどうするかは僕の裁量だったんだけどね・・・』





勇者はボロボロになったリンとラグを見て、腰の刀に手をやる。聖剣と云われるものだろうか。勇者が刀に触れると眩い光を放ち始めた。






『・・・・・・人間に危害をくわえる存在は殲滅しなければならない。君が何者かはわからないけど、僕は僕の役割を果たすよ。悪いね。』






勇者が壮大な勘違いによって、おれに襲いかかって来た。









勇者は剣を鞘におさめたまま蹴りを放つ。

初撃はかわすが・・・あぶねーやつだ。





おれは毛を逆立てて全力で警戒する。

勇者の勘違いに言い訳をしている余裕がない。

考える間も無く、勇者からスキルが放たれた。





【固有スキル グランドスマッシュ】





勇者が聖剣を居合のように抜刀した・・・その瞬間





「んぐ・・・・・・」




おれは体に物凄い衝撃を受けた。そして意識を手放した・・・。




次回へ続く。

いつも読んで頂きありがとうございます(´ω`



勇者が登場しましたね(´ω`ちょっとこれからのワンコを期待してもらえたらと思います!



あと、皆様に教えていただき誤字の修正を随時しています。本当にありがとうございます。



もしよかったらブックマーク、レビュー、評価をしていただけると、ワンコが強くなります。よろしくお願い致します!(´ω`

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