第73話 本来の目的
シバ村
竜巻騒動が収まってから数日。おれは犬小屋にてのんびりしていた。ちなみに相方はブルテリアで式典に出たり、会議に出たり、ミーアを手伝ったりと大変なようで、たまにおれに対して殺意みたいなものがとんできていた。
『・・・・・・あのー、お犬様』
コボルトが来た。来客らしい。
『・・・・・・失礼します。・・・先日は・・・すいませんでした!』
リンが訪ねて来た。無事にブルテリアから脱出できたようだ。今回の竜巻に責任を感じているようで、来るなり急に土下座から入った。
リンがボロボロと涙を流しながら謝り続けるので頑張ってフォローした。まぁ、反省はしてるようだし、そもそも戦争だから、仕方ない部分もある。今回の件、リンの今後の成長の糧となってほしい。
とりあえず、気を持ち直してほしいのでケルベロスを呼んだ。
◇
『おー、いぬちゃん呼んだー? ん? おお、リンじゃないか。今回は大変だったな。がはは』
ケルベロスは呼ぶといつものテンションでやってきた。相変わらず全然反省してないのでコボルトと一緒に冷たい目で見る。
『ぬ・・・・い・・・いぬちゃん。コ・・・コボルトも・・・。ワシも反省してるぞ。虫よ。反省の虫。』
ケルベロスは虫の姿に化けた。
・・・完全に馬鹿にしている。この能天気さをリンに少し分けたいくらいだ。
とりあえず仕方ないので本題に入る。
◇
『あ・・・ありがとうございます!』
リンにはシバへの移住を許可し、ケルベロスは読み飽きたマンガをプレゼントした。感激し涙している。涙腺が緩すぎである。
その後、リンの今後の役割について話をした。流石にケルベロスの様にニートという訳にもいかないので、話し合った結果、隠蔽スキルを生かし、諜報活動をしてもらうこととなった。普段は冒険者をしながら、ラグと同じポジションで頑張ってもらいたい。
早速、いくつか頼みごとをしておいた。
グレートデーンの動向が気になったが、それはリンには頼めないのでラグに任せることとした。
ついでに様付けと敬語過ぎるのはなんかムズムズするのでやめてもらうこととなった。
◇
ブルテリア王国
・・・・・・忙しすぎる。
おれたちはグレートデーン軍を返討ちにしてからというもの、コボルト・オークとともに表彰を受けたり、パーティーに呼ばれたりと超絶多忙な日々を送っていた。
ちなみに余談だが、戦争のその後は、結局グレートデーン軍は降伏したが、王国には切り捨てられた形なので、あとはバーナードが捕虜を上手く使い、今後の交渉をするとのことだった。
グレートデーンはこの戦争にかけていたと聞いたので、これ以上の抵抗があるとは思えないが。
そんな日々が続いた今日、やっとの事でその日々から解放された。オークも隣でグッタリしている。たまに相方の方の様子を見てみるが、いつ見ても犬小屋で昼寝しているので、何度か殺意を送っておいた。今日は疲れを癒すために一日中休みたいところだ。
『いぬさん! コボルトさん! あとオークさんも!』
おれたちが宿屋でグッタリしていると騒がしい声が聞こえた。ミーアだった。
『色々な活躍、流石ですね! ようやく落ち着いたようですね。待ってました!』
久しぶりに会ったミーアは色々と準備を整え、おれたちのことを今か今かと待っていたようだった。
・・・・・・そうだった。おれたちはブルテリアにオークションをしにきたんだった。
『いきますよ!オークションに!』
おれたちはグッタリしながらミーアに駆り出されるのであった。
次回へ続く
あともうちょっとでブルテリアは終わりです!
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