第71話 功労者
おれがURスキルのドラゴニックスタンプを使おうとすると、突然じいさん(神さま)の邪魔が入った。
そしてすったもんだして、ようやく本題に入った。
『えー。コホン。実はのぅ・・・そのスキルは今は使わんといてもらえんかのぉ。此処でそれ使われるとまずいんじゃ。いや、ムリにとは言わんが』
・・・・・・。ここでドラゴニックスタンプを使うとまずいらしい。
『なんでなのかも気になるが、それよりも今コレを使わないとどうにも出来ないぞ』
おれがそう言うとじいさんが考える
『理由は・・・ちと言えないんじゃが・・・うーむ、確かにそうじゃのう。んでもワシに出来ることもそんなにないしのぅ。』
・・・早くしろ
『よし、それなら』
・・・・・・なんかくれ
『竜巻の方向を変えてやろう。ワシに出来るのはコレくらいじゃ』
・・・ドケチめ。ケルベロスの時といい、肝心なことは教えてくれないし。危うく心の声が漏れそうだったわ。
まぁ竜巻の方向が変わればブルテリア王国の被害は収まるのでスキルを使わない代わりにそれで了承してやった。
じいさんがごにょごにょ詠唱している。
『ほほいのほい』
完了したようだ。
『終わったぞい。ココでは出来る限りそれは使うでないぞ。んじゃ』
じいさんはそう言うと消えてしまった。
スキルを使わない方が良い理由・・・気になったが気にしても仕方ない。おれは時が進むのに備え、身構えた。
・・・時間がすすまない。
・・・・・・まだ進まない。
『お・・・そうじゃった。ワンコよ。ケルベロスを助けてくれたこと、礼を言う。ポイント割り増ししておくからな』
・・・またかよ。一回で帰れ。
最後にじいさんはケルベロスの礼をいって帰っていった。おれの脳内にポイント加算のアナウンスが流れ時間が進み出した。
◇
時間が進みだす。それと同時に竜巻は進行方向を変えどんどんとブルテリア王国から離れていった。
竜巻が去った戦場はもう敵も味方もない状態であった。両軍共、半数以上の被害が出ており、その場は騒然となっていた。
「リン! お前はこの騒ぎに紛れて姿を隠せ。竜巻に巻き込まれた事にする!」
おれがリンに耳打ちすると、呆然としていたリンが気を取り直し、急いで身を隠した。
おれはバーナードを探す。バーナードはワンコ像の辺りで兵士たちに指示を出していた。
「バーナード! 竜巻が向きを変えた。この状況だ。戦争を続けるのは難しい。おれがグレートデーン軍の心を折る。投降を促してくれ! 」
バーナードはおれの意図を汲んで動いてくれた。
おれはグレートデーン軍にフルパワーで威圧を放つ。
『グレートデーン軍よ! 戦争は終わりだ。大人しく投降せよ』
バーナードがグレートデーン軍に投降を促した。
両軍既に陣形は崩壊している。被害状況は似たようなものだが、この状況下でおれの威圧にあてられたグレートデーン軍は心が折れ、将軍の判断で投降することとなった。
リンが居なくなった事もプラスに働く結果となった。
◇
終戦から数日。
オークは終戦時、アイテムボックスに避難させていたが、今回は忘れずに出してやった。今こうしておれの隣で元気そうにしている。
そして今、おれとオークはバーナードに呼ばれ、広場に招かれたのだった。
『英雄殿・オーク殿この度は本当に感謝の言葉しかございません』
バーナードがおれとオークに感謝の言葉を口にした。
周りの見てみると、ブルテリア国民の多くが広場に集まってお祭り状態だ。
『そしてオーク殿・・・。これをご覧ください!』
バーナードがワンコ像の隣の布が掛けられたものを捲る。
『おぉぉぉお』
・・・・・・オークが嬉々とした声をあげる。
『オーク殿! さぁどうです この素晴らしいオーク像!』
ワンコ像の隣にオーク像が作られていた。
バーナードのやつ、最近裏でコソコソしていると思ったら・・・。俺の時といいオーク像まで作ってやがった。城を直せ、城を。
『犬様ー、やりましたぞー』
オークがおれを抱えて大喜びしている。
まぁ最大の功労者だ。水を差すのもどうかと思い、おれはしばらくの間、オークに揺さぶられることとなった。
・・・
そういえば・・・
そういえばケルベロスは元気だろうか。竜巻の中から救出できないまま何処かへいってしまった。無事に脱出していることを願うワンコであった。
◇
シバ村
ダブルにより留守番中のおれの元に、コボルトが大急ぎでやってきた。
『お犬様ー! 大変です! 』
なんか騒がしい。眠いが急いで要件を聞く。
『巨大な竜巻が村に接近しています! 』
ブルテリアを襲った竜巻がシバに流れてきていた。
次回へ続く
ちょっと車で事故り、投稿が遅くなりました。
凹み中です。前話が誤字も多く修正したりしました。
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