第70話 ワンコ出撃
『う・・・うぉぉぉぉお』
オークがゲイボルグに全紫電を注ぎ込むが目の前の竜巻に徐々に紫電が押され始めた。
非常にまずい事態だ。戦場を見ると竜巻が巨大になり過ぎて敵も味方も関係なく甚大な被害が出ている。
『ぐ・・・ま・・・まずい・・・。』
オークが苦悶の表情を浮かべる。
無尽蔵かと思われた紫電も弱まっていく。
流石のドMオークも全てを出しきり燃えつきそうだ。
竜巻は唸りを上げながらオークに迫る。
だいぶまずいことになってきたので、おれは出来る限りの大きな声でリンに叫んだ。
「リン! 竜巻を消せ! 敵も味方も大勢被害がでてる ! 」
犬なのでおれの声は良く通った。
(殆どのやつはおれが吠えた様にしか見えないだろうが)
リンはおれの声に気づき、慌てて竜巻を抑えようとする。だが竜巻はおさまらない。
「何やってんだ! 早くしろ! 」
おれはリンに怒声を浴びせるが・・・
『で・・・ダメです! 出来ないんです! 』
リンは顔を青くして応えた。
リンはこの時初めてこの竜巻が制御不能である事に気がついたのだった。
・・・
・・・・・・まぁそんな気はしていたが
と言うことは・・・
オークの紫電が枯渇した。竜巻はオークを呑み込もうとしている。・・・やばい。
リンは目の前の事態に呆然としている。
「オーク! 避けろー!」
おれの声にオークが反応する。
『ぐ・・・ぐぉぉぉぉお。犬様ー。申し訳ありませぬ・・・』
限界を振り絞り辛うじて避けるオーク。
呑まれるのも時間の問題だ。
「バーナード、緊急事態だ。おれは行く」
おれはコボルトに伝言を頼み、すぐさまオークの元に駆けつける事にした。俊敏で瞬時にオークの元に移動する。
「よく頑張った。オーク」
疲労困憊なオークをアイテムボックスに収納した。これで一時的に安全だ。
さて・・・問題はこの竜巻だ。
「おい ケルベロス! 何遊んでんだ」
おれは竜巻の中のケルベロスに叫んだ。
『ん? おお、いぬちゃーん。出られんのだわ。にしても凄いなコレ。酔いそう。がっはっは』
ケルベロスは竜巻の中で跳ね回りながら何とも軽いノリで応える。・・・
コイツめ。全然反省してない。
そもそもこの竜巻をここまで大きくしたのはコイツだからな。内側からはどうしようもないらしい。
・・・
としたらもうやる事は一つしかない
新しく手に入れたスタンプを使う時がきた。
恐らくやばいスキルなので、恐くて使わずにきたが・・・
「・・・・・・仕方ない。ケルベロス! 歯くいしばれー! ドラゴニック・・・」
おれが肉球を振りかぶる。すると・・・
『ほっほっほ。ワンコよ。元気でやっとるかの』
聞き覚えのある声が聞こえた。例の如く周囲は時が止まっている。
このじいさん(神さま)、こっちが大変な時にしか顕現しやがらない。
『ちょ・・・ちょま・・・。やめて・・・ぶはは』
おれは隙をついてじいさんを毛ダルマにしてやった。
コロコロ何回かやらないと取れないくらい擦り付けてやった。
「おい、じいさん。今忙しいんだよ。なんでこういつもタイミングが悪いんだ」
おれがじいさん(神さま)に文句を言うと
『ほっほっほ。手荒い歓迎じゃのう。一応用事があるぞ、ワンコよ。』
一応用事があるらしい。その前に・・・
「おいじいさん。なんでおれだけ人間と喋れないんだよ。ケルベロスは喋れるのに」
おれは次会ったら聞くと決めていた疑問を投げてみた。
『・・・・・・』
じじいの目が泳いでいる。
『・・・・・・うむ。 それは深い事情があってな。』
ほぅ。なんか理由があるらしい。
敢えて付けていないと予想していたが違うらしい・・・。じじいは続ける。
『・・・・・・なぁに。付け忘れただけじゃ。凡ミスじゃな。年だもんで。』
じじい・・・。予想より酷かった。敢えてでもなくただの物忘れだった。久しぶりにおれの舌がアップし始めた。
『ちょま・・・。まぁまぁ、そのうちガチャで出るから安心するんじゃ。今度ガチャイベントやるから勘弁して』
おれの舌の躍動をみてじじいが怯んだ。
結局ガチャイベントをやる事を確約させて本題に入るのであった。
次回へ続く
今日は話が長くなりすぎてしまったので、もう1話アップ予定です。
手直しして夜に出す予定です。
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