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第64話 お迎え



『・・・・・・おねがいじまず! 』




今おれの前にはグレートデーン王国が異世界召喚した男が土下座している。シバ村には偵察で来たようだが色々あってこうなっている。




『い・・・いぬちゃん。なんかかわいそうだしマンガくらいなら貸してあげるか』




ケルベロスが居たたまれなくなったようだ。まぁケルベロスの物だし自由にしてもらって構わないんだが、タダで貸すのも勿体ない。情報収集と交渉をすることにした。







色々聞いた。

名前は日向凛ヒナタリンというらしい。リンと読んでくれとの事だ。





んで、泣いている理由だが、リンは元の世界ではいわゆるオタクであったらしい。マンガやアニメ、ゲーム等が好きだったとの事だ。それで、普通に生活していたが少し前に突然異世界に飛ばされてしまったらしい。

自分の趣味と言えるものがなくなった事に絶望し、この世界には恨みしか無かったとの事だ。





グレートデーンが悪いわけだが、とりあえず生活していかないといけない為、今は猫を被って暮らしていて、幸いにも、異世界人との事でスキルには恵まれ、勇者に匹敵する潜在能力を秘めていると言われていたので、鬱憤を晴らすべく、この世界で強いと言われている奴らを片っ端からぶっ潰すことにしたらしい。





なかなか物騒なやつだな。





『そ・・・それで、何故ジャンプやらワ○ピースやらの最新刊がこの異世界にあるんでしょうか。おれがこの世界には来る前はまだコレは発売されていなかった筈ですが・・・』





リンが目を輝かせながら聞いてきたので、おれの固有スキルの能力の一部だと説明した。





『ゔ・・・うぉぉぉぉお。神はここにおられた!』





リンのテンションが爆上がった。崇められそうだったのでそれはやめてもらうと・・・





『決めました・・・ここに住みます!』





・・・





・・・・・・交渉するまでもなくこちらに引き入れることに成功した。物騒なやつはここには置けないといったら、すぐに改心した。





その後、とりあえずリンには自分の陣営に帰ってもらうことにした。流石に今グレートデーンから居なくなってしまうと、警戒心が強まるので良くない。




帰り際にリンにはケルベロスにも内緒でもう一つお願いをしておいた。





「開戦時にブルテリア軍から特攻してくるオークに負けてくれ。そんでもって上手いことグレートデーンにもブルテリアにもバレないように死んだことにしてくれ。」





ちょっと難易度高めのお願いをしてみる。





『ふ・・・。任せてください。戦場で華麗に散って見せましょう・・・』





「・・・・・・」





なんかノリノリで水を得た魚みたいに了承してくれた。

こうしてリンはグレートデーン軍に戻って行った。

まぁ少し拗らせてるのは気にしないでおく。







・・・・・・さて、そろそろオークを迎えに行くかな。おれはオークが死んでない事を祈りつつダンジョンへと向かうことにした。




ダンジョン60階層




オークとの待ち合わせの60階層へと魔方陣に乗ってやってきた。60階層は極寒なので相変わらず寒い。オークはスノードラゴンのところにいるだろうか。いってみるか。




「おーい、スノードラゴンー。」





スノードラゴンは中央部でプカプカ飛んでいた。





『あー、ケンルベロス様の友達のー。どうもどうも』





スノードラゴンはゆるい感じで挨拶して来た。





『ここにオーク来なかったか?』





オークについて聞いてみる。





『オ・・・・・・オーク。』




スノードラゴンが顔をしかめた。





『いぬさんあのオークと知り合いで・・・?』





お・・・知っているようだ。そうだと頷く。





『あのオーク、せこいですよー。持ってる槍が強すぎて私久しぶりに死んじゃいましたよー。・・・あれは反則です。』





・・・・・・





・・・・・・目標60階層って言ったのに。しかもスノードラゴンも倒してやがった。

チュートリアルだから別に倒さなくても大丈夫なのに。





どうやらオークにあげた槍が強すぎたみたいだ。





どんなものか確認してからあげれば良かったと少し後悔したワンコであった。







side鎧ちゃん



『ほらほら・・・元気出して』





私の目の前にはダンジョンに放置されてから8日目らしく首を長くして迎えを待っているオークがいる。

ダンジョン41階層に放置されてしまったオークだが、すごい頑張ったようでここまでやってきたようだ。そこで私に負けて、その際に迎えが来ない事を話したためお茶を出して慰めていた。






『いや・・・これは犬様がおれの事を試しているのかもしれない! これは放置プレイと見て間違いない。ふっふっふ・・・』





オークがなんか呟く。






スルーして目を閉じてお茶をすする・・・






それにしてもなぜオークが99階層まで来れたのかと聞いてみたが・・・。






強すぎたらしい。





魔槍ゲイボルクが強すぎた。

紫電槍との相性も抜群で60階層から上のボスは強かったが、この槍を持ってすれば打ち倒す事が出来てしまったらしい。槍なしでは60階層すら超えれなかったのは間違いないとのことだ。





『ふ・・・、犬様のお陰でだいぶパワーアップできましたぞー。これで犬様の愛のスタンプも全然へーき!ふっふっふ』





オークがキモいことを呟いている。





私はお茶をもう一度淹れる。それとともに慰めたことを後悔する・・・早く帰ってくれないかな・・・。





『・・・・む・・むしろこれを狙っておれを強く・・・?さ・・・流石は犬様!ふっふっふ』





・・・・・・





オークを尊敬(ドン引き)の眼差しで見ながらお茶をすする・・・






それからしばらくオークの呟きを聞き流していると・・・





『・・・・・・やっと来た』





オークお待ちかねの迎えが来たことを感知する。

オークに犬様が迎えが来た事を伝えようとする。





そんな間も無く・・・





「おい、オーク! めちゃくちゃ探したぞ。60階層って言っただろーボケー!」





オークは嬉しそうな声とともにグラビティスタンプを叩き込まれペチャンコになっていた。





・・・・・・





・・・・・・今日はなるべく早く帰ってもらうように頑張ろうと思う。




私はお茶をもうひとすすりした。



次回へ続く

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