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第63話 諦めていたもの



オークをダンジョンに迎えに行かねばならないんだが・・・




オークを迎えにいき、ブルテリアに向かわなければいけないリミットが迫っていた。





迎えには行きたいんだが・・・





ケルベロスから借りたマンガが面白い。おれが異世界に行く前まで読んでいたものがここへ来てまた読めるとは思っていなかった。少年ジャンプとかも買ってたのでおれは初めてケルベロスのことを仕事ができる奴だと思った。





『お犬様ー、来客ですー』





・・・・・・今いいとこなんだが。




おれがマイルーム(犬小屋)でマンガを読んでいるとコボルトがやってきた。どうやら客らしい。最近はこの村に初めて来た移民や冒険者が挨拶に来ることも多くなった。いつも通り失礼のない様に通す。





今回の客は冒険者らしい。ダンジョンがあると聞きつけてやって来たとのこと。さっさと済ませたい。異世界召喚者の問題といい、オークも迎えに行かなきゃ行けないし、やることがいっぱいである。




冒険者がやってきた。犬小屋から出る。





「・・・・・・」





真面目そうな青年だ。

一応鑑定でステータスを確認する。





一見なんてことないステータスだが・・・





コイツ隠蔽かなんかしてそうだ。おれの鑑定はLv5の為、詳しくはわからないが何かがおかしいのを感じた。





やれやれ・・・また変なのがきた。





おれは人間と話すことができないのでいつも通りコボルトに通訳してもらうために話しかける。





おれがコボルトに話しかけるとその冒険者は驚き、思わず声が漏れてしまったようだ。





『・・・し・・・柴犬。しかも・・・柴犬がしゃべった! 』





「・・・・・・」






なんだこいつ・・・。今おれの事を柴犬といったぞ





しかもおれの言葉がわかる・・・?






しばらく冒険者を観察しながら思考を巡らす。

冒険者が当たり障りない挨拶を始めた。





・・・・・・しばらくの沈黙が続いた後、色々と推察できたので、きりだした。






「お前異世界召喚者だろ」





このタイミングで異世界召喚者がおれのところに来るということは、こいつがラグの言っていた奴の可能性が高い。さて、どう動く。





『い・・・異世界召喚者? なんの事でしょうか・・・。私はただの冒険者ですが・・・』






・・・・・・シラを切るつもりのようだ。






「おい・・・お前な。おれの姿を見て柴犬って言う奴は、異世界から来た奴でしかありえないんだよ。この世界に柴犬はいないからな」





・・・・・・さて、どうだろうか。





『・・・・・・いえ・・・それはたまたまそう言った文献を読んだ記憶がありましてぇ・・・』





苦しい言い訳をしやがる。こうなれば・・・これは仮説でしかないが前々から薄々そんな気がしていたことを吹っかけてみる・・・





「・・・・・・おい、嘘つくな。ついでに言うと、おれと喋れるのが異世界から来た何よりの証拠なんだよ。この世界の人間はおれの言葉がわからない。」





そう。恐らく、おれが会話することができないのはこの世界の人間だけ。元の世界の奴らとは普通に喋れるのだ。





ケルベロスが普通にこの世界の人間と会話できていたのがずっと気になっていたが、こいつも普通に話せている・・・と言うことは、





じじい(神様)がおれにだけ異世界言語能力をつけ忘れたと見て間違いない。いや・・・面白がって敢えてつけていない可能性すらある。

とりあえず、あのじじいは次現れたら毛ダルマにしてやることにして、今は冒険者に集中する。




・・・・・・




・・・・・・シラを切るのを諦めたようだ。





『ふっふっふ。・・・こんなに早くバレるとは・・・。』





余裕そうな笑みを浮かべる。コイツが鑑定を持っているかがわからないが、おれのステータス見て言ってんのかな。





『今日は様子見で来ただけです。バレてしまっては仕方ありません。ではこれにて・・・』






逃げた・・・。






厨二病感丸出しな事を言いながら駆け出していった。

まぁ逃すわけ無いんだが






追いかけようとしたその時・・・






『いぬちゃーん、読み終わったの持ってきたぞー』






ケルベロスが通常サイズでマンガ咥えながら入口から入ってきた。・・・入口が壊れるからマジでやめてほしい。






・・・さっきの冒険者は・・・






ケルベロスと鉢合わせてか、部屋の隅にまだいた。

ケルベロスに入口を塞がれて出れないようだ。

ケルベロスを見てもブルってはいないので、ある程度の実力はあると見た。それか鑑定持ってないか。





『んー、すまんすまん。来客か』






ケルベロスが冒険者に気づき咥えていたマンガが床に無造作に散らばった。冒険者が散らばったマンガに目をやる・・・






『・・・・・・こ・・・これは・・・。ジャンプじゃないか。しかもおれが異世界に来て以降のやつだ・・・。先が気になってたけどもう読めないと諦めていたのに・・・』





ん・・・?冒険者がケルベロスの落としたマンガを手に涙をボロボロ流している。そんなに懐かしいのだろうか。そんな冒険者を見て、おれとケルベロスは目を見合わせていた。




・・・




暫くそっとしておいた後、ようやく落ち着きを降り戻した冒険者がおれとケルベロスの元へとやってきた。逃げるのはやめたようだ。どうくる・・・





『恥を忍んで頼みがあります・・・。おれにもマンガを貸して下さい!』





・・・・・・綺麗な土下座をかまして来た。どうやらアニメ・ゲームが大好きだったようだ。





これはコイツとは戦わずに済むかもしれない。

今回の戦いがだいぶラクになりそうだ。







sideオーク




『・・・・・・犬様まだかなー・・・』



次回へ続く

次回はちゃんとオークを迎えにいきます!



いつもありがとうございます。

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