第58話 協力要請
『お・・・お犬様! あれ凄いですね!』
コボルトがブルテリア王城跡に作られたワンコ像を見てはしゃいでいる。ミーアもその出来栄えに興味津々である。オークは・・・
『これは・・・ブフッ・・・すばらしい!・・・ブッフ』
・・・・・・コイツ。さっきからよほど死にたいらしい。笑いを堪えてやがる。
よし・・・あの像にオークをぶち当ててやろうかな・・・
おれがアップしているとブルテリア王が水をさしてきた。仕方ない。
そういえば、おれが来た時は王は別のやつだった気がしたが・・・
『ブルテリアの英雄殿、私はこの度の騒動で新しく即位する事になりましたバーナードと申します。』
王は丁寧に自己の紹介してきた。おれはコボルトを通して挨拶する。ついでにシバ村のヌシだとも言っておく。
『そうでしたか。先日の見事な強さ、感服しておりました。是非我が国に来ていただきたかったのですが残念です・・・。』
バーナードは残念そうに応える。ちなみにシバ村の存在も知らなかったようなのでブルドッグの経緯も踏まえて教えておいた。そしておれもついでに気になっていることを聞く。
『先王とシュナウザーですか・・・。はい・・・。おっしゃる通り、先王は私の父になります。恥ずかしながら民を置き去りにし、シュナウザーにそそのかされて、国を壊滅的な状態に追い込みました。城だけの被害で済んだものの見ての通りです。』
・・・・・・やはり予想通りだったようだ。ケルベロスを手に入れる企みは国主導ではなく、2人だけで行われたようだった。結果的に王はケルベロスによって消し炭になってしまったようだ。
その後、おれたちは城跡の脇に建てられた仮設のテントの様なものに案内された。バーナードの横には騎士団長と思われるゴツいのがいる。目がギラギラしていて怖い。チワワというらしい。
・・・
・・・・・・ブフッ
こんなゴツいのにチワワ・・・思わず吹き出してしまった。転生者にしかわからないネタであるが、おれが笑いを堪えているとチワワが話しかけてきた。
『チワワと申します。騎士団長をしております。ご無礼かとは思いますが、本当に英雄殿か確認したく、ひとつ私と手合わせ願えませんでしょうか』
・・・チワワが戦いを挑んで来た。
チワワのくせに・・・ブフッ
◇
チワワの言うことも最もなのでおれは戦いを受ける事にした。オークが自分も戦いたそうにしていたがここはおれでなければ意味がない。遠慮してもらった。
騎士団長とおれの手合わせと聞きつけて、兵士達が大勢集まってきた。中には賭けを始める奴もいた。
勝負が始まった。
『では・・・参る!』
チワワが体の2倍はあろうかという大剣を構えて振り下ろして来た。チワワの癖に凄い。
おれは難なく避ける。
『流石です。私の初撃がこんなに簡単にかわされるとは・・・次です。ブリザード・・・』
チワワが氷魔法を放ってきた。中々の威力である。RR級だ。
・・・が、これもおれには当たらない。
・・・・・・さて・・・おれも反撃に出る。
おれは威圧Lv10と併せて、ブリザードスタンプとグラビティスタンプを放った。
チワワがおれの威圧を前に怯む。
(まぁ大抵のやつは怯む)
怯んだ隙に2つのスタンプを叩き込んだ。
『ぐ・・・見事です・・・』
チワワに勝利した。一応手加減したので死んではいなかった。
『見事な強さでございます。英雄殿。』
バーナードだ。なにか言いたそうである。
『・・・』
なんだろうか
『少し・・・その強さを見込んでご相談があります。我が国は隣国グレートデーン王国との争いが絶えません。此度の件は直ぐに情報が漏れるでしょう。攻め込まれるのも時間の問題です。そこで・・・どうにか協力してもらえませんでしょうか。十分な見返りは用意させていただきます。』
・・・
・・・・・・どうやら、おれが前に撃退したグレートデーン王国が攻めてくるらしい。
協力を要請された。どうするべきか・・・。
オークをみると目を輝かせていた。
ミーアを見ると目がホルホルしていた。
・・・・・・賭けで儲けてやがった。
次回へ続く。
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